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本編2
ポリネシアンセックスのために、期間限定の恋人ごっこ【11】ー恋人5日目ー
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【恋人五日目 -ポリネシアンセックス四日目-】
「実は、有休とっちゃった」
「……え?」
恋人五日目、ポリネシアンセックス四日目の朝。
向かい合って朝食を食べるユキくんが、スーツではなく細身のデニムと襟が大きく開いたオーバーサイズの白いニットで、どうしてかは解らないけどかわいいなと思っていたら……わざわざ休みを取ってくれたのか。
「昨日の昼休みに後輩に人生で初めて恋人できたって惚気て、惚気た後、その……昨日も言ったけど、自覚したらずっとセイジさんのこと考えちゃって、考えたら体がうずいて仕事に集中できなくて……今日はきっと、もっと集中できなさそうだから」
こんな嬉しいことを言ってくれるユキくんの顔がもうすでに色気垂れ流しで……俺だって、三日間の性器に触れない焦らしプレイに加えて、昨夜ユキくんから言われた「大好き」がこべりついている脳でまともに仕事ができるとは思えない。
そうだ。有休申請すればよかった。
「……俺も半休とろうかな」
今日は金曜日、明日と明後日は土日で休みなので、確実に片づけないといけない仕事が多い。
本来なら半休も厳しいが……やってやる。
この目の前のかわいい恋人が俺が「半休」と言った瞬間あからさまに嬉しそうな顔になったんだから、絶対にやってやる。
「じゃあ、家事とか買い物とかして待ってる。だってほら……明日はいよいよだし、ね?」
少し首を傾げる動作があまりに色っぽい。
服装のせいか、色気のせいか、恋人を通り越してなぜか「嫁」という単語が浮かんだ。
有休をとってもらって正解だ。
こんな色気で仕事に行ったら職場で襲われる。
できれば買い物にも行かせたくない。
俺も会社に行きたくない。
行きたくないが……。
「いってらっしゃい♡」
「いってきます」
玄関先で、仕事用の鞄を渡しながら俺の頬にキスをしてくれる姿があまりにも「俺の嫁」という感じがして……この一瞬を噛みしめるために頑張って出社した。
◆
「……」
「先輩、顔怖いですよ」
仕事中、ふと気を抜くとユキくんの顔が浮かんで、浮かんでしまうと下半身もうずいて……忍耐力と持久力自慢のはずなのに、頭も体もおかしくなりそうだった。
それを誤魔化すように、険しい顔をしていつにない気迫でパソコンに向かっていたのだが、後輩や同僚たちは勘違いしてくれたようだ。
「そんなにヤバイ用事なんですか? あとはやっておくんで帰ってくださいよ」
朝のミーティングで半休申請をしたものの、やはり週末の仕事は多く、午前中で帰れる半休と言っても三時くらいまでは仕事をしないといけない覚悟はしていたが……俺の気迫におされて、後輩が仕事を引き継いでくれた。
「ありがとう! 恩に着る。今度奢るから!」
「うな重の美味い店探しておきます」
いくらのうな重を奢らされるのかは解らないが、ユキくんとの時間のためなら料亭の数万円のうな重だって安い物だ。
後輩に感謝しながら、うずく体を抱えて自宅へと急いだ。
◆
「おかえりなさい♡」
一二時半ごろ、家に着くと朝の格好の上からエプロンを付けたユキくんが出迎えてくれた。
「ただいま」
「んっ……」
顔を見るともう我慢がきかず、ユキくんの体を抱きしめて唇を重ねる。
「早かったね」
「早くユキくんの顔が見たくて」
軽いキスを何度もしていくと、俺もユキくんもほとんどセックス中のようなとろけた顔になる。
たったこれだけでもう息も上がる。
「はぁ……ユキくん……」
「セイジさん……んっ……あ、だめ……♡」
こんなに体温が上がっているのに、もっと触れたくて仕方がないのに、ムラムラするのに、ユキくんだって同じ気持ちのはずなのに、ユキくんは俺の胸板に手を突いて身体を離す。
「コンロ、火をつけたままだから。着替えてきて。お昼にしよう?」
ユキくんが廊下の奥のリビングへと小走りで向かっていく。
