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第3章 体の話
第55話 予感
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お城にやってきて約三ヶ月。
髪の色の心配もなくなって、セックスで深く繋がることにも慣れてきて、俺と魔王さんはすっごく良い関係を築けている気がする。
毎日いっぱいよしよししてもらうし、時々セックスもするし、最近はセックスしなくても一緒に寝る日もあって、魔王さんとの距離がどんどん近くなっている気がする。
ただ、どんなに一緒の時間が増えても、魔王さんには大事なお仕事があって、月に数回の自由時間以外は日中は一緒にいられない。
仕方がないし、ペットは首を突っ込まない方が良いと思うから詳しく聞いていないけど、魔王さん、どんなお仕事しているんだろう?
ちょっと忙しすぎる。
疲れた顔をしていることも多いし。
最近は……
「ライト、今日は特別疲れたんだ。吸わせてくれ」
なんて遠慮なく言ってくれるから、そういう日は俺も一生懸命よしよし返したりするんだけど……。
「過労で倒れるとか嫌だよ?」
「心配してくれてありがとう、ライト。だが……俺が頑張らないと国民が困るんだ」
青白い顔でそんなことを言う日もあって……心配だ。
いつか大きなケガや病気になんて繋がらないと良いけど……。
そんな俺の心配が、ある日的中してしまった。
◆
――ドゴン
「え?」
昼食後、部屋で日課の筋トレをしている時だった。
遠くで大きな音がした瞬間、建物が揺れた。
日本人だから地震なら少し慣れているけど……地震っぽくない。
爆発? 一瞬だけの衝撃で、家具が倒れるほどではないけど……花瓶の位置は少しずれた。
こういう時、誰か呼ぶべきか……でも、俺は結界で安全なんだっけ? 忙しいのに呼ぶのは良くないか……。
「ライト様!」
「リリリさん!」
俺が迷っている一分ほどの間に、リリリさんが駆けつけてくれた。
「ビックリしましたよね? 大丈夫ですか?」
「俺は何ともないけど……どうしたの?」
「私もまだ詳しくは知らないのですが、恐らく国境結界魔法へのテロです。このお城への被害はほとんどないと思うのでご安心ください」
テロって……物騒だけど。
「そっか。俺はこの部屋にいればいいんだよね?」
「はい。不審者が入ってきたとか、この棟が危ないとかいうことは絶対にないので、いつも通りお過ごしください。ただ、片付けなどでこの後少しメイドも執事もバタバタするかもしれませんので……」
「わかった。大人しくしておく。俺のことは一日くらい忘れちゃって大丈夫だよ。人間って結構丈夫だからね」
「ライト様……ご配慮ありがとうございます! なるべくすぐに片づけてまいります!」
リリリさんは大きく頭を下げて、勢いよく部屋を出て行った。
忙しそうだけど……俺はリリリさんの大丈夫という言葉を信じるしかない。
「あっちのほうかな……」
興味本位で窓から他の棟を覗いてみるけど、特に崩れているとか煙が出ている所は無かった。
「魔王さん大丈夫かな……」
そういえば俺、普段魔王さんが仕事をしているらしい「執務室」がどこにあるかも知らないんだよね。
もう少しだけ、聞いておけばよかったかな……。
「魔王さん……」
俺が心配したってどうしようも無いけど、普段ならこういう「仕方がないこと」は割り切れる性格のはずなんだけど……。
心配で心配で仕方が無かった。
髪の色の心配もなくなって、セックスで深く繋がることにも慣れてきて、俺と魔王さんはすっごく良い関係を築けている気がする。
毎日いっぱいよしよししてもらうし、時々セックスもするし、最近はセックスしなくても一緒に寝る日もあって、魔王さんとの距離がどんどん近くなっている気がする。
ただ、どんなに一緒の時間が増えても、魔王さんには大事なお仕事があって、月に数回の自由時間以外は日中は一緒にいられない。
仕方がないし、ペットは首を突っ込まない方が良いと思うから詳しく聞いていないけど、魔王さん、どんなお仕事しているんだろう?
ちょっと忙しすぎる。
疲れた顔をしていることも多いし。
最近は……
「ライト、今日は特別疲れたんだ。吸わせてくれ」
なんて遠慮なく言ってくれるから、そういう日は俺も一生懸命よしよし返したりするんだけど……。
「過労で倒れるとか嫌だよ?」
「心配してくれてありがとう、ライト。だが……俺が頑張らないと国民が困るんだ」
青白い顔でそんなことを言う日もあって……心配だ。
いつか大きなケガや病気になんて繋がらないと良いけど……。
そんな俺の心配が、ある日的中してしまった。
◆
――ドゴン
「え?」
昼食後、部屋で日課の筋トレをしている時だった。
遠くで大きな音がした瞬間、建物が揺れた。
日本人だから地震なら少し慣れているけど……地震っぽくない。
爆発? 一瞬だけの衝撃で、家具が倒れるほどではないけど……花瓶の位置は少しずれた。
こういう時、誰か呼ぶべきか……でも、俺は結界で安全なんだっけ? 忙しいのに呼ぶのは良くないか……。
「ライト様!」
「リリリさん!」
俺が迷っている一分ほどの間に、リリリさんが駆けつけてくれた。
「ビックリしましたよね? 大丈夫ですか?」
「俺は何ともないけど……どうしたの?」
「私もまだ詳しくは知らないのですが、恐らく国境結界魔法へのテロです。このお城への被害はほとんどないと思うのでご安心ください」
テロって……物騒だけど。
「そっか。俺はこの部屋にいればいいんだよね?」
「はい。不審者が入ってきたとか、この棟が危ないとかいうことは絶対にないので、いつも通りお過ごしください。ただ、片付けなどでこの後少しメイドも執事もバタバタするかもしれませんので……」
「わかった。大人しくしておく。俺のことは一日くらい忘れちゃって大丈夫だよ。人間って結構丈夫だからね」
「ライト様……ご配慮ありがとうございます! なるべくすぐに片づけてまいります!」
リリリさんは大きく頭を下げて、勢いよく部屋を出て行った。
忙しそうだけど……俺はリリリさんの大丈夫という言葉を信じるしかない。
「あっちのほうかな……」
興味本位で窓から他の棟を覗いてみるけど、特に崩れているとか煙が出ている所は無かった。
「魔王さん大丈夫かな……」
そういえば俺、普段魔王さんが仕事をしているらしい「執務室」がどこにあるかも知らないんだよね。
もう少しだけ、聞いておけばよかったかな……。
「魔王さん……」
俺が心配したってどうしようも無いけど、普段ならこういう「仕方がないこと」は割り切れる性格のはずなんだけど……。
心配で心配で仕方が無かった。
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