8 / 409
第1章 ペットの個性の話
第7話 お城の人
しおりを挟む
「俺は執務に戻る。執事長、ライトのことは頼んだぞ」
「承知致しました」
俺の斜め後ろ辺りで男の人の声が聞こえた後、魔王さんは王座から立ち上がって後ろの……どこかに繋がる扉へと消えていった。
へぇ。ペットってずっと連れ歩かれるかと思ったけど違うんだ?
さて、俺はこれから執事長さんとかいう人とどこか行くのかな……?
後ろを向こうとした瞬間、ガチャンガチャンと派手な音をさせて、甲冑の魔族が階段を降りて来た。
あ、やばい?
「なんて生意気なペットなんだ……! 魔王様がお優しいからと調子に乗って!」
「あー……」
これはフォローがいるか……とりあえず大人しく近づいてくる甲冑の魔族に笑顔を向けていると、両横からローブを着た赤髪のオカッパでサンタクロースみたいな髭のおじいちゃん魔族と、黒くてごてごてした装飾のドレスを着た紫のお団子ヘアのおばあちゃん魔族が間に入ってくれた。
「まぁまぁ騎士団長。か弱い人間が魔王様に怯えずになつくなんて微笑ましいじゃないですか」
「そうですわ。あの魔王様の楽しそうなお顔。良い子が来ましたわね」
「なにより、とても美形だし!」
「ねぇ、美形ですわよね!」
おじいちゃんとおばあちゃんが盛り上がっているのを見て、甲冑の魔族が複雑そうな顔をする。
「確かに今までのペットより美形だが、しかし……」
この魔族も俺のことを美形とは思ってくれているんだ?
で、三人の会話的にこの水色の髪の甲冑魔族は「騎士団長」か。
偉い人ではあるけど、なんとなく他の人より若そう。頑固そう。こういう人は……
「騎士団長さん、魔王さんのことすごく考えているんだね」
「え……?」
俺の言葉に騎士団長さんが怪訝そうな顔をする。
「俺なりに魔王さんを楽しませるつもりだけど、失敗した時には、俺よりも魔王さんのことをしっかり考えている騎士団長さんに相談するから。その時はアドバイスよろしく」
「え……? あ、あぁ……」
「あらあら~! ほら、良い子じゃないですか」
俺の言葉にひるんだ騎士団長さんに、おばあちゃん魔族がニコニコと声をかける。
「まずは好きにさせてみましょう? 魔王様もたまには違う感じのペットを楽しんだ方が良いと思いますし」
「そうですよ。いつまでもニマにこだわっていては……」
「それも……そうだな。見た目は申し分ないし……少しでも魔王様のご機嫌を損なうことがあれば、俺が言うように振る舞ってもらうからな! それと、執事長や城の者に迷惑をかけるなよ!」
「わかった」
俺が笑顔で頷くと、騎士団長さんは怒っているとも言いきれない微妙な顔で部屋から出て行った。
まぁ、成功かな?
こういうの、最初が肝心だからね。
「ふふっ、本当にきれいで楽しい子が来てくれて嬉しいわ。私はドーラル。このお城のことを仕切っている世話係みたいなものだから、何かあれば遠慮なく相談してくださいね」
「ドーラルさんね、よろしく」
「私はこの国の政治の方を仕切っています、ファイです。どうぞ、魔王様を楽しませてくださいね」
「ファイさんもよろしく」
周囲を伺うと、おおむね「良さそうな子じゃないか」「今までで一番美しい」「魔王様の楽しそうなお顔……よかった」なんて反応のようだ。
「みなさん、今日から三年間よろしくね」
俺が全方向に笑顔を振りまくと、ほぼ全員が「よろしくお願いします」「ライト様、よろしく!」と拍手までしてくれた。
……俺の計算どおりではあるけど、あまりにチョロすぎてちょっと怖い。
「承知致しました」
俺の斜め後ろ辺りで男の人の声が聞こえた後、魔王さんは王座から立ち上がって後ろの……どこかに繋がる扉へと消えていった。
へぇ。ペットってずっと連れ歩かれるかと思ったけど違うんだ?
