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本編2
【理想】関西弁の楽しいお兄さん【3】
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「そや、まだ名前聞いてへんかった。お兄さん、何さんなん?」
「ユキ。よろしくね」
近くのラブホ街へと歩く間に自己紹介をすると、ガネさんは嬉しそうに俺の名前を反芻した。
「ユキさんな。きれいな名前やね。エッチの時も呼びやすいし」
「ふふっ。呼びやすいって」
「大事やで? 呼びにくい東京特許許可局みたいな名前やったらエッチの時に噛んでもうて雰囲気悪なるやん?」
気にしたこと無かったけど、納得してしまった。
エッチ向きの名前ってあるかも。
俺のこのあだ名も、昔のあだ名は可愛くなくて若干ムード壊すこともあるかもとゲイの大先輩にアドバイスをもらって変えたあだ名だし。
「確かに。じゃあガネさんもガネさんで良かった。喘ぎながらでも呼びやすそう」
「せやろ? しかも眼鏡してるから名前忘れにくい、間違えにくい……便利やと思わん?」
「じゃあ、顔の見える体位でしないと」
「そういうこと。俺もユキさんのキレイな顔見たいし……あ、もうこの辺りホテル街やねん。関西らしいオモロい部屋と普通のキレイな部屋、どっちがえぇ?」
ガネさんが足を止めたこの裏路地は、確かにラブホテルが点在しているようだった。
シティホテルっぽい見た目の建物もあれば、豪華すぎるお城のような建物も、ファンシーでカラフルな建物もある。
「折角なら関西……でも、エッチに集中したいから普通……?」
好奇心はある。
でも、面白い体験をしに来たんじゃなくて、気持ちいいセックスをしに来たんだし……と本音を漏らすと、ガネさんはなぜかとても嬉しそうに笑みを深めた。
「それやったら、普通にえぇホテル行こ。もう一筋先にオススメのとこあんねん」
そう言って案内されたホテルは確かに普通に小奇麗なホテルだった。
「この部屋でえぇ?」
入り口でガネさんが選んだ部屋も、広くて清潔でシンプルで、でも安っぽくはない、シックな茶色ベースの部屋。
ベッドが大きくて良いなとは思うけど。
「良い感じの部屋だね。出張で泊まってるビジネスホテルより絶対に居心地いい」
「それやったら朝までいたらえぇやん? ここ、朝ごはんも美味いんよ」
「朝までか……俺はいいけど、ガネさん体力もつ?」
「朝までいるなら朝までヤるん? ガネさん来年三〇歳なんよ? 体力考えて?」
「大丈夫。ガネさんより年上だけど朝までつきあってくれる人今までにもいたから」
「もう、またプレッシャーかけるやん!」
口では困ったように言いながらも、ガネさんは常ににこにこと笑顔でいてくれて、まだ服も脱いでいないのにセックスも楽しそうだと期待が高まる。
「俺、仕事終わってすぐやからシャワー浴びるけど?」
「俺はいいかな。来る前に浴びて準備もしてるから」
「ほなちょっと……これ見ながら待ってて」
「え?」
ガネさんがベッドの横のチェストの引き出しを開けて、そこを指差したあとシャワールームへと消えていった。
「……?」
スーツのジャケットを入り口のハンガーラックにかけて、スラックスもついでに脱ぎ、シャツと下着だけになってから、ベッドに腰掛けてそこを覗き込むと……引き出しの中身は想像以上に楽しい物だった。
◆
「お待たせ~」
「あ! ガネさん! ここすごいね! もうすごく楽しい!」
「えぇやろ? このホテルのサービス」
腰にバスタオルを巻いただけの格好で出てきたガネさんは、俺の反応に満足げに笑うと、すぐ隣……体が密着する距離でベッドに腰掛けた。
「これ、どれ使ってもいいの?」
「えぇよ。ユキさんが気になったの選んで」
二人で覗き込む引き出しの中には、約二〇種類の様々なコンドームの箱が入っていた。
確かに引き出しの淵に「ご自由にお使いください ※持ち帰り禁止。射精回数分だけご使用ください」と書かれたシールが貼ってある。
「温熱、粒々、派手色、蓄光、チョコ味、迷うなぁ……あ! このスパイラル形状、使ったことない」
「あぁ、それはタチが気持ちいいだけやからやめといたら?」
「え? でもガネさんが気持ちいいなら……」
「えぇって。折角二人でヤるんやから二人とも楽しい方がえぇやん」
「……!」
良い人!