もっとくっついていたかったのにという気持ちもあるが……このままだと玄関でセックスまでしかねなかった。
こんなに自制が効かなくなる俺を、俺は知らない。
「実は、有休とっちゃった」
「……え?」
恋人五日目、ポリネシアンセックス四日目の朝。
向かい合って朝食を食べるユキくんが、スーツではなく細身のデニムと襟が大きく開いたオーバーサイズの白いニットで、どうしてかは解らないけどかわいいなと思っていたら……わざわざ休みを取ってくれたのか。
「昨日の昼休みに後輩に人生で初めて恋人できたって惚気て、惚気た後、その……昨日も言ったけど、自覚したらずっとセイジさんのこと考えちゃって、考えたら体がうずいて仕事に集中できなくて……今日はきっと、もっと集中できなさそうだから」
こんな嬉しいことを言ってくれるユキくんの顔がもうすでに色気垂れ流しで……俺だって、三日間の性器に触れない焦らしプレイに加えて、昨夜ユキくんから言われた「大好き」がこべりついている脳でまともに仕事ができるとは思えない。
そうだ。有休申請すればよかった。
「……俺も半休とろうかな」
今日は金曜日、明日と明後日は土日で休みなので、確実に片づけないといけない仕事が多い。
本来なら半休も厳しいが……やってやる。
この目の前のかわいい恋人が俺が「半休」と言った瞬間あからさまに嬉しそうな顔になったんだから、絶対にやってやる。
「じゃあ、家事とか買い物とかして待ってる。だってほら……明日はいよいよだし、ね?」
少し首を傾げる動作があまりに色っぽい。
服装のせいか、色気のせいか、恋人を通り越してなぜか「嫁」という単語が浮かんだ。
有休をとってもらって正解だ。
こんな色気で仕事に行ったら職場で襲われる。
できれば買い物にも行かせたくない。
俺も会社に行きたくない。
行きたくないが……。
「いってらっしゃい♡」
「いってきます」
玄関先で、仕事用の鞄を渡しながら俺の頬にキスをしてくれる姿があまりにも「俺の嫁」という感じがして……この一瞬を噛みしめるために頑張って出社した。
◆
「……」
「先輩、顔怖いですよ」
仕事中、ふと気を抜くとユキくんの顔が浮かんで、浮かんでしまうと下半身もうずいて……忍耐力と持久力自慢のはずなのに、頭も体もおかしくなりそうだった。
それを誤魔化すように、険しい顔をしていつにない気迫でパソコンに向かっていたのだが、後輩や同僚たちは勘違いしてくれたようだ。
「そんなにヤバイ用事なんですか? あとはやっておくんで帰ってくださいよ」
朝のミーティングで半休申請をしたものの、やはり週末の仕事は多く、午前中で帰れる半休と言っても三時くらいまでは仕事をしないといけない覚悟はしていたが……俺の気迫におされて、後輩が仕事を引き継いでくれた。
「ありがとう! 恩に着る。今度奢るから!」
「うな重の美味い店探しておきます」
いくらのうな重を奢らされるのかは解らないが、ユキくんとの時間のためなら料亭の数万円のうな重だって安い物だ。
後輩に感謝しながら、うずく体を抱えて自宅へと急いだ。
◆
「おかえりなさい♡」
一二時半ごろ、家に着くと朝の格好の上からエプロンを付けたユキくんが出迎えてくれた。
「ただいま」
「んっ……」
顔を見るともう我慢がきかず、ユキくんの体を抱きしめて唇を重ねる。
「早かったね」
「早くユキくんの顔が見たくて」
軽いキスを何度もしていくと、俺もユキくんもほとんどセックス中のようなとろけた顔になる。
たったこれだけでもう息も上がる。
「はぁ……ユキくん……」
「セイジさん……んっ……あ、だめ……♡」
こんなに体温が上がっているのに、もっと触れたくて仕方がないのに、ムラムラするのに、ユキくんだって同じ気持ちのはずなのに、ユキくんは俺の胸板に手を突いて身体を離す。
「コンロ、火をつけたままだから。着替えてきて。お昼にしよう?」
ユキくんが廊下の奥のリビングへと小走りで向かっていく。
もっとくっついていたかったのにという気持ちもあるが……このままだと玄関でセックスまでしかねなかった。
こんなに自制が効かなくなる俺を、俺は知らない。
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