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第1章 ペットの個性の話
第9話 執事長さんとメイドさん
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ドアから離れ、ソファに腰を下ろしながら二人を見上げる。
「なんで二人とも俺に敬語なの?」
「え?」
「ライト様が魔王様の所有物だからです」
リリリさんは驚いた声を上げるけど、ローズウェルさんは冷静に返事をした。
「俺自身は敬語を使ってもらう様な存在じゃないんだけどなぁ……タメ口でいいよ?」
「え、え……?」
「それは、他の者にしめしがつきませんし、私たちは魔王様を敬愛しておりますので」
リリリさんは更に戸惑うけど、ローズウェルさんは相変わらず冷静に返事をしてくれる。
「それとこれとは話が違うと思うけど……そっか。魔王さんってそんなに尊敬されている人なんだ? ゆっくり話すの楽しみだな」
「……楽しみ、ですか?」
「うん。だって素敵な人なんだよね?」
今度はローズウェルさんも驚いた顔で固まってしまって、先に口を開いたのはリリリさんだった。
「は、はい! それはもう、歴代のどの魔王様よりも尊敬できる素晴らしい魔王様です!」
「ほら。だったら楽しみでしかなくない? 魔王さん、仕事終わったらこの部屋に来るんだよね?」
「はい! おそらく……この廊下側のドアとは別に、魔王様の私室に繋がるドアがベッドルームにあります。どちらかからいらっしゃいます。えっと、プライベートな時間は、ここか私室でお過ごしになるので……」
リリリさんは少し混乱しながらも懸命に返事をしてくれる。
俺、そんなにおかしいこと言っているかな? まぁいいや。
「へぇ。ドア二つか。どっちから来るんだろう……解っていたらドアの前で待ち構えておいてビックリさせるんだけどな」
あぁいう偉い人ってサプライズされ慣れてないから喜ばれそうなんだけど……まぁそれはおいおい考えよう。
「あ……」
「っ……」
「ん? なに?」
二人が何か言いたそうな顔で戸惑った視線を俺に向けるので、促すように首を傾げた。
「あ、あの……」
おそるおそる口を開いたのは、ずっと黙ってしまっていたローズウェルさんだった。
「ライト様は、何故そんなに楽しそうにされているんですか?」
「ん?」
「魔族が怖くないんですか?」
「怖がる要素、どこにある? あ、大きいから?」
大きいから力ではかなわなさそうとか、角が硬そうだから刺さったら痛そう……くらいは思うけど。
「ライト様は異なる世界から来られたのですよね? 魔族の正体をご存じないから……」
「正体?」
「……えっと……その」
ローズウェルさんが口ごもる。
魔族って何? 怖いの?
目の前のローズウェルさんは俺に怖いことするようには見えないけど?
「なんか解んないけど、このお城の魔族さんはみんな良い人に見えるよ? さっきの騎士団長さんも、魔王さん思いの良い人だなって思ったし、フォローを入れてくれた人たちもとっさに他人をかばえるなんて偉いよね? みんな、実は意地悪なの?」
「そういうわけでは……」
「俺のこと、殺したり食べたりするの?」
「そんなことは絶対にしません!」
「じゃあ、怖くないけどなぁ……怖がらないとダメ?」
「いえ、そんなことは……ただ、その……歴代のペットの方は、いつも魔王様にも魔族にも怯えている方ばかりで……」
なるほど?
詳しく言いたくなさそうだし、正体と言うのは解らないけど、この世界の人間は魔王さんに感謝をしながらも魔族が怖いんだ?
