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番外編1(全13話)
【番外編】若頭(改造巨根)と舎弟の話【9】
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イっても、ティッシュを引き寄せて手や体を拭いても、タカさんは俺を抱きしめたままだ。
抱きしめて、時折髪を撫でたり、頬や唇にキスをしたり。
タカさんが楽しそうだから別にいいけど……。
「タカさん……あの、服……」
目の前の高いスーツとシャツがシワやシミになるといけない。
そう思ってジャケットのボタンに指をかけると、タカさんは嬉しそうに少し頬を赤くしてはにかんだ。
「そうだな。邪魔だな」
俺がボタンを外していくと、タカさんは俺のジャケットやシャツのボタンを外してくれる。
俺のはタカさんに比べれば安物……でも、タカさんの舎弟として身なりには気を付けているつもりだから助かる。
お互いの服を脱がせ合って、ソファの背もたれにかける。これでもシワになりそうだけど、まだマシか。
「ほら、来い」
全裸になったタカさんはソファに座りなおして俺に向けて両手を広げる。
これって……こういうことであってるよな?
向かい合ってタカさんの膝を跨ぎ、太ももに腰を下ろした。
あらためてこういうことをするのは恥ずかしいけど……。
「リョウ……」
タカさんが腰のあたりに手を回して、ぎゅっと抱きしめてくれる。
俺の貧相な体がタカさんの分厚い筋肉に覆われた体に密着する。
余裕のないセックスの時と違って、タカさんの体温とか、鼓動とか、なんか……すげぇ、タカさんだなって……。
うん。やっぱり恥ずかしい。
「なぁ、リョウ……」
「はい……?」
「お前がケツ差し出すのは、俺だけだよな?」
タカさんが俺の肩口に顔を埋めて、ぽつりと呟いた。
なぜか、珍しく気弱な感じがする。
つーか、その質問は愚問だ。
「はぁ? 俺のケツっつーか、俺はタカさん専用っすよ!」
当然だ。
タカさんが使うものを他の奴と共用にするわけがない。
タカさんを他の男と穴兄弟になんてさせるわけがない。
それに、俺はゲイじゃないからタカさんが特別なだけで男に抱かれたいなんて微塵も思わない。
襲ってくる奴がいたら半殺しにしてやる。
俺が鼻息を荒くして答えると、タカさんはゆっくり顔をあげて、ゆっくりと笑顔になった。
「そうか……ありがとう、リョウ」
「……? 別に、当然のことっすよ」
「ははっ、当然か。そうか」
タカさんはなぜかすごく嬉しそうに声まで出して笑った後、スーツを脱いだ後も腕にはまったままだった腕時計を外した。
「誕生日祝い、本当は何か買いたかったんだが……せめてこれでも、もらってくれ」
「飯で充分っすよ! でも……え、これ、いいんすか? タカさんが一番気に入ってるやつ!」
今日の腕時計は、見栄のための高級腕時計ではなくて、タカさんが本心で気に入っているシンプルな黒い金属ベルトに黒い文字盤の腕時計。……まぁ、これも何十万円とかするはずだけど。
「あぁ。リョウはずっと俺のそばにいるんだろう? それなら、俺が持ってるのもお前が持ってるのもかわらないだろう?」
「それもそうっすね! これ、毎日つけます!」
タカさんのおさがりなんて初めてだ。
他の、タカさんと体格が近い奴はスーツもらったり、運転上手いやつは車もらったりしていて、羨ましかったんだ。
「ほら、腕出せ」
「はい」
俺が左腕を出すと、タカさんがそこに腕時計をはめてくれた。
おぉ。
すげぇかっこいい!
