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番外編1(全13話)
【番外編】若頭(改造巨根)と舎弟の話【1】
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※「まさか……改造しすぎたチンポ(パール入り)」の話の後日談です。
上記の話と、「ノンケの男にお仕置きする話」を読んでからの方が楽しく読めると思います。
繁華街の裏通りにある五階建てのオフィスビル。
俺が世話になっている「組」の持ちもので、事務所でもあるこのビルの三階。
古いけど入念に掃除してある廊下を歩いていた足を止めて、姿見で身なりをチェックする。
ちゃんと体に合ったものを選んでいる黒いスーツの襟を正して、開襟シャツの襟もキレイにジャケットの上に出して、ボタンもとめて……鍛えても筋肉が少ししかつかなくて貧相な体形をちゃんと隠せている。よし。
ツーブロックの金髪も、プリンになっていないし、乱れてもいない。靴も傷は無いし革のくすみも無い。よしよし。アニキの部下として完璧。
あとは童顔を隠すサングラスを外して……。
「ふぅ……」
廊下をもう少し進み、一番奥にある若頭用の部屋の前で立ち止まる。
「失礼します!」
声をかけ、ノックをしてからゆっくりと扉を開く。
「アニキ、そろそろ出る時間っす」
「……」
「アニキ?」
「あ、あぁ。そうだな」
部屋の奥にドーンと置いてある重厚な木製の机の向こうで、若頭であるタカさんが机の引き出しを閉めながらゆっくりと立ち上がった。
俺と違って一八〇センチを超える長身に、男らしい端正で堀の深い顔立ち。何度見ても男として羨ましい。
「もう車は下につけてるんで。今日はヤスが同行します」
「わかった」
「部屋の掃除しときますね」
「あぁ、頼む」
タカさんは筋肉質な体にオーダーメードのスーツのジャケットを羽織って、落ち着いた様子で部屋を後にした。
一見するといつもの冷静沈着で、組のことを誰よりも考えているキレものヤクザの若頭だけど……
どうも最近、タカさんの様子がおかしい。
一七歳で拾ってもらってから、八年間タカさんの付き人をやっている俺が言うんだ。間違いない。
何かに悩んでいる様子だけど、組関連ならもっと険しい顔で悩む。
他の組との抗争の開始時期とか、シノギの店のトラブルとか、苦々しい顔で、人が殺せそうな鋭い眼光で悩んでいるのを見る。
でもここ最近は様子が違う。
ぼーっと、上の空というか、殺気が消えるような悩み方だ。
そして、悩んでいる時は必ず何かを見ているようだった。
机の引き出しにさっと隠せるくらいの小さなもの。
「……アニキ、すんません!」
アニキ分の机の引き出しを勝手に開けるなんてことは、絶対にしてはいけない。
でも……タカさんがあんな風に悩む姿を見るのは初めてで、どうしても気になったし、力になりたかったんだ。
だってタカさんは、俺の恩人で、憧れで、もう、俺のすべてみたいな人だから。
「……シノギの店の書類……土地の権利書……ん?」
きちんと仕分けされた書類の一番下に、組でよく使う高級ホテルのロゴが入ったメモがあった。それも数枚。
「これか……ん? んんん?」
手書きのメモで、丁寧な書体で時には図のようなイラストのようなものも描かれているそれは……。
「へ……? 『タカさんのペニスが入るアナルにする方法 ※初心者向け』……?」
これ……だよな?
これしかないよな?
これ……思ってたのと違う!!!!!!!!!!!!
実は、多少予想していたんだ。
このロゴのホテルに行った日からタカさんの様子がおかしくて、それは誰かと会ったからってことも付き人だから解っていて、俺の予想ではタカさんのお眼鏡にかなうイイ人……想い人? 片想い? そういうのだと思ったんだ。
それで、連絡先を聞いたけど、真面目なタカさんのことだ「俺はヤクザだからカタギのあいつに連絡していいのか……?」なんて悩んでいると思ったんだ。
俺が、仲を取り持ってやろうと思ったんだ。
それなのに……
「なんでこんなメモが……?」
念のため他にも何かないか探したけど、組に関する書類ばかりで、引き出しには何もなかった。
「……とりあえず写真に撮って……」
混乱しながらも三枚のメモをスマホで撮って、元の場所に戻した。
◆
タカさんの机でメモを見つけた日、組の系列のゲイ風俗店にやってきた。
確か、あのホテルの部屋をとるように言われたのは、この店を出た瞬間だったから。
「ミミちゃーん。あなたにお客さんよ」
「はーい。あれ? リョウさん?」
「おう。ちょっと聴きたいことがあるんだ。個室いいか?」
「店長、一番使うね!」
「えぇ」
この店で一番の古株であるミミは、一七二センチの俺よりも一〇センチくらい背が低くて顔も天使のように可愛いわりに、俺よりも七歳も年上で結構度胸がある奴で、飲み仲間でもある。
色々な意味で、こいつに聴くのが一番だと思ったんだ。