というか、良いなぁ。
セックスを楽しもうって考えてくれているのがよく解る。
……どうしよう。すごくすごくすごく期待しちゃってる。
「この辺はえぇの? えっちな気分になる香りのローションたっぷりのやつとかあるで?」
「これは使ったことあるから……あと、これとこれとこっちのここからここまでも」
「めっちゃ使ってるやん」
「ガネさんは? 使ったことないのは?」
「ん~……これとこれはないわ」
「SサイズとXLサイズ……それ、ただのサイズの問題……つまり、全制覇?」
「そういうこと」
ガネさんが自慢げに笑う。
遊んでるんだ。
慣れてるんだ。
……益々期待しちゃうな。
「オススメは?」
「うーん。使ったこと無い中やったらこれは? 生感覚のステルスローション付き。それか、こっちの粒々とホットローションのダブル刺激のやつ。どっちも入れる瞬間いつもと違う感じで楽しいからオススメやで」
オススメはどちらも面白いだけじゃなくてちゃんと気持ちよくなる機能性重視。
……気が合うのか、俺の好みを一瞬で見抜いてくれてるのか……。
こんなの……。
「ガネさん……」
密着している体を更に摺り寄せて、ガネさんの顔を覗き込む。
「どっちか?」
「っ……どっちもしよ!」
「やった♡」
ガネさんがそれぞれの箱からコンドームの袋を一つずつ取り出して枕元に置く。
「合わんかった時用な?」
そういって一番無難な0.03の定番のコンドームも一袋。
こういう気遣い、いいなぁ。
いや、良いというか……気が合うな。
うん。
やっぱり今夜は最高のセックスが期待できそう。
「ユキ。よろしくね」
近くのラブホ街へと歩く間に自己紹介をすると、ガネさんは嬉しそうに俺の名前を反芻した。
「ユキさんな。きれいな名前やね。エッチの時も呼びやすいし」
「ふふっ。呼びやすいって」
「大事やで? 呼びにくい東京特許許可局みたいな名前やったらエッチの時に噛んでもうて雰囲気悪なるやん?」
気にしたこと無かったけど、納得してしまった。
エッチ向きの名前ってあるかも。
俺のこのあだ名も、昔のあだ名は可愛くなくて若干ムード壊すこともあるかもとゲイの大先輩にアドバイスをもらって変えたあだ名だし。
「確かに。じゃあガネさんもガネさんで良かった。喘ぎながらでも呼びやすそう」
「せやろ? しかも眼鏡してるから名前忘れにくい、間違えにくい……便利やと思わん?」
「じゃあ、顔の見える体位でしないと」
「そういうこと。俺もユキさんのキレイな顔見たいし……あ、もうこの辺りホテル街やねん。関西らしいオモロい部屋と普通のキレイな部屋、どっちがえぇ?」
ガネさんが足を止めたこの裏路地は、確かにラブホテルが点在しているようだった。
シティホテルっぽい見た目の建物もあれば、豪華すぎるお城のような建物も、ファンシーでカラフルな建物もある。
「折角なら関西……でも、エッチに集中したいから普通……?」
好奇心はある。
でも、面白い体験をしに来たんじゃなくて、気持ちいいセックスをしに来たんだし……と本音を漏らすと、ガネさんはなぜかとても嬉しそうに笑みを深めた。
「それやったら、普通にえぇホテル行こ。もう一筋先にオススメのとこあんねん」
そう言って案内されたホテルは確かに普通に小奇麗なホテルだった。
「この部屋でえぇ?」
入り口でガネさんが選んだ部屋も、広くて清潔でシンプルで、でも安っぽくはない、シックな茶色ベースの部屋。
ベッドが大きくて良いなとは思うけど。
「良い感じの部屋だね。出張で泊まってるビジネスホテルより絶対に居心地いい」
「それやったら朝までいたらえぇやん? ここ、朝ごはんも美味いんよ」
