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本編2
ポリネシアンセックスのために、期間限定の恋人ごっこ【3】ー0日目ー
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「ユキくん、久しぶり」
「セイジさん! 最近顔見ないから心配してたんだよ」
ソウタくんのアドバイスから一週間。
ユキくんを食事に誘った。
チェーン店ではない、気取らないけど手の込んだ料理が人気の落ち着いた個室居酒屋。
個人的な話をするにはピッタリの店だ。
「ちょっと仕事が忙しくて。ユキくんは? 繁忙期終わった?」
「先週が新製品発表だったから死にそうに忙しかったけど、なんとか落ち着いたかな。部署に人が増えたから繁忙期も少しマシだし」
「新人? イケメン?」
「カッコイイ女の子。中途採用で元々は代理店勤務だったから仕事がものすごくできるんだよ」
そんな当たり障りのない世間話をしつつ掘りごたつ式の個室で向かい合って座り、酒でのどを潤しながら美味い料理をつまむ。
男同士だし、二人とも会社帰りのスーツだから友人や会社の先輩後輩くらいにしか見えないだろう。
実際、友人らしい穏やかに楽しい時間ではあるが……今日はこのままでは終わらない。
「ねぇ、ユキくん」
「……セイジさん?」
酒も料理も落ち着いたころ、少し声のトーンを落としてユキくんを見つめると、ユキくんは俺の雰囲気の違いを敏感に察したようで、楽しそうに笑っていた顔をこわばらせてしまう。
でも、今日は言う。
「俺の恋人になって欲しい」
ユキくんの目を見て五年以上胸に秘めていた一言を絞り出す。
その瞬間、ユキくんは悲しそうな顔になった。
……そうか、ほんのわずかな可能性に賭けたけどダメか。
悲しい思いをさせてごめん。
でも、今日の俺はずるい。二段構えだ。
ソウタくんにもらったアドバイスを無駄にはしない。
「あの、俺……ごめんなさい……」
「一週間だけ」
泣きそうなユキくんの声に被せるように一言付け加えると、今にも涙がこぼれそうだった目がパチパチと瞬かれた。
「……え? 一週間?」
「あぁ。一週間、ポリネシアンセックスをする間だけ」
「ポリネシアンセックス……!」
パァァァァと音が聞こえそうなほど、ユキくんの顔が輝いた。
「やったことある? 何日もかけてお互いの体を愛撫して高め合って、恋人らしくイチャイチャして気分も高め合って、でも挿入は焦らして焦らして……最高に昂った感度が良すぎる体で最終日に極上のセックスを楽しむ……どう?」
「極上の、セックス……!」
ユキくんの口角が上がる。
もう一押し。
「ポリネシアンセックスって持久力必要だよね? 俺の持久力、今までユキくんが経験した中で何番目?」
「一番!」
よし。ここで二番とか言われたらどうしようかとも思ったが、よし。
これはいけるだろ?
「どうする?」
「お願いします♡」
ユキくんが今日はずっと「友人」らしい顔だったのに、初めて色気のある笑顔を見せてくれた。
やった。
ソウタくんのお陰だ。事前に「ユキさん、最近ポリネシアンセックスに興味あるみたいですよ。でも、あれって気軽にワンナイトではできないから悩んでいるみたいです。俺の持久力と忍耐力じゃ付き合える気がしないし」という情報をもらっていたんだ。
「じゃあ、予定の合う一週間決めよう」
「うん♡」
こうして俺は、ユキくんの恋人になることができた。
一週間だけ。
「セイジさん! 最近顔見ないから心配してたんだよ」
ソウタくんのアドバイスから一週間。
ユキくんを食事に誘った。
チェーン店ではない、気取らないけど手の込んだ料理が人気の落ち着いた個室居酒屋。
個人的な話をするにはピッタリの店だ。
「ちょっと仕事が忙しくて。ユキくんは? 繁忙期終わった?」
「先週が新製品発表だったから死にそうに忙しかったけど、なんとか落ち着いたかな。部署に人が増えたから繁忙期も少しマシだし」
「新人? イケメン?」
「カッコイイ女の子。中途採用で元々は代理店勤務だったから仕事がものすごくできるんだよ」
そんな当たり障りのない世間話をしつつ掘りごたつ式の個室で向かい合って座り、酒でのどを潤しながら美味い料理をつまむ。
男同士だし、二人とも会社帰りのスーツだから友人や会社の先輩後輩くらいにしか見えないだろう。
実際、友人らしい穏やかに楽しい時間ではあるが……今日はこのままでは終わらない。
「ねぇ、ユキくん」
「……セイジさん?」
酒も料理も落ち着いたころ、少し声のトーンを落としてユキくんを見つめると、ユキくんは俺の雰囲気の違いを敏感に察したようで、楽しそうに笑っていた顔をこわばらせてしまう。
でも、今日は言う。
「俺の恋人になって欲しい」
ユキくんの目を見て五年以上胸に秘めていた一言を絞り出す。
その瞬間、ユキくんは悲しそうな顔になった。
……そうか、ほんのわずかな可能性に賭けたけどダメか。
悲しい思いをさせてごめん。
でも、今日の俺はずるい。二段構えだ。
ソウタくんにもらったアドバイスを無駄にはしない。
「あの、俺……ごめんなさい……」
「一週間だけ」
泣きそうなユキくんの声に被せるように一言付け加えると、今にも涙がこぼれそうだった目がパチパチと瞬かれた。
「……え? 一週間?」
「あぁ。一週間、ポリネシアンセックスをする間だけ」
「ポリネシアンセックス……!」
パァァァァと音が聞こえそうなほど、ユキくんの顔が輝いた。
「やったことある? 何日もかけてお互いの体を愛撫して高め合って、恋人らしくイチャイチャして気分も高め合って、でも挿入は焦らして焦らして……最高に昂った感度が良すぎる体で最終日に極上のセックスを楽しむ……どう?」
「極上の、セックス……!」
ユキくんの口角が上がる。
もう一押し。
「ポリネシアンセックスって持久力必要だよね? 俺の持久力、今までユキくんが経験した中で何番目?」
「一番!」
よし。ここで二番とか言われたらどうしようかとも思ったが、よし。
これはいけるだろ?
「どうする?」
「お願いします♡」
ユキくんが今日はずっと「友人」らしい顔だったのに、初めて色気のある笑顔を見せてくれた。
やった。
ソウタくんのお陰だ。事前に「ユキさん、最近ポリネシアンセックスに興味あるみたいですよ。でも、あれって気軽にワンナイトではできないから悩んでいるみたいです。俺の持久力と忍耐力じゃ付き合える気がしないし」という情報をもらっていたんだ。
「じゃあ、予定の合う一週間決めよう」
「うん♡」
こうして俺は、ユキくんの恋人になることができた。
一週間だけ。
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