魔王さんのガチペット

メグル

文字の大きさ
上 下
50 / 409
第3章 体の話

第49話 すごくかわいくみえる(1)

しおりを挟む
 魔法で髪色を変えてもらった日の夕食後。
 魔王さんは最初から俺の隣に座って……いや、こっちに来た瞬間から俺のことを抱きしめてくれた。

「ライト……ライトが……すごくかわいく見える」
「ふふっ。嬉しい」
「金髪が似合うというのもあるが……この色に、俺がしたんだと思うと……すごく愛おしい。大事な宝物に見える」

 金髪にしてもらいたてで、降ろしたままの髪を魔王さんが優しく撫でてくれる。

「ん……ふふっ。撫でてもらうの、好き……」
「ライト……」

 不意に魔王さんの手が止まって、耳元で名前を囁かれる。

「んー? なに?」

 とぼけてみたけど、気付いてる。
 今日の触れ方は、「よしよしかわいいでちゅね~」って触り方じゃない。
 囁く声も熱っぽい。
 魔王さんがすごく興奮しているの……気づいてる。

「その、他人を自分の思うように変える、強い魔法を使ったから……」

 スポーツや格闘で、激しい戦いの後は興奮するみたいなやつ?
 それとも、他人を変える……征服欲的な?

「気持ちが、昂っていて……ライトが良ければ……」

 だからセックスしたい?
 そっか……

「嫌」
「あ、嫌……か」

 魔王さんは困ったように言葉を詰まらせて、腕を緩ませる。
 あーあ。こんな大きな逞しい体で、男らしいかっこいい顔で、シュンとしちゃってかわいそう……俺のせいだけど。
 でも、ちゃんと嫌なことは嫌って言わないといけないよね?

「その理由が嫌」
「え?」
「俺、言ったよね? ムードの無いエッチ、嫌だって」
「あぁ……そう、だったな」

 魔王さん慣れていないだけで、「ムード」が解らないわけではないと思うんだよね……。

「折角こんなに魔王さん好みの見た目になったんだから……」

 魔王さんの頬を撫でてその指を首筋に滑らせる。

「ライトがかわいすぎてたまらなくて興奮しちゃった、だったらしてもいいんだけどなぁ……」

 首筋に滑らせた指を、魔王さんの詰襟っぽいカッチリしたジャケットの襟にかけて引っ張ると、すぐそばの魔王さんの喉が動いた。

「もう一回、髪撫でる所からやりなおそう?」
「あ……ライト……なんでお前は、そんなにかわいいことばかり……!」

 魔王さんが「たまらない」って顔でぎゅと抱きしめなおしてくれる。

「ん……」
「ライト……一目見たときからずっとかわいいと思っていたが……一緒にいればいるほど、どんどんかわいく、愛しく思えて仕方がない」
「ふふっ、嬉しい」

 魔王さんの手が俺の後頭部に触れて、髪の毛を撫でてくれる。
 愛おしそうに、何度も何度も。

「俺の手で、ライトをかわいくできたことが……嬉しい」
「俺も、魔王さんの手でかわいくしてもらえたの、嬉しいよ」
「ライト……もっとかわいいところが見たい。この金髪が……俺が染めた金髪が、乱れるところが見たい」
「……折角キレイな金髪なのに、ぐちゃぐちゃにしちゃうんだ?」
「それは……その……」

 ちょっと意地悪いこと言っちゃったかな?
 でも……

「いつも笑顔で、聖母のように優しく俺を受け入れてくれるお前が……余裕なく乱れる所も……すごくかわいい」
「そんなこと思ってくれてたんだ、魔王さん」

 嬉しいな……そんなこと言われたら……

「じゃあ、俺が乱れまくっちゃうくらい、激しくしてね?」

 いっぱいエッチしたくなっちゃったな。
 俺も、結構チョロイかも。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
ご感想をいただけたらめちゃくちゃ喜びます! ※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

悪役の俺だけど性的な目で見られています…(震)

彩ノ華
BL
悪役に転生した主人公が周りから性的な(エロい)目で見られる話 *ゆるゆる更新 *素人作品 *頭空っぽにして楽しんでください ⚠︎︎エロにもちょいエロでも→*をつけます!

やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜

ゆきぶた
BL
異世界転生したからハーレムだ!と、思ったら男のハーレムが出来上がるBLです。主人公総受ですがエロなしのギャグ寄りです。 短編用に登場人物紹介を追加します。 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ あらすじ 前世を思い出した第5王子のイルレイン(通称イル)はある日、謎の呪いで倒れてしまう。 20歳までに死ぬと言われたイルは禁呪に手を出し、呪いを解く素材を集めるため、セイと名乗り冒険者になる。 そして気がつけば、最強の冒険者の一人になっていた。 普段は病弱ながらも執事(スライム)に甘やかされ、冒険者として仲間達に甘やかされ、たまに兄達にも甘やかされる。 そして思ったハーレムとは違うハーレムを作りつつも、最強冒険者なのにいつも抱っこされてしまうイルは、自分の呪いを解くことが出来るのか?? ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ お相手は人外(人型スライム)、冒険者(鍛冶屋)、錬金術師、兄王子達など。なにより皆、過保護です。 前半はギャグ多め、後半は恋愛思考が始まりラストはシリアスになります。 文章能力が低いので読みにくかったらすみません。 ※一瞬でもhotランキング10位まで行けたのは皆様のおかげでございます。お気に入り1000嬉しいです。ありがとうございました! 本編は完結しましたが、暫く不定期ですがオマケを更新します!

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

処理中です...