ゲイのエッチなお兄さん

回路メグル

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本編2

ポリネシアンセックスのために、期間限定の恋人ごっこ【10】ー恋人4日目ー

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「んっ!」

 ユキくんの唇を啄んで、何度も、何度も何度も啄んで、ユキくんからも啄んでくれて、だんだんキスが深くなる。
 ユキくんの膝に置かれた手に俺の手を重ねて、指を絡め合って……まだ口先と指先しか触れ合っていないのに頭の芯がしびれるようだった。

「だめ。俺……歯止め利かなくなる」
「っ……! 部屋、行こう?」
「うん……」

 急いで車を降りて、運悪く最上階で止まっていたエレベーターが下りてくるのを待つ間も、手の甲をこすり合わせて、時々指先だけを絡めて……周囲に人がいなくて良かった。

「ん……つ……」

 エレベーターに乗り込むと、たった一階分あがるだけなのに、その短い時間で三回唇を重ねた。

「……はやく……」

 エレベーターを降りて鍵を開けている間、ユキくんが熱っぽく、ごく小さな声で俺を急かす。
 おかしい。
 いくら浮かれるようなことを言われたからといって、こんなにも、切羽詰まるほど興奮するのはおかしい。
 
「はぁ……あ……セイジさん……」
 
 ドアが開いて、二人で部屋の中になだれ込むとすぐに、ユキくんが俺の体を抱きしめる。
 ユキくんだっておかしい。
 いくらエッチな子だからといって、ここまで理性が飛ぶようなことは……。

「俺、おかしい……今日ずっと、セイジさんのことで頭いっぱいだった……ずっとセイジさんのこと考えてた」

 解っている。
 恋愛感情じゃない。
 ユキくんがおかしいのも、俺がおかしいのも、ポリネシアンセックスで盛り上がっているだけ。
 焦らされて体がおかしいだけ。
 でも……。

「ユキくん……」
「あ……セイジさん……」

 両手でユキくんの頬を掴んで、深いキスをする。
 角度を付けて、舌を深く差し込んで……昨日も一昨日も我慢していたディープキス。

「んっ、んん♡」

 ユキくんからも舌を絡めてくれて、スーツの中に手が入ってくる。

「もぅ、くるしぃ」

 息のことかと思って唇を離すと、素肌に触れる手がとても熱くて、性的で……。

「セイジさんがほしくてたまらない……」

 少し舌ったらずにこんなことを言われて……

「俺も。ユキくんがほしい」

 ユキくんの体を強引に抱え上げる。

「わっ♡ ん、セイジさん……はぁ……はやく」

 所謂お姫様抱っこで寝室に向かう間も、ユキくんは俺の首筋に口づけたり頬を摺り寄せたり、耳元に熱っぽい吐息を吹きかけたり……俺を煽っているのか、本当に我慢ができず求めてくれているのかは解らないが、理性は焼ききれそうだった。

「んっ! セイジさん、服……邪魔」

 ベッドにつくとすぐに服を脱がせ合う。
 二人ともかなり乱暴に相手の服をはぎ取って、下着だけになるとぎゅうっと勢いよく抱きしめあった。

「あ♡ セイジさんだぁ……」
「はぁ、ユキくん……ユキくん……」

 強く抱きしめあって、キスを繰り返して、腰や背筋、耳元、髪、頬、体のあらゆる部分を撫でまわした。
 普段のセックスと違って、全身どこを触っても興奮するし、どこを触られても気持ちがよくて……それに……。

「セイジさんの、その触り方、好き……嬉しい……もっと触って♡」
「俺も、ユキくんに触ってもらうの好きだよ。ユキくん、もっと……」
「んっ、あ……はぁ……セイジさん……」
「はぁ……ユキくん……」

 挿入していないのに、まるで深くペニスを埋めた時のようにお互いとろとろに溶けて求めあっていた。
 肉体的にというよりは、精神的に深く繋がっているような……そう思うのは俺だけか?

「はぁ……あ、俺、ポリネシアンセックスって……焦らして焦らして挿入するから気持ちいいんだと思ってたけど……」

 ユキくんが俺に上半身を摺り寄せながら耳元で呟く。

「セイジさんと恋人なんだって他人に言って、恋人だって自覚したら……なんか、一気に……すごく、なんか……なんか……」

 上手く言葉にできないようだが、これは……ユキくんもなのか?

「あぁ、そうだね……ポリネシアンセックスって、肉体的な気持ちよさもあるけど」

 性器ギリギリの太ももをいやらしく撫でる。
 ユキくんの体がビクっと跳ねた。

「あ♡」
「愛されているって、求められているってしっかり感じるのが気持ちいいみたいだよ」

 今度はユキくんの頬を撫でて、しっかりと視線を合わせた。
 ユキくんのことが愛しくて愛しくて仕方がないことを隠さない視線を向けると、ユキくんもいつものセックス中とは違う柔らかい笑顔になる。

「セイジさん……あの……もっと恋人らしく……しない?」
「いいの?」
「したい。俺、恋人いたことないからよく解らないけど……」

 ユキくんも俺の頬を撫でる。

「……ユキくん」

 ユキくんは凄まじい色気なのに、どこか初々しくて……ぎこちなくて……でも、必死で俺のことを求めてくれているのが……あぁ、もうだめだ。

「かわいいなぁ。すごくかわいい」

 思わずため息を吐くと、ユキくんは少し戸惑ったような……でも嬉しそうに笑みを深めた。

「俺、今、ユキくんのことがかわいくてかわいくて仕方ないよ」

 かわいくて仕方がない。
 表情が緩む。
 つまりそれは……

「好きだよ、ユキくん」
「セイジさん……」
「ずっとこうしていたい。愛してる。ユキくん……愛してるよ」

 視線を真っすぐ向けて言うと、ユキくんのほんのり赤かった顔が更に赤みを増す。

「あ……うん」

 普段は「好き」と言われれば困ったり申し訳なさそうにしたりするユキくんが、嬉しそうに頷いた。
 これだけでも俺の心臓が高鳴るのに……

「あ、俺も……セイジさんに愛されてるの、嬉しい。大好き、セイジさん……大好き」
「あ……」

 ……あぁ。
 好きな子が、俺のことを大好きだと言ってくれた。
 一週間だけ、恋人ごっこのような関係だと解っている。
 それでも、嬉しくて嬉しくて全身が震えた。

「ユキくん、嬉しい。ありがとう……ますます好きになった」
「ん、俺も嬉しい」

 一時間を計るのも忘れて、耳元で囁き合いながら抱きしめあった。
 昨日よりも触れている場所は少ないはずなのに、昂ったし満たされた。

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