さて、俺はこれから執事長さんとかいう人とどこか行くのかな……?
後ろを向こうとした瞬間、ガチャンガチャンと派手な音をさせて、甲冑の魔族が階段を降りて来た。
あ、やばい?
「なんて生意気なペットなんだ……! 魔王様がお優しいからと調子に乗って!」
「あー……」
これはフォローがいるか……とりあえず大人しく近づいてくる甲冑の魔族に笑顔を向けていると、両横からローブを着た赤髪のオカッパでサンタクロースみたいな髭のおじいちゃん魔族と、黒くてごてごてした装飾のドレスを着た紫のお団子ヘアのおばあちゃん魔族が間に入ってくれた。
「まぁまぁ騎士団長。か弱い人間が魔王様に怯えずになつくなんて微笑ましいじゃないですか」
「そうですわ。あの魔王様の楽しそうなお顔。良い子が来ましたわね」
「なにより、とても美形だし!」
「ねぇ、美形ですわよね!」
おじいちゃんとおばあちゃんが盛り上がっているのを見て、甲冑の魔族が複雑そうな顔をする。
「確かに今までのペットより美形だが、しかし……」
この魔族も俺のことを美形とは思ってくれているんだ?
で、三人の会話的にこの水色の髪の甲冑魔族は「騎士団長」か。
偉い人ではあるけど、なんとなく他の人より若そう。頑固そう。こういう人は……
「騎士団長さん、魔王さんのことすごく考えているんだね」
「え……?」
俺の言葉に騎士団長さんが怪訝そうな顔をする。
「俺なりに魔王さんを楽しませるつもりだけど、失敗した時には、俺よりも魔王さんのことをしっかり考えている騎士団長さんに相談するから。その時はアドバイスよろしく」
「え……? あ、あぁ……」
「あらあら~! ほら、良い子じゃないですか」
俺の言葉にひるんだ騎士団長さんに、おばあちゃん魔族がニコニコと声をかける。
「まずは好きにさせてみましょう? 魔王様もたまには違う感じのペットを楽しんだ方が良いと思いますし」
「そうですよ。いつまでもニマにこだわっていては……」
「それも……そうだな。見た目は申し分ないし……少しでも魔王様のご機嫌を損なうことがあれば、俺が言うように振る舞ってもらうからな! それと、執事長や城の者に迷惑をかけるなよ!」
「わかった」
俺が笑顔で頷くと、騎士団長さんは怒っているとも言いきれない微妙な顔で部屋から出て行った。
まぁ、成功かな?
こういうの、最初が肝心だからね。
「ふふっ、本当にきれいで楽しい子が来てくれて嬉しいわ。私はドーラル。このお城のことを仕切っている世話係みたいなものだから、何かあれば遠慮なく相談してくださいね」
「ドーラルさんね、よろしく」
「私はこの国の政治の方を仕切っています、ファイです。どうぞ、魔王様を楽しませてくださいね」
「ファイさんもよろしく」
周囲を伺うと、おおむね「良さそうな子じゃないか」「今までで一番美しい」「魔王様の楽しそうなお顔……よかった」なんて反応のようだ。
「みなさん、今日から三年間よろしくね」
俺が全方向に笑顔を振りまくと、ほぼ全員が「よろしくお願いします」「ライト様、よろしく!」と拍手までしてくれた。
……俺の計算どおりではあるけど、あまりにチョロすぎてちょっと怖い。
255
お気に入りに追加
3,622
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
異世界転生して病んじゃったコの話
るて
BL
突然ですが、僕、異世界転生しちゃったみたいです。
これからどうしよう…
あれ、僕嫌われてる…?
あ、れ…?
もう、わかんないや。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
異世界転生して、病んじゃったコの話
嫌われ→総愛され
性癖バンバン入れるので、ごちゃごちゃするかも…
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる