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本編3/ 「成長」の話
風俗店長と恋人【12】
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「疲れた……」
リニューアルオープンから一週間。
大きなトラブルもなく、お客さんからもボーイからも好評で、売り上げも目標を達成して迎えることができた初めての店休日。
店は休みでも、事務所で書類仕事を片付けて、自宅に戻れたのは夕方だった。
「お疲れ様」
玄関を入ってすぐに、フミハルさんが優しい笑顔で私を抱きしめてくれたところで、今日までずーーーーーーっと張り詰めていた緊張の糸が切れた。
いつもは昼過ぎ出社で深夜か朝に帰宅だけど、今日はもう店に行かなくていい。明日の昼までフリー。
やっとゆっくり休める。
ここまでとにかく忙しかった。
準備期間含めて休みなんて一日も無くて、体を動かすことから事務仕事、デザイン、面接、エッチなことまで、あらゆるジャンルの仕事が押し寄せてきて、頭も体もキャパオーバー。
たった数日前のことですら記憶が曖昧だし、体はくたくたでフミハルさんに支えてもらわなかったら、このまま玄関で倒れていたと思う。
でも……
こんなに疲れているのに……
「やっと休めるね。今夜はゆっくり風呂に浸かって早めに寝よう?」
「嫌」
「……トキくん?」
こんなに疲れているのに……疲れているからかしら。
「エッチしたい」
「……!」
フミハルさんの匂いを嗅いだだけで硬くなった股間を押し当てて「店で準備してきた」と囁くと、優しい彼氏は「しかたないな」と笑いながらベッドに連れて行ってくれた。
◆
「あぁん! それ、いい、いいぃ!」
一ヶ月と一週間ぶりのセックス。
中に入ってくるペニスの大きさが苦しいんだけど、その苦しさすら気持ちよかった。
「仕事頑張ったご褒美」
フミハルさんはそんなことを言いながら私の好きなことばかりをしてくれた。
感じやすい乳首を指先でねちっこく弄って、ペニスの先端を先走りを塗り込むように撫でて、最近お気に入りの深い舌の絡むキスをしながらの奥を小刻みに突くピストン。
いっぱい可愛がってもらって、求めてもらって、いやらしく絡み合いながら体の深いところから快感がどんどん大きくなっていく。
最高♡
「ん、好き。私、やっぱり好き」
「俺も、好きだよ……ほら、イって? 好きなのいっぱいしてあげるから」
「あ、そこ、いいとこ、よすぎ……っもう!」
「ん、俺も……っ」
恋人らしく甘えて、甘やかしてもらって、私の好きなことしかされないセックス。
あぁ幸せ。
大好きな人と大好きなセックスができるって最高♡
仕事が順調でプライベートが幸せで、私もう何もいらない。
◆
リニューアルから一ヶ月。
オープン特需が終わっても、しっかり客を掴めたようで、売り上げは目標の二割増しペースが続いているし、ボーイのみんなも「この感じなら暫く続けられそう」とおおむね好評で仕事は安泰。
恋人とのプライベートは、時間が合わないことも多いけど、週に一回店が休みの日にデートをしてセックスをするのが定番になった。
風俗ボーイとして働いて、空いた時間には男遊びをしていた頃に比べて、刺激はないけど充実して幸せな日々。
なかなか良い感じで人生のステップアップができたんじゃない?
今夜も予約でみっちり埋まったボーイの出勤表を眺めつつ、そんなことを思いながら受付に立っていると、プレイを終えた小太りの年配男性が声をかけてきた。
「よ、ミマちゃん!」
「あら、ケンさん」
前の店からの常連さんで、私も若い頃は何度も指名してもらったタチのケンさんだ。
「ミマちゃん店長、上手くやってるじゃねぇか。予約がしやすくなったし、個室は居心地良いし……このオプションセットが特にいいな。プレイの流れが解るからこっちも楽しみやすい」
「でしょう? 私が得意だったプレイに合わせて作ったの。ボーイにも『解りやすくてサービスに集中できます』って好評よ」
店長としての仕事を褒めてもらえるのもなかなか嬉しいものね。
ついつい自慢げに返事をしてしまうと、ケンさんはプレイを終えてすぐのツヤツヤの顔で大きく頷いてくれた。
「おぅ、そのボーイもいいのそろえたじゃねぇか。今日つけてもらったミミちゃん。見た目も天使だし、テクもやばくて天国に連れて行かれるかと思った」
「ふふっ。あの子いいでしょ? 見た目があれだけ良いのに、見た目に頼らずちゃーんとテクニックを磨く努力家ちゃんなのよ」
今回新しく採用した子の中で、一番気に入っているボーイのミミちゃん。絶対に売れると思って採用したんだけど、私の見る目は間違ってなかったのね。
店長として嬉しくて、思わず表情を緩めていると、ケンさんはニヤニヤとなぜか下品な笑顔を向けてくる。
「丸くなったなぁ、ミマちゃん。昔は自分以外のボーイを褒められるとすぐにムキになって怒るか色仕掛けしてくるかだったのに」
「だって私もう店長さんだもの」
「それだけかぁ? な~んか雰囲気が丸いんだよな。色気どこに忘れてきたんだよ?」
