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本編2
脱童貞イメージプレイ【8】
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「楽しかったね~! 三回戦目くらいには包帯とか薬品とか使っちゃおうかと思ったけど、脱童貞って設定だけでしっかり楽しめるね」
俺もシャワーを浴びて、二人とも白衣や学ランを脱いでラブホテルを出た。
時間がまだ早いから食事にでも行こうかと繁華街の方へ歩くユキさんは、もういつものユキさんだ。
この通常営業な感じ、安心する。
「よかった。俺が楽しいだけじゃなかったんですね」
「うん。今日はソウタくんを楽しませるぞって意気込んできたけど、最終的に楽しんでたのは俺の方かも」
本来は飽きっぽいし、自分のヤりたいセックスができないと嫌というタイプのユキさんなのに、最初から最後まで俺に合わせてくれて……服装、設定、台詞、トラウマへの気遣い……他にも細かい部分色々、思い返せば俺のリクエストを全部叶えてくれている。
楽しかったとは言ってくれて安心はしたけど、しっかりお礼をしないとな。
この後の食事は奢るとして……そうだ!
「次はユキさんのやりたい初体験しませんか?」
「え?」
実は、ずっと気になっていたんだ。
初めて俺とセックスをしてくれた時、今日のセックスに誘ってくれた時、ユキさんは自分の初体験を少し苦く思っているようだった。
そうじゃなかったとしても、「二種類の初体験が味わえるのいいね!」くらいに言ってくれると思った。
でも……。
「……遠慮しようかな」
少し考えた後、ユキさんは落ち着いた笑顔で首を振った。
……あれ?
「あ、俺じゃ、理想の初体験はできませんか?」
ユキさん好みの細マッチョではないし、租チンの俺ではできないようなセックスが希望なのかもしれない。
それなら仕方がないんだけど……?
「違うよ」
ユキさんが困ったようにまた首を振った。
「確かに俺の初体験は……楽しくはなかったんだけど、あれはあれで俺の大事な体験だから、上書きしなくてもいいかな」
「ユキさん……?」
笑顔なんだけど……笑顔なんだけど、何でだろう。
ユキさんの表情は寂しそうに見えた。
「それよりもソウタくん、童貞高校生役上手すぎ」
ユキさんの顔が一瞬で明るいいつもの色気を垂れ流す笑顔になる。
「え? そ、そうですか? ユキさんが上手いからつられたんだと思いますよ」
「そうかな? 俺もエッチな先生の才能ある?」
「ありすぎですよ」
俺も普通に、明るく返せばユキさんは楽しそうににこにこと笑ってくれた。
「そっか~。やってる間もすごく楽しかったし、俺、イメージプレイ好きかも。設定を色々変えればなかなか飽きなさそうだし」
「はは、そうかもしれないですね」
「ね、またしよう! 次は家庭教師と生徒が良いなぁ。ちょっとだけ強引に襲われちゃうのも楽しそう♡」
「いいですねそれ。そういうAV観て勉強しておきます」
「うん。俺も」
この後は、繁華街を歩いている間も、カジュアルダイニングで食事をしている間も……最寄り駅で別れるまでずっといつもの笑顔のユキさんだった。
◆
こうして俺の苦い初体験の思い出は、最高の思い出に上書きされた。
事実が消えたわけではないけど、それよりもすごい思い出があるんだと思うと、ポジティブな気持ちでいられる。
ユキさんに感謝しても感謝してもしたりない。
自信をつけてもらって、楽しみ方を教えてもらって、楽しい思い出をもらって……恩返しがしたい。
いや、違うな……恩返しというより……
喜ばせたい。
笑顔にしたい。
幸せにしたい。
うん。
やっぱり……うん。
これはそうだな。
そう言うことだと思う。
あぁ、これは難しいぞ……。
それに、セイジさんに言わなきゃな。
ユキさんのこと、本気で好きになったって。
俺もシャワーを浴びて、二人とも白衣や学ランを脱いでラブホテルを出た。
時間がまだ早いから食事にでも行こうかと繁華街の方へ歩くユキさんは、もういつものユキさんだ。
この通常営業な感じ、安心する。
「よかった。俺が楽しいだけじゃなかったんですね」
「うん。今日はソウタくんを楽しませるぞって意気込んできたけど、最終的に楽しんでたのは俺の方かも」
本来は飽きっぽいし、自分のヤりたいセックスができないと嫌というタイプのユキさんなのに、最初から最後まで俺に合わせてくれて……服装、設定、台詞、トラウマへの気遣い……他にも細かい部分色々、思い返せば俺のリクエストを全部叶えてくれている。
楽しかったとは言ってくれて安心はしたけど、しっかりお礼をしないとな。
この後の食事は奢るとして……そうだ!
「次はユキさんのやりたい初体験しませんか?」
「え?」
実は、ずっと気になっていたんだ。
初めて俺とセックスをしてくれた時、今日のセックスに誘ってくれた時、ユキさんは自分の初体験を少し苦く思っているようだった。
そうじゃなかったとしても、「二種類の初体験が味わえるのいいね!」くらいに言ってくれると思った。
でも……。
「……遠慮しようかな」
少し考えた後、ユキさんは落ち着いた笑顔で首を振った。
……あれ?
「あ、俺じゃ、理想の初体験はできませんか?」
ユキさん好みの細マッチョではないし、租チンの俺ではできないようなセックスが希望なのかもしれない。
それなら仕方がないんだけど……?
「違うよ」
ユキさんが困ったようにまた首を振った。
「確かに俺の初体験は……楽しくはなかったんだけど、あれはあれで俺の大事な体験だから、上書きしなくてもいいかな」
「ユキさん……?」
笑顔なんだけど……笑顔なんだけど、何でだろう。
ユキさんの表情は寂しそうに見えた。
「それよりもソウタくん、童貞高校生役上手すぎ」
ユキさんの顔が一瞬で明るいいつもの色気を垂れ流す笑顔になる。
「え? そ、そうですか? ユキさんが上手いからつられたんだと思いますよ」
「そうかな? 俺もエッチな先生の才能ある?」
「ありすぎですよ」
俺も普通に、明るく返せばユキさんは楽しそうににこにこと笑ってくれた。
「そっか~。やってる間もすごく楽しかったし、俺、イメージプレイ好きかも。設定を色々変えればなかなか飽きなさそうだし」
「はは、そうかもしれないですね」
「ね、またしよう! 次は家庭教師と生徒が良いなぁ。ちょっとだけ強引に襲われちゃうのも楽しそう♡」
「いいですねそれ。そういうAV観て勉強しておきます」
「うん。俺も」
この後は、繁華街を歩いている間も、カジュアルダイニングで食事をしている間も……最寄り駅で別れるまでずっといつもの笑顔のユキさんだった。
◆
こうして俺の苦い初体験の思い出は、最高の思い出に上書きされた。
事実が消えたわけではないけど、それよりもすごい思い出があるんだと思うと、ポジティブな気持ちでいられる。
ユキさんに感謝しても感謝してもしたりない。
自信をつけてもらって、楽しみ方を教えてもらって、楽しい思い出をもらって……恩返しがしたい。
いや、違うな……恩返しというより……
喜ばせたい。
笑顔にしたい。
幸せにしたい。
うん。
やっぱり……うん。
これはそうだな。
そう言うことだと思う。
あぁ、これは難しいぞ……。
それに、セイジさんに言わなきゃな。
ユキさんのこと、本気で好きになったって。
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