これで俺もちょっといい男に見える気がする。
……手首の太さが違うからゆるゆるだけど。
「あとで調整してやる」
そう言ってタカさんは俺の手を握って、また優しくキスをしてくれた。
最高の誕生日だなと思った。
◆
俺の誕生日のあとも、二週間に一回のセックスを繰り返して、いつの間にかタカさんとは合計一二回もセックスをしていた。
挿入の時の苦しさもあまり感じないし、抜き差しのタイミングでアナルに力を入れることも少しずつできるようになってきた。
前立腺も感度が上がって、パールでごりごりしてもらうと中イキもできるようになった。
俺が上達するたびにタカさんが嬉しそうにする。
人生でこんなにもやりがいがあって、一生懸命頑張って、楽しいことってこれが初めてだ。
タカさんとセックスするようになって、初めてのことばかりで……タカさんのためなのに、俺がめちゃくちゃ楽しい。
そんな調子のいい日々を送っていたある日。
「あの、ちょっとお話があるんですけど」
「ミミ?」
月末の回収のためにタカさんと二人でミミが働くゲイ風俗店に行った時だ。
事務所のソファで店長から金を受け取った後、部屋の隅に立っていたミミが深刻そうな顔でタカさんに話しかけた。
「なんだ?」
タカさんはあのメモの人のことでミミに借りがあるし、俺が時々ミミと飲みに行っているのも知っているからか、少し穏やかな表情でミミの方を向いた。
……一般人にはすごんでいる顔に見えるかもしれないけど。
「実は、俺の友達が少し困っていて」
「友達? まさか……ユキさんか?」
ユキさん?
それがあのメモの人か?
「いえ、困っているのは別の友達なんですけど、その友達を助けるためにユキくんが色々計画しているんです」
「……そうか」
タカさんはゆっくり頷く。
「何か、荒っぽいことが必要なんだな? ユキさんには借りがある。何でも手助けする」
内容も聞かずにこんな風に言うなんて、ユキさんって人を……あのメモを、ありがたく思っているんだな。
それは俺も同じだ。あのメモが無かったら俺はタカさんの役に立てなかった。
「ミミ、人手がいるなら言えよ。俺も力になる」
タカさんと俺の返事を聞いたミミは、嬉しそうに飛び跳ねた。
「本当ですか? やった! 実は、若頭さんのペニスをお借りしたかったんです!」
「「……はぁ?」」
抱きしめて、時折髪を撫でたり、頬や唇にキスをしたり。
タカさんが楽しそうだから別にいいけど……。
「タカさん……あの、服……」
目の前の高いスーツとシャツがシワやシミになるといけない。
そう思ってジャケットのボタンに指をかけると、タカさんは嬉しそうに少し頬を赤くしてはにかんだ。
「そうだな。邪魔だな」
俺がボタンを外していくと、タカさんは俺のジャケットやシャツのボタンを外してくれる。
俺のはタカさんに比べれば安物……でも、タカさんの舎弟として身なりには気を付けているつもりだから助かる。
お互いの服を脱がせ合って、ソファの背もたれにかける。これでもシワになりそうだけど、まだマシか。
「ほら、来い」
全裸になったタカさんはソファに座りなおして俺に向けて両手を広げる。
これって……こういうことであってるよな?