「ふふっ、実はね……彼氏できたの」
「えぇ!? ミマちゃんに、彼氏!? ミマちゃんの性欲受け入れられるなんてどんな絶倫だ?」
ケンさんは大げさに驚いたあと、下世話な笑みを浮かべる。
もう。下ネタ大好きなおじさんなんだから。
……そういうところ、楽しくていいと思うけど。
「普通の性欲よ。愛のあるエッチなら一晩に二回もすれば大満足なんだから」
「はぁ!? ミマちゃんが? 一晩に二回? おいおい、無理するなよ?」
「してないわよ。私の彼氏、と~~~っても上手で優しくて回数が少なくても充分満足させてくれるの」
「マジかよ……優しくて上手なのもいいけど、乱暴に扱われるのも、あえて下手なテク無しとヤるのも違った楽しみがあるとか言ってありとあらゆるセックスを楽しんでいたミマちゃんが……はぁ~~~恋ってすげぇなぁ」
「そうなの。恋人エッチの良さ、知っちゃった♡」
「はぁ~信じられねぇ。ミマちゃんは最後まで誰のものにもならねぇと思ってたのに。まぁいいや、これからはミミちゃん指名で通うから。ミマちゃんも彼氏に飽きたら一回くらい相手してやるよ」
ケンさんは最後まで下世話な笑顔のままだったけど「それじゃあ、釣りは祝儀ってことで」なんて言いながら少し多めの料金を置いて店を出て行った。
「もう。あいかわらずなんだから」
彼氏への惚気を聞いても「相手してやるよ」なんて呆れちゃうわね。
呆れちゃうけど……。
「確かに、いつも上手で優しいセックスばかりなのよね……」
ケンさんが言う「ちょっと乱暴に扱われる遠慮のない激しいガンガンセックス」や「あえて下手な子のもどかしいテクニックでイけそうでイけないじれったい快感を楽しむセックス」も好きだった。
毎回相手を変えて、違うセックスを楽しむのが好きだった。
それが趣味だし、どんなセックスも楽しめるようにテクニックも体も磨いていたし……。
「だめ。ちがう。こんなに幸せなのに何贅沢言ってるの? 私、こんなに幸せなんだから……うん」
自分に言い聞かせるように「幸せ」と三度呟いた。
リニューアルオープンから一週間。
大きなトラブルもなく、お客さんからもボーイからも好評で、売り上げも目標を達成して迎えることができた初めての店休日。
店は休みでも、事務所で書類仕事を片付けて、自宅に戻れたのは夕方だった。
「お疲れ様」
玄関を入ってすぐに、フミハルさんが優しい笑顔で私を抱きしめてくれたところで、今日までずーーーーーーっと張り詰めていた緊張の糸が切れた。
いつもは昼過ぎ出社で深夜か朝に帰宅だけど、今日はもう店に行かなくていい。明日の昼までフリー。
やっとゆっくり休める。
ここまでとにかく忙しかった。
準備期間含めて休みなんて一日も無くて、体を動かすことから事務仕事、デザイン、面接、エッチなことまで、あらゆるジャンルの仕事が押し寄せてきて、頭も体もキャパオーバー。
たった数日前のことですら記憶が曖昧だし、体はくたくたでフミハルさんに支えてもらわなかったら、このまま玄関で倒れていたと思う。
でも……
こんなに疲れているのに……
「やっと休めるね。今夜はゆっくり風呂に浸かって早めに寝よう?」
「嫌」
「……トキくん?」
こんなに疲れているのに……疲れているからかしら。
「エッチしたい」
「……!」
フミハルさんの匂いを嗅いだだけで硬くなった股間を押し当てて「店で準備してきた」と囁くと、優しい彼氏は「しかたないな」と笑いながらベッドに連れて行ってくれた。
◆
「あぁん! それ、いい、いいぃ!」
一ヶ月と一週間ぶりのセックス。
中に入ってくるペニスの大きさが苦しいんだけど、その苦しさすら気持ちよかった。
「仕事頑張ったご褒美」
フミハルさんはそんなことを言いながら私の好きなことばかりをしてくれた。
感じやすい乳首を指先でねちっこく弄って、ペニスの先端を先走りを塗り込むように撫でて、最近お気に入りの深い舌の絡むキスをしながらの奥を小刻みに突くピストン。
いっぱい可愛がってもらって、求めてもらって、いやらしく絡み合いながら体の深いところから快感がどんどん大きくなっていく。
最高♡
「ん、好き。私、やっぱり好き」
「俺も、好きだよ……ほら、イって? 好きなのいっぱいしてあげるから」
「あ、そこ、いいとこ、よすぎ……っもう!」
「ん、俺も……っ」
恋人らしく甘えて、甘やかしてもらって、私の好きなことしかされないセックス。
あぁ幸せ。
大好きな人と大好きなセックスができるって最高♡
仕事が順調でプライベートが幸せで、私もう何もいらない。
◆
リニューアルから一ヶ月。
オープン特需が終わっても、しっかり客を掴めたようで、売り上げは目標の二割増しペースが続いているし、ボーイのみんなも「この感じなら暫く続けられそう」とおおむね好評で仕事は安泰。
恋人とのプライベートは、時間が合わないことも多いけど、週に一回店が休みの日にデートをしてセックスをするのが定番になった。
風俗ボーイとして働いて、空いた時間には男遊びをしていた頃に比べて、刺激はないけど充実して幸せな日々。
なかなか良い感じで人生のステップアップができたんじゃない?
