ゲイのエッチなお兄さん

回路メグル

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番外編1(全13話)

【番外編】若頭(改造巨根)と舎弟の話【7】

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 タカさんとセックスをするようになって、四ヶ月。
 俺の体や準備のことを考えて、二週間に一回ヤると言うのが暗黙のルールになった。
 だから、まだセックスは八回。
 それでも俺のアナルはだんだんタカさんに馴染んできて、入れる時にちょっと苦しいくらいですむようになったし、入れてから動けるようになるまでの時間も短くなった。
 最初に比べれば色っぽい声……というか、感じている声も出せるようになって……実際感じるようになったからだけど……まぁ、俺のことはいいや。
 まだタカさんのチンポを根元までは入れられてないし、色々な体位を自由自在にできるほどでもないけど、だんだんタカさんに満足してもらえるようになっている気がする。


     ◆


 タカさんと八回目のセックスをした五日後。
 最近は周りも何か察してくれているのか俺の内勤が定着していて、事務仕事やタカさんの世話が俺の仕事だ。
 午後のコーヒーもその一つ。
 タカさん好みの豆をタカさん好みの濃さで丁寧にドリップして……タカさんお気に入りのカップに注いで部屋に運ぶ。

「失礼します!」
「あぁ、ちょうど良かった。リョウ、明日誕生日だろ。欲しい物あるか?」
「へ?」

 誕生日……そういえばそうか。
 毎年、タカさんがこうやって声をかけてくれるから思い出すんだ。
 組に入るまで誕生日祝いなんて誰からももらったことが無かったから、自分の誕生日を意識する習慣がなかなかつかない。
 
「今年も考えてなかったのか?」

 タカさんが呆れたように笑う。
 ちなみに、俺も、他の舎弟も、毎年タカさんにプレゼントをもらったり、豪華な飯に連れて行ってもらったりしている。
 ヤクザのくせに何でこんなかわいいことしてるんだって感じだけど、こういう義理堅いところはある意味ヤクザらしいと俺は思う。
 ただ……誕生日プレゼントをもらい慣れていない俺は、自分で考えるのが苦手で、毎年タカさんに選んでもらっている。

「今年の俺の誕生日には、リョウにいいもんもらったからな。何でも我儘きくぞ?」
「そんな……」

 タカさんが喜んでくれるのが何よりだから、別に……でも、そうだな……今年ならあの我儘を言っても許されるかもしれない。

「あの、欲しい物っていうか、食いたいものなんっすけど……」
「おう、なんでも言え。焼肉か? ステーキ? あぁ、寿司が好きだったか?」
「いえ、その……炒飯……」
「は? 炒飯?」

 タカさんが訝し気な顔をする。
 そうだよな。事務所の二件隣の中華屋で週に一回は出前を頼む様な気軽なメニューだもんな。
 
「昔、組に引き上げてもらってすぐ、住むとこがなくてタカさんの家に世話になった時に食った……タカさんの……」
「俺が作った炒飯か?」
「はい」

 言ってから少し後悔した。
 すっげぇ我儘言ってしまった。
 でも、あの味が忘れられないんだ。
 忘れられないし、最近、セックスをする場所がタカさんの家になったから異様に思い出して……。
 親の手作りの飯の記憶が無い俺にとって、誰かが俺のために初めて作ってくれた料理がタカさんの炒飯だったから。
 つい……。

「特別美味いもんでもないだろう?」
「いえ、俺はあれが……世界一美味いと思って食いました」
「はぁ……あの日、空腹で死にそうになっていたからだろう? 言っておくけどな、今食っても絶対に美味く感じないからな。それでもいいなら作ってやる」
「……! いいんっすか!?」
「安上りだなぁ、リョウ」

 タカさんがため息をつきながらも楽しそうに笑った。
 

      ◆


 翌日の夕方、俺が運転する車で事務所を出て、タカさんの家の近くのスーパーで食材を買い、タカさんの住むマンションへ向かった。
 セキュリティが厳しい一〇階建ての警備員付きマンションの一〇階角部屋3LDK。
 タカさん曰く「悲鳴みたいな喘ぎ声あげても隣には聞こえない」らしいので安心していつも喘いでいる。

「自炊なんて久しぶりだから、前より不味くても怒るなよ」

 そう言いながら、オーダーメードの高級スーツのまま手際よく料理をしていく姿をじっと眺めていたら「見られていると調子が狂う」といってリビングのソファに追いやられた。
 俺が望んだことではあるけど、タカさんを働かせて、自分がソファで待っているという状況は少し居た堪れない。
 でっかいテレビもあるけど、見る気にならない。
 今更ながら、畏れ多いお願いをしてしまったと緊張しているうちに、炊飯器の音がして、香ばしい匂いがただ寄ってきて……。

「ほら」

 目の前のローテーブルに炒飯の乗った皿が置かれた。

「あと、これはついでだ」

 酒が進みそうなつまみが三品と俺が大好きな缶チューハイも。

「誕生日、おめでとう」

 タカさんが隣に座って、ビールの缶を持ち上げた。

「あ、ありがとうございます!」

 チューハイの缶を手に持つと、タカさんがビールの缶をそれにぶつけた。
 これ、飲んでいいんだよな?
 酒飲んだら帰りの車の運転……まぁいいか。
 タカさんと乾杯したチューハイは飲み慣れた甘めのレモン味だけど、いつもよりも美味い気がした。
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