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第4章 日常と過去とこれからの話
第73話 知りたい(1)
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会議の後処理があるとかで、パーティーの後も魔王さんは忙しい日々を過ごしていた。
そして今日。準備期間から数えれば二〇日ぶりに、ゆっくり夕食から一緒に過ごすことができた。
「ライト……ライトはすごい……天才だ」
「魔王さん、褒めすぎ」
今日は絶対に撫でまくるだろうなと思って髪は結わずにおろしていたけど正解。
夕食後にソファに並んで座った魔王さんは、ずっと俺の頭を撫でて、抱きしめて、沢山褒めてくれた。
「今回の会議は今までで一番の収穫だった。こんなに上手くいったことはない」
「俺、何もしてないよ」
「何もしていないわけがないだろう!? 準備期間、ライトが癒してくれて、食事の差し入れまでしてくれたから、普段よりも入念に準備ができた」
「まぁ、それは俺もちょっと頑張ったか……」
「そうだ。それに、あのパーティー……エルフの森の王と関係が築けたうえに、国際商工ギルドに国内からの加盟団体を増やせるなんて……他の国や団体との関係も太くなった。ライトのお陰だ。何よりも……」
魔王さんが俺を抱きしめる腕の力が強くなる。
「俺が他の国の王を殺してしまうのを防いだ」
導王様のことだよね?
殺す気だったか……危ない危ない。
「ライトがかわいいのは解っていたが……世界一かわいいが……かわいいだけではこのような立ち回りや人心掌握は無理だろう? いったいライトはどんな人生を歩んできたんだ?」
「ふふっ。そんなにすごかった? 魔王さんの役に立てたなら嬉しい」
「ライト……」
腕の力が少し緩んだから顔を上げると……あれ?
口調から言って笑顔だと思ったのに。
魔王さんはすごく真剣な顔で俺を見つめていた。
「ん?」
「ずっと、目の前のライトのかわいさにばかり目がいっていたが……。ライトに人間の個性のことを教えてもらって、だんだんライトの他の人間とは違う特別な部分を好きになって、今回のライトの素晴らしい機転もあって……もっと、もっともっとライトのことを全部知りたくなった」
「魔王さん……」
「ライトのことを、もっと教えてくれないか? ライトは、どんなことを考えて、どんな人間で、どんなことがあってこうなったのか……ライトのことを、全て知りたい!」
「俺のこと……知ってくれるのは嬉しいけど……」
俺って、ホストでもヒモでも、お客さんを楽しませるためにはキラキラした良いところだけを他人に見せて来たから、俺をまるごと知ってくれている存在は唯一の家族の弟だけで……それも、俺はお兄ちゃんだからあまり弱い部分は見せていなくて……。
「あらためてそんなことを言われると、何から話せばいいのか困るな。そんなに面白い人生でもないし」
「どんな人生でも、ライトの人生なら知りたい!」
「うーん……」
そんなにいい話でもないんだけど……。
「特に、俺が知らない異世界でのことを知りたい。ライトがいた世界の人間は、みんなお前のようなかわいくて優しい人間なのか?」
「それは……顔で言うと、俺は特別に美形だったよ」
「なるほど。元の世界でもそうなのか。納得した。ライトの家族も美形だったのか?」
そうだよね。俺のルーツっていうと、家族の話になるよね。
正直に話すと、絶対に悲しい顔させちゃうんだけどな……。
でも……そうだな。
魔王さんなら……魔王さんには……
俺を全部知って、そのうえで、愛してもらいたい。
そして今日。準備期間から数えれば二〇日ぶりに、ゆっくり夕食から一緒に過ごすことができた。
「ライト……ライトはすごい……天才だ」
「魔王さん、褒めすぎ」
今日は絶対に撫でまくるだろうなと思って髪は結わずにおろしていたけど正解。
夕食後にソファに並んで座った魔王さんは、ずっと俺の頭を撫でて、抱きしめて、沢山褒めてくれた。
「今回の会議は今までで一番の収穫だった。こんなに上手くいったことはない」
「俺、何もしてないよ」
「何もしていないわけがないだろう!? 準備期間、ライトが癒してくれて、食事の差し入れまでしてくれたから、普段よりも入念に準備ができた」
「まぁ、それは俺もちょっと頑張ったか……」
「そうだ。それに、あのパーティー……エルフの森の王と関係が築けたうえに、国際商工ギルドに国内からの加盟団体を増やせるなんて……他の国や団体との関係も太くなった。ライトのお陰だ。何よりも……」
魔王さんが俺を抱きしめる腕の力が強くなる。
「俺が他の国の王を殺してしまうのを防いだ」
導王様のことだよね?
殺す気だったか……危ない危ない。
「ライトがかわいいのは解っていたが……世界一かわいいが……かわいいだけではこのような立ち回りや人心掌握は無理だろう? いったいライトはどんな人生を歩んできたんだ?」
「ふふっ。そんなにすごかった? 魔王さんの役に立てたなら嬉しい」
「ライト……」
腕の力が少し緩んだから顔を上げると……あれ?
口調から言って笑顔だと思ったのに。
魔王さんはすごく真剣な顔で俺を見つめていた。
「ん?」
「ずっと、目の前のライトのかわいさにばかり目がいっていたが……。ライトに人間の個性のことを教えてもらって、だんだんライトの他の人間とは違う特別な部分を好きになって、今回のライトの素晴らしい機転もあって……もっと、もっともっとライトのことを全部知りたくなった」
「魔王さん……」
「ライトのことを、もっと教えてくれないか? ライトは、どんなことを考えて、どんな人間で、どんなことがあってこうなったのか……ライトのことを、全て知りたい!」
「俺のこと……知ってくれるのは嬉しいけど……」
俺って、ホストでもヒモでも、お客さんを楽しませるためにはキラキラした良いところだけを他人に見せて来たから、俺をまるごと知ってくれている存在は唯一の家族の弟だけで……それも、俺はお兄ちゃんだからあまり弱い部分は見せていなくて……。
「あらためてそんなことを言われると、何から話せばいいのか困るな。そんなに面白い人生でもないし」
「どんな人生でも、ライトの人生なら知りたい!」
「うーん……」
そんなにいい話でもないんだけど……。
「特に、俺が知らない異世界でのことを知りたい。ライトがいた世界の人間は、みんなお前のようなかわいくて優しい人間なのか?」
「それは……顔で言うと、俺は特別に美形だったよ」
「なるほど。元の世界でもそうなのか。納得した。ライトの家族も美形だったのか?」
そうだよね。俺のルーツっていうと、家族の話になるよね。
正直に話すと、絶対に悲しい顔させちゃうんだけどな……。
でも……そうだな。
魔王さんなら……魔王さんには……
俺を全部知って、そのうえで、愛してもらいたい。
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