今夜も予約でみっちり埋まったボーイの出勤表を眺めつつ、そんなことを思いながら受付に立っていると、プレイを終えた小太りの年配男性が声をかけてきた。
「よ、ミマちゃん!」
「あら、ケンさん」
前の店からの常連さんで、私も若い頃は何度も指名してもらったタチのケンさんだ。
「ミマちゃん店長、上手くやってるじゃねぇか。予約がしやすくなったし、個室は居心地良いし……このオプションセットが特にいいな。プレイの流れが解るからこっちも楽しみやすい」
「でしょう? 私が得意だったプレイに合わせて作ったの。ボーイにも『解りやすくてサービスに集中できます』って好評よ」
店長としての仕事を褒めてもらえるのもなかなか嬉しいものね。
ついつい自慢げに返事をしてしまうと、ケンさんはプレイを終えてすぐのツヤツヤの顔で大きく頷いてくれた。
「おぅ、そのボーイもいいのそろえたじゃねぇか。今日つけてもらったミミちゃん。見た目も天使だし、テクもやばくて天国に連れて行かれるかと思った」
「ふふっ。あの子いいでしょ? 見た目があれだけ良いのに、見た目に頼らずちゃーんとテクニックを磨く努力家ちゃんなのよ」
今回新しく採用した子の中で、一番気に入っているボーイのミミちゃん。絶対に売れると思って採用したんだけど、私の見る目は間違ってなかったのね。
店長として嬉しくて、思わず表情を緩めていると、ケンさんはニヤニヤとなぜか下品な笑顔を向けてくる。
「丸くなったなぁ、ミマちゃん。昔は自分以外のボーイを褒められるとすぐにムキになって怒るか色仕掛けしてくるかだったのに」
「だって私もう店長さんだもの」
「それだけかぁ? な~んか雰囲気が丸いんだよな。色気どこに忘れてきたんだよ?」
「ふふっ、実はね……彼氏できたの」
「えぇ!? ミマちゃんに、彼氏!? ミマちゃんの性欲受け入れられるなんてどんな絶倫だ?」
ケンさんは大げさに驚いたあと、下世話な笑みを浮かべる。
もう。下ネタ大好きなおじさんなんだから。
……そういうところ、楽しくていいと思うけど。
「普通の性欲よ。愛のあるエッチなら一晩に二回もすれば大満足なんだから」
「はぁ!? ミマちゃんが? 一晩に二回? おいおい、無理するなよ?」
「してないわよ。私の彼氏、と~~~っても上手で優しくて回数が少なくても充分満足させてくれるの」
「マジかよ……優しくて上手なのもいいけど、乱暴に扱われるのも、あえて下手なテク無しとヤるのも違った楽しみがあるとか言ってありとあらゆるセックスを楽しんでいたミマちゃんが……はぁ~~~恋ってすげぇなぁ」
「そうなの。恋人エッチの良さ、知っちゃった♡」
「はぁ~信じられねぇ。ミマちゃんは最後まで誰のものにもならねぇと思ってたのに。まぁいいや、これからはミミちゃん指名で通うから。ミマちゃんも彼氏に飽きたら一回くらい相手してやるよ」
ケンさんは最後まで下世話な笑顔のままだったけど「それじゃあ、釣りは祝儀ってことで」なんて言いながら少し多めの料金を置いて店を出て行った。
「もう。あいかわらずなんだから」
彼氏への惚気を聞いても「相手してやるよ」なんて呆れちゃうわね。
呆れちゃうけど……。
「確かに、いつも上手で優しいセックスばかりなのよね……」
ケンさんが言う「ちょっと乱暴に扱われる遠慮のない激しいガンガンセックス」や「あえて下手な子のもどかしいテクニックでイけそうでイけないじれったい快感を楽しむセックス」も好きだった。
毎回相手を変えて、違うセックスを楽しむのが好きだった。
それが趣味だし、どんなセックスも楽しめるようにテクニックも体も磨いていたし……。
「だめ。ちがう。こんなに幸せなのに何贅沢言ってるの? 私、こんなに幸せなんだから……うん」
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