怖いのは困るけど……。
「ローズウェルさんの言う通り、異世界から来たから無知なだけかもね。でも、どんな状況でも楽しんだ方が楽しいし。それに……」
足を組みなおして、ひじ掛けに腕を置き、おそらく俺がよりかっこよく見える角度で二人を見上げる。
「俺、俺のことが好きな人が好きだから」
「……好き?」
ローズウェルさんがこぼした言葉に深く頷く。
「うん。魔王さん、たぶん俺のこともう大好きだと思うんだよね。だから大丈夫。怖くないよ」
子供の頃からモテまくったプロのヒモの勘だけど、コレ、結構当たるんだ。
「なんで二人とも俺に敬語なの?」
「え?」
「ライト様が魔王様の所有物だからです」
リリリさんは驚いた声を上げるけど、ローズウェルさんは冷静に返事をした。
「俺自身は敬語を使ってもらう様な存在じゃないんだけどなぁ……タメ口でいいよ?」
「え、え……?」
「それは、他の者にしめしがつきませんし、私たちは魔王様を敬愛しておりますので」
リリリさんは更に戸惑うけど、ローズウェルさんは相変わらず冷静に返事をしてくれる。
「それとこれとは話が違うと思うけど……そっか。魔王さんってそんなに尊敬されている人なんだ? ゆっくり話すの楽しみだな」
「……楽しみ、ですか?」
「うん。だって素敵な人なんだよね?」
今度はローズウェルさんも驚いた顔で固まってしまって、先に口を開いたのはリリリさんだった。
「は、はい! それはもう、歴代のどの魔王様よりも尊敬できる素晴らしい魔王様です!」
「ほら。だったら楽しみでしかなくない? 魔王さん、仕事終わったらこの部屋に来るんだよね?」
「はい! おそらく……この廊下側のドアとは別に、魔王様の私室に繋がるドアがベッドルームにあります。どちらかからいらっしゃいます。えっと、プライベートな時間は、ここか私室でお過ごしになるので……」
リリリさんは少し混乱しながらも懸命に返事をしてくれる。
俺、そんなにおかしいこと言っているかな? まぁいいや。
「へぇ。ドア二つか。どっちから来るんだろう……解っていたらドアの前で待ち構えておいてビックリさせるんだけどな」
あぁいう偉い人ってサプライズされ慣れてないから喜ばれそうなんだけど……まぁそれはおいおい考えよう。
「あ……」
「っ……」
「ん? なに?」
二人が何か言いたそうな顔で戸惑った視線を俺に向けるので、促すように首を傾げた。
「あ、あの……」
おそるおそる口を開いたのは、ずっと黙ってしまっていたローズウェルさんだった。
「ライト様は、何故そんなに楽しそうにされているんですか?」
「ん?」
「魔族が怖くないんですか?」
「怖がる要素、どこにある? あ、大きいから?」
大きいから力ではかなわなさそうとか、角が硬そうだから刺さったら痛そう……くらいは思うけど。
「ライト様は異なる世界から来られたのですよね? 魔族の正体をご存じないから……」
「正体?」
「……えっと……その」
ローズウェルさんが口ごもる。
魔族って何? 怖いの?
目の前のローズウェルさんは俺に怖いことするようには見えないけど?
「なんか解んないけど、このお城の魔族さんはみんな良い人に見えるよ? さっきの騎士団長さんも、魔王さん思いの良い人だなって思ったし、フォローを入れてくれた人たちもとっさに他人をかばえるなんて偉いよね? みんな、実は意地悪なの?」
「そういうわけでは……」
「俺のこと、殺したり食べたりするの?」
「そんなことは絶対にしません!」
「じゃあ、怖くないけどなぁ……怖がらないとダメ?」
「いえ、そんなことは……ただ、その……歴代のペットの方は、いつも魔王様にも魔族にも怯えている方ばかりで……」
なるほど?
詳しく言いたくなさそうだし、正体と言うのは解らないけど、この世界の人間は魔王さんに感謝をしながらも魔族が怖いんだ?
怖いのは困るけど……。
「ローズウェルさんの言う通り、異世界から来たから無知なだけかもね。でも、どんな状況でも楽しんだ方が楽しいし。それに……」
足を組みなおして、ひじ掛けに腕を置き、おそらく俺がよりかっこよく見える角度で二人を見上げる。
「俺、俺のことが好きな人が好きだから」
「……好き?」
ローズウェルさんがこぼした言葉に深く頷く。
「うん。魔王さん、たぶん俺のこともう大好きだと思うんだよね。だから大丈夫。怖くないよ」
子供の頃からモテまくったプロのヒモの勘だけど、コレ、結構当たるんだ。
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