向かい合ってタカさんの膝を跨ぎ、太ももに腰を下ろした。
あらためてこういうことをするのは恥ずかしいけど……。
「リョウ……」
タカさんが腰のあたりに手を回して、ぎゅっと抱きしめてくれる。
俺の貧相な体がタカさんの分厚い筋肉に覆われた体に密着する。
余裕のないセックスの時と違って、タカさんの体温とか、鼓動とか、なんか……すげぇ、タカさんだなって……。
うん。やっぱり恥ずかしい。
「なぁ、リョウ……」
「はい……?」
「お前がケツ差し出すのは、俺だけだよな?」
タカさんが俺の肩口に顔を埋めて、ぽつりと呟いた。
なぜか、珍しく気弱な感じがする。
つーか、その質問は愚問だ。
「はぁ? 俺のケツっつーか、俺はタカさん専用っすよ!」
当然だ。
タカさんが使うものを他の奴と共用にするわけがない。
タカさんを他の男と穴兄弟になんてさせるわけがない。
それに、俺はゲイじゃないからタカさんが特別なだけで男に抱かれたいなんて微塵も思わない。
襲ってくる奴がいたら半殺しにしてやる。
俺が鼻息を荒くして答えると、タカさんはゆっくり顔をあげて、ゆっくりと笑顔になった。
「そうか……ありがとう、リョウ」
「……? 別に、当然のことっすよ」
「ははっ、当然か。そうか」
タカさんはなぜかすごく嬉しそうに声まで出して笑った後、スーツを脱いだ後も腕にはまったままだった腕時計を外した。
「誕生日祝い、本当は何か買いたかったんだが……せめてこれでも、もらってくれ」
「飯で充分っすよ! でも……え、これ、いいんすか? タカさんが一番気に入ってるやつ!」
今日の腕時計は、見栄のための高級腕時計ではなくて、タカさんが本心で気に入っているシンプルな黒い金属ベルトに黒い文字盤の腕時計。……まぁ、これも何十万円とかするはずだけど。
「あぁ。リョウはずっと俺のそばにいるんだろう? それなら、俺が持ってるのもお前が持ってるのもかわらないだろう?」
「それもそうっすね! これ、毎日つけます!」
タカさんのおさがりなんて初めてだ。
他の、タカさんと体格が近い奴はスーツもらったり、運転上手いやつは車もらったりしていて、羨ましかったんだ。
「ほら、腕出せ」
「はい」
俺が左腕を出すと、タカさんがそこに腕時計をはめてくれた。
おぉ。
すげぇかっこいい!
これで俺もちょっといい男に見える気がする。
……手首の太さが違うからゆるゆるだけど。
「あとで調整してやる」
そう言ってタカさんは俺の手を握って、また優しくキスをしてくれた。
最高の誕生日だなと思った。
◆
俺の誕生日のあとも、二週間に一回のセックスを繰り返して、いつの間にかタカさんとは合計一二回もセックスをしていた。
挿入の時の苦しさもあまり感じないし、抜き差しのタイミングでアナルに力を入れることも少しずつできるようになってきた。
前立腺も感度が上がって、パールでごりごりしてもらうと中イキもできるようになった。
俺が上達するたびにタカさんが嬉しそうにする。
人生でこんなにもやりがいがあって、一生懸命頑張って、楽しいことってこれが初めてだ。
タカさんとセックスするようになって、初めてのことばかりで……タカさんのためなのに、俺がめちゃくちゃ楽しい。
そんな調子のいい日々を送っていたある日。
「あの、ちょっとお話があるんですけど」
「ミミ?」
月末の回収のためにタカさんと二人でミミが働くゲイ風俗店に行った時だ。
事務所のソファで店長から金を受け取った後、部屋の隅に立っていたミミが深刻そうな顔でタカさんに話しかけた。
「なんだ?」
タカさんはあのメモの人のことでミミに借りがあるし、俺が時々ミミと飲みに行っているのも知っているからか、少し穏やかな表情でミミの方を向いた。
……一般人にはすごんでいる顔に見えるかもしれないけど。
「実は、俺の友達が少し困っていて」
「友達? まさか……ユキさんか?」
ユキさん?
それがあのメモの人か?
「いえ、困っているのは別の友達なんですけど、その友達を助けるためにユキくんが色々計画しているんです」
「……そうか」
タカさんはゆっくり頷く。
「何か、荒っぽいことが必要なんだな? ユキさんには借りがある。何でも手助けする」
内容も聞かずにこんな風に言うなんて、ユキさんって人を……あのメモを、ありがたく思っているんだな。
それは俺も同じだ。あのメモが無かったら俺はタカさんの役に立てなかった。
「ミミ、人手がいるなら言えよ。俺も力になる」
タカさんと俺の返事を聞いたミミは、嬉しそうに飛び跳ねた。
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「「……はぁ?」」
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