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第4章 日常と過去とこれからの話
第84話 ピロートーク
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セックス後、もう足腰が全然だめで、魔王さんに抱きしめられたままベッドに横になった。
「はぁ……ライト、大丈夫か?」
コンドームの処理をした魔王さんが、優しく俺の腰を撫でて労ってくれるけど……エッチはめちゃくちゃ気持ち良かったけど……。
「ごめん」
「ん?」
「……俺から言い出したのに、上手くできなくてごめん」
今日の自分を振り返ると、彼シャツの時点から上手くいっていなくて、自信満々で上に乗ったのに上手くいかなくて、それなのにキッチリとセックスでは気持ちよくしてもらって……色々と恥ずかしくて居た堪れなくて、顔を隠すようにぎゅっと魔王さんに抱き着いた。
「……なぜ謝るんだ? 俺は、すごく楽しかった」
魔王さんの言葉に嘘が無いのは解る。すごく楽しそうだったし。
「だが、そうだな。ライトは、いつも完璧で一点の隙も無い素晴らしいペットだが……今日の、焦ったり悔しそうにしたりするライトも、新鮮で、いじらしくて、とてもかわいかった。こんなライトが見られるのも、幸せだなと思った」
「……魔王さん……でも……」
失敗は失敗なのに。
失敗もかわいいとか……上手くできないのもかわいいとか……。
「ライト、完璧でなくていいんだ。お前が俺を思ってしてくれることなら、何でも嬉しい」
「魔王さん……」
うぅ、魔王さんの愛情大きすぎる。
考えてみたら、普段魔王さんがとても気を使ってセックスしてくれているということでもあって……。
悔しかったのに。反省しているのに。
嬉しくなってしまう。
「それにしても、上手くできなくて泣いてしまう姿は可愛かったな……いつもより幼く見えて……」
「ん……もう、恥ずかしい。忘れてよ」
照れ隠しにわざとらしく頬を膨らませて怒った顔をすると、魔王さんは声まで出して笑う。
「ははっ、その反応も拗ねた子供のようでかわいいな……いや、そういえば、そうか……ライトはいつも完璧で美しくて忘れそうになるが……」
ん?
「まだたったの二六歳だものなぁ」
あれ?
なんか……
魔王さんはにこにこと笑顔のまま、甘ったるいただのピロートークの流れとして言ったようだけど……。
「え? うん……そういえば、魔王さんって何歳?」
「俺か? 俺は六三四……五になったか」
「六……ぴゃく……」
「俺も、魔族の中ではまだ若い方だな」
ここは誕生日を祝う習慣が無いようで気付かなかった……いや、薄々気付いていて考えないようにしていた。
魔王さんの見た目は、三〇代半ばくらいだから……勝手に少し年上くらいの気持ちでいた。
違うんだよね……六〇〇歳以上年上なんだよね……。
そんな人から見たら、確かに俺は子供……寿命の違う犬や猫、小鳥なんかに対する時の感覚に近いかもしれない。
俺と魔王さん、思っていたよりも……時間の流れが違う。
「……」
俺が黙っていると、魔王さんは俺がまだ失敗を気にしていると思ったのか、優しく頭を撫でてくれる。
「……なぁライト、また挑戦してくれるか?」
「あ、うん。また挑戦して……練習して、上手くできるようにがんばるよ」
「あぁ。三年ではなく、ずっと一緒にいられるんだ。少しずつ、色々なことができるようになるのも楽しいな」
「……うん」
魔王さんの言う通りだけど。
折角ずっと一緒なら、そうやって成長していきたいけど。
俺と魔王さんって……。
いや、考えても仕方がないことは考えない。
いつもそうしてきたじゃないか。
目の前の……魔王さんとの毎日を大切にしていこう。
「魔王さん」
「ん?」
「大好き……」
「! あぁ……俺も大好きだ、ライト!」
頭をよぎった寂しさに蓋をして、魔王さんの腕の中の温かさを堪能した。
「はぁ……ライト、大丈夫か?」
コンドームの処理をした魔王さんが、優しく俺の腰を撫でて労ってくれるけど……エッチはめちゃくちゃ気持ち良かったけど……。
「ごめん」
「ん?」
「……俺から言い出したのに、上手くできなくてごめん」
今日の自分を振り返ると、彼シャツの時点から上手くいっていなくて、自信満々で上に乗ったのに上手くいかなくて、それなのにキッチリとセックスでは気持ちよくしてもらって……色々と恥ずかしくて居た堪れなくて、顔を隠すようにぎゅっと魔王さんに抱き着いた。
「……なぜ謝るんだ? 俺は、すごく楽しかった」
魔王さんの言葉に嘘が無いのは解る。すごく楽しそうだったし。
「だが、そうだな。ライトは、いつも完璧で一点の隙も無い素晴らしいペットだが……今日の、焦ったり悔しそうにしたりするライトも、新鮮で、いじらしくて、とてもかわいかった。こんなライトが見られるのも、幸せだなと思った」
「……魔王さん……でも……」
失敗は失敗なのに。
失敗もかわいいとか……上手くできないのもかわいいとか……。
「ライト、完璧でなくていいんだ。お前が俺を思ってしてくれることなら、何でも嬉しい」
「魔王さん……」
うぅ、魔王さんの愛情大きすぎる。
考えてみたら、普段魔王さんがとても気を使ってセックスしてくれているということでもあって……。
悔しかったのに。反省しているのに。
嬉しくなってしまう。
「それにしても、上手くできなくて泣いてしまう姿は可愛かったな……いつもより幼く見えて……」
「ん……もう、恥ずかしい。忘れてよ」
照れ隠しにわざとらしく頬を膨らませて怒った顔をすると、魔王さんは声まで出して笑う。
「ははっ、その反応も拗ねた子供のようでかわいいな……いや、そういえば、そうか……ライトはいつも完璧で美しくて忘れそうになるが……」
ん?
「まだたったの二六歳だものなぁ」
あれ?
なんか……
魔王さんはにこにこと笑顔のまま、甘ったるいただのピロートークの流れとして言ったようだけど……。
「え? うん……そういえば、魔王さんって何歳?」
「俺か? 俺は六三四……五になったか」
「六……ぴゃく……」
「俺も、魔族の中ではまだ若い方だな」
ここは誕生日を祝う習慣が無いようで気付かなかった……いや、薄々気付いていて考えないようにしていた。
魔王さんの見た目は、三〇代半ばくらいだから……勝手に少し年上くらいの気持ちでいた。
違うんだよね……六〇〇歳以上年上なんだよね……。
そんな人から見たら、確かに俺は子供……寿命の違う犬や猫、小鳥なんかに対する時の感覚に近いかもしれない。
俺と魔王さん、思っていたよりも……時間の流れが違う。
「……」
俺が黙っていると、魔王さんは俺がまだ失敗を気にしていると思ったのか、優しく頭を撫でてくれる。
「……なぁライト、また挑戦してくれるか?」
「あ、うん。また挑戦して……練習して、上手くできるようにがんばるよ」
「あぁ。三年ではなく、ずっと一緒にいられるんだ。少しずつ、色々なことができるようになるのも楽しいな」
「……うん」
魔王さんの言う通りだけど。
折角ずっと一緒なら、そうやって成長していきたいけど。
俺と魔王さんって……。
いや、考えても仕方がないことは考えない。
いつもそうしてきたじゃないか。
目の前の……魔王さんとの毎日を大切にしていこう。
「魔王さん」
「ん?」
「大好き……」
「! あぁ……俺も大好きだ、ライト!」
頭をよぎった寂しさに蓋をして、魔王さんの腕の中の温かさを堪能した。
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