ゲイのエッチなお兄さん

回路メグル

文字の大きさ
上 下
67 / 190
本編2

ポリネシアンセックスのために、期間限定の恋人ごっこ【3】ー0日目ー

しおりを挟む
「ユキくん、久しぶり」
「セイジさん! 最近顔見ないから心配してたんだよ」

 ソウタくんのアドバイスから一週間。
 ユキくんを食事に誘った。
 チェーン店ではない、気取らないけど手の込んだ料理が人気の落ち着いた個室居酒屋。
 個人的な話をするにはピッタリの店だ。

「ちょっと仕事が忙しくて。ユキくんは? 繁忙期終わった?」
「先週が新製品発表だったから死にそうに忙しかったけど、なんとか落ち着いたかな。部署に人が増えたから繁忙期も少しマシだし」
「新人? イケメン?」
「カッコイイ女の子。中途採用で元々は代理店勤務だったから仕事がものすごくできるんだよ」

 そんな当たり障りのない世間話をしつつ掘りごたつ式の個室で向かい合って座り、酒でのどを潤しながら美味い料理をつまむ。
 男同士だし、二人とも会社帰りのスーツだから友人や会社の先輩後輩くらいにしか見えないだろう。
 実際、友人らしい穏やかに楽しい時間ではあるが……今日はこのままでは終わらない。

「ねぇ、ユキくん」
「……セイジさん?」

 酒も料理も落ち着いたころ、少し声のトーンを落としてユキくんを見つめると、ユキくんは俺の雰囲気の違いを敏感に察したようで、楽しそうに笑っていた顔をこわばらせてしまう。
 でも、今日は言う。

「俺の恋人になって欲しい」

 ユキくんの目を見て五年以上胸に秘めていた一言を絞り出す。
 その瞬間、ユキくんは悲しそうな顔になった。
 ……そうか、ほんのわずかな可能性に賭けたけどダメか。
 悲しい思いをさせてごめん。
 でも、今日の俺はずるい。二段構えだ。
 ソウタくんにもらったアドバイスを無駄にはしない。

「あの、俺……ごめんなさい……」
「一週間だけ」

 泣きそうなユキくんの声に被せるように一言付け加えると、今にも涙がこぼれそうだった目がパチパチと瞬かれた。

「……え? 一週間?」
「あぁ。一週間、ポリネシアンセックスをする間だけ」
「ポリネシアンセックス……!」

 パァァァァと音が聞こえそうなほど、ユキくんの顔が輝いた。

「やったことある? 何日もかけてお互いの体を愛撫して高め合って、恋人らしくイチャイチャして気分も高め合って、でも挿入は焦らして焦らして……最高に昂った感度が良すぎる体で最終日に極上のセックスを楽しむ……どう?」
「極上の、セックス……!」

 ユキくんの口角が上がる。
 もう一押し。

「ポリネシアンセックスって持久力必要だよね? 俺の持久力、今までユキくんが経験した中で何番目?」
「一番!」

 よし。ここで二番とか言われたらどうしようかとも思ったが、よし。
 これはいけるだろ?

「どうする?」
「お願いします♡」

 ユキくんが今日はずっと「友人」らしい顔だったのに、初めて色気のある笑顔を見せてくれた。
 やった。
 ソウタくんのお陰だ。事前に「ユキさん、最近ポリネシアンセックスに興味あるみたいですよ。でも、あれって気軽にワンナイトではできないから悩んでいるみたいです。俺の持久力と忍耐力じゃ付き合える気がしないし」という情報をもらっていたんだ。

「じゃあ、予定の合う一週間決めよう」
「うん♡」

 こうして俺は、ユキくんの恋人になることができた。

 一週間だけ。
しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...