「朝までか……俺はいいけど、ガネさん体力もつ?」
「朝までいるなら朝までヤるん? ガネさん来年三〇歳なんよ? 体力考えて?」
「大丈夫。ガネさんより年上だけど朝までつきあってくれる人今までにもいたから」
「もう、またプレッシャーかけるやん!」
口では困ったように言いながらも、ガネさんは常ににこにこと笑顔でいてくれて、まだ服も脱いでいないのにセックスも楽しそうだと期待が高まる。
「俺、仕事終わってすぐやからシャワー浴びるけど?」
「俺はいいかな。来る前に浴びて準備もしてるから」
「ほなちょっと……これ見ながら待ってて」
「え?」
ガネさんがベッドの横のチェストの引き出しを開けて、そこを指差したあとシャワールームへと消えていった。
「……?」
スーツのジャケットを入り口のハンガーラックにかけて、スラックスもついでに脱ぎ、シャツと下着だけになってから、ベッドに腰掛けてそこを覗き込むと……引き出しの中身は想像以上に楽しい物だった。
◆
「お待たせ~」
「あ! ガネさん! ここすごいね! もうすごく楽しい!」
「えぇやろ? このホテルのサービス」
腰にバスタオルを巻いただけの格好で出てきたガネさんは、俺の反応に満足げに笑うと、すぐ隣……体が密着する距離でベッドに腰掛けた。
「これ、どれ使ってもいいの?」
「えぇよ。ユキさんが気になったの選んで」
二人で覗き込む引き出しの中には、約二〇種類の様々なコンドームの箱が入っていた。
確かに引き出しの淵に「ご自由にお使いください ※持ち帰り禁止。射精回数分だけご使用ください」と書かれたシールが貼ってある。
「温熱、粒々、派手色、蓄光、チョコ味、迷うなぁ……あ! このスパイラル形状、使ったことない」
「あぁ、それはタチが気持ちいいだけやからやめといたら?」
「え? でもガネさんが気持ちいいなら……」
「えぇって。折角二人でヤるんやから二人とも楽しい方がえぇやん」
「……!」
良い人!
というか、良いなぁ。
セックスを楽しもうって考えてくれているのがよく解る。
……どうしよう。すごくすごくすごく期待しちゃってる。
「この辺はえぇの? えっちな気分になる香りのローションたっぷりのやつとかあるで?」
「これは使ったことあるから……あと、これとこれとこっちのここからここまでも」
「めっちゃ使ってるやん」
「ガネさんは? 使ったことないのは?」
「ん~……これとこれはないわ」
「SサイズとXLサイズ……それ、ただのサイズの問題……つまり、全制覇?」
「そういうこと」
ガネさんが自慢げに笑う。
遊んでるんだ。
慣れてるんだ。
……益々期待しちゃうな。
「オススメは?」
「うーん。使ったこと無い中やったらこれは? 生感覚のステルスローション付き。それか、こっちの粒々とホットローションのダブル刺激のやつ。どっちも入れる瞬間いつもと違う感じで楽しいからオススメやで」
オススメはどちらも面白いだけじゃなくてちゃんと気持ちよくなる機能性重視。
……気が合うのか、俺の好みを一瞬で見抜いてくれてるのか……。
こんなの……。
「ガネさん……」
密着している体を更に摺り寄せて、ガネさんの顔を覗き込む。
「どっちか?」
「っ……どっちもしよ!」
「やった♡」
ガネさんがそれぞれの箱からコンドームの袋を一つずつ取り出して枕元に置く。
「合わんかった時用な?」
そういって一番無難な0.03の定番のコンドームも一袋。
こういう気遣い、いいなぁ。
いや、良いというか……気が合うな。
うん。
やっぱり今夜は最高のセックスが期待できそう。
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