ゲイのエッチなお兄さん

回路メグル

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本編4

甘やかしよしよしセックス【1】

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 ワイン、コーヒー、パンが好きという理由でフランスに本社がある食品メーカーに就職して、もう一〇年以上。
 好きなワインを売るのは楽しいし、社内のコーヒーメーカーは良い豆が入っているし、外資系だからかゲイをオープンにしていてもあからさまな差別を受けることは無い。給料も良いし休みがとりやすい。同僚にも恵まれている。
 どこのバーにも入っているような定番人気商品もあるので、業績も安泰。
 新商品の発売や決算期以外は残業も多くないから、会社帰りにジムによって細マッチョの体形維持ができるし、恋人の家に寄ってイチャイチャすることだってできる。

 そんな順調すぎる社会人人生でも、たまにトラブルは起こってしまう。


      ◆


「吉崎先輩、ニュース観ました? フランス、異常気象って」

 出社してすぐ、隣の席の後輩が暗い顔で話しかけてきた。

「観た。洪水に地震に季節外れの熱波……なんで今年はこんなに重なるんだろうな?」
「ヤバイですよね。定番商品は何とかなるとしても、新商品はただでさえ希少な高級品種のブドウで造るのに」
「まぁ、入ってくる数が減れば、よりプレミア感を出して売るのもアリだな」
「あ、そうですね! 流石吉崎先輩!」

 最初はそんなことを話していたが、その後もフランスの異常気象は数週間続き、本社と工場がある地域では歴史的な農作物の不作……特にわが社の主力商品に欠かせないブドウの不作に陥った。
 更に、本社下請け工場のストライキ、原油価格の高騰による輸送ルートの縮小……。
 この秋に予定していた新商品の、日本未入荷が決定してしまった。



「CM、ローンチイベント、タイアップ、スーパー店頭用の什器にPOP……全部……無駄か……」
「CMは撮影前だし、商品の発表前なのがせめてもの救いですね……」

 こんなこと、今までも沢山あった。
 しかし、今回は昇進して初めて、営業企画課の課長として俺がすべてを仕切った新商品だったのに……。

「吉崎、残念だがお前の責任ではないし、今回準備したものは来年使えるかもしれないし、あまり気を落とすなよ」
「イベント会社や広告代理店の担当者さんも、キャンセルは仕方ない、むしろ災難でしたねって言ってくれていますし」

 上司も後輩も他の同僚も優しく慰めてくれたし、仕事の評価には関わらないと言われた。
 やはり俺は職場に恵まれている。だから、すぐにでも気持ちを切り替えないといけない。

「あぁ。そうだよな。落ち込んでいる場合じゃないよな。新商品が無い分、既存商品を盛り上げる売り方を考えるか」
「はい!」

 優しい同僚たちに笑顔を向けたものの、内心は……「今夜、恋人にたっぷり癒してもらおう」と決めていた。
 
 誰もが「美形」と認める整った顔に自分磨きを怠らないモデル体型とキメの細かい肌、少し癖のある長めの黒髪もいつもキレイで外見だけでも最高なのに、何でも楽しむことが得意で、いつも笑顔で、飄々としているように見えて情に厚く、自分の周囲の人を本当に大切にする優しい子で……とにかく最高で……。

 誰よりもエッチな、大事な恋人に。
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