「二週間くらい前、うちの若頭がこの店に来ただろ? 月末の回収時期でもないのに」
「うん。リョウさんが車で送ってきたよね」
個室に入ってすぐ、立ったまま声を潜めて話し出すと、ミミも声のトーンを落として返事をした。
「あの時、ミミが相手しただろ?」
「さぁ。お客様のプレイベートなことは内緒だよ」
「でも、プレイしてないよな? 時間短かったし」
「さぁ。お客様のプレイベートなことは内緒だよ」
「それで、誰か紹介したんだよな? 次の週にホテルで会った奴」
「さぁ。お客様のプレイベートなことは内緒だよ」
こういう口が堅いところはこいつの良い所だと思ってる。
でもな……
「あの日から、タカさんの様子がおかしいんだよ……」
こいつの前でつくろっても意味が無い。
ヤクザとしてあまり他人に見せないようにしている弱った顔を見せると、ミミが一瞬笑顔をこわばらせた。
「さぁ……お客様のプライベートは秘密だよ」
「わかった。じゃあ、このメモについてどう思うか教えてくれ」
「メモ?」
スーツの内ポケットからスマートフォンを取り出し、さきほど撮ったメモの画像を見せる。
「……ちょ……あー………あぁ……」
ミミが顔を押さえて天を仰ぐ。
どうやら心当たりがあるらしい。
上記の話と、「ノンケの男にお仕置きする話」を読んでからの方が楽しく読めると思います。
繁華街の裏通りにある五階建てのオフィスビル。
俺が世話になっている「組」の持ちもので、事務所でもあるこのビルの三階。
古いけど入念に掃除してある廊下を歩いていた足を止めて、姿見で身なりをチェックする。
ちゃんと体に合ったものを選んでいる黒いスーツの襟を正して、開襟シャツの襟もキレイにジャケットの上に出して、ボタンもとめて……鍛えても筋肉が少ししかつかなくて貧相な体形をちゃんと隠せている。よし。
ツーブロックの金髪も、プリンになっていないし、乱れてもいない。靴も傷は無いし革のくすみも無い。よしよし。アニキの部下として完璧。
あとは童顔を隠すサングラスを外して……。
「ふぅ……」
廊下をもう少し進み、一番奥にある若頭用の部屋の前で立ち止まる。
「失礼します!」
声をかけ、ノックをしてからゆっくりと扉を開く。
「アニキ、そろそろ出る時間っす」
「……」
「アニキ?」
「あ、あぁ。そうだな」
部屋の奥にドーンと置いてある重厚な木製の机の向こうで、若頭であるタカさんが机の引き出しを閉めながらゆっくりと立ち上がった。
俺と違って一八〇センチを超える長身に、男らしい端正で堀の深い顔立ち。何度見ても男として羨ましい。
「もう車は下につけてるんで。今日はヤスが同行します」
「わかった」
「部屋の掃除しときますね」
「あぁ、頼む」
タカさんは筋肉質な体にオーダーメードのスーツのジャケットを羽織って、落ち着いた様子で部屋を後にした。
一見するといつもの冷静沈着で、組のことを誰よりも考えているキレものヤクザの若頭だけど……
どうも最近、タカさんの様子がおかしい。
一七歳で拾ってもらってから、八年間タカさんの付き人をやっている俺が言うんだ。間違いない。
何かに悩んでいる様子だけど、組関連ならもっと険しい顔で悩む。
他の組との抗争の開始時期とか、シノギの店のトラブルとか、苦々しい顔で、人が殺せそうな鋭い眼光で悩んでいるのを見る。
でもここ最近は様子が違う。
ぼーっと、上の空というか、殺気が消えるような悩み方だ。
そして、悩んでいる時は必ず何かを見ているようだった。
机の引き出しにさっと隠せるくらいの小さなもの。
「……アニキ、すんません!」
アニキ分の机の引き出しを勝手に開けるなんてことは、絶対にしてはいけない。
でも……タカさんがあんな風に悩む姿を見るのは初めてで、どうしても気になったし、力になりたかったんだ。
だってタカさんは、俺の恩人で、憧れで、もう、俺のすべてみたいな人だから。
「……シノギの店の書類……土地の権利書……ん?」
きちんと仕分けされた書類の一番下に、組でよく使う高級ホテルのロゴが入ったメモがあった。それも数枚。
「これか……ん? んんん?」
手書きのメモで、丁寧な書体で時には図のようなイラストのようなものも描かれているそれは……。
「へ……? 『タカさんのペニスが入るアナルにする方法 ※初心者向け』……?」
これ……だよな?
これしかないよな?
これ……思ってたのと違う!!!!!!!!!!!!
実は、多少予想していたんだ。
このロゴのホテルに行った日からタカさんの様子がおかしくて、それは誰かと会ったからってことも付き人だから解っていて、俺の予想ではタカさんのお眼鏡にかなうイイ人……想い人? 片想い? そういうのだと思ったんだ。
それで、連絡先を聞いたけど、真面目なタカさんのことだ「俺はヤクザだからカタギのあいつに連絡していいのか……?」なんて悩んでいると思ったんだ。
俺が、仲を取り持ってやろうと思ったんだ。
それなのに……
「なんでこんなメモが……?」
念のため他にも何かないか探したけど、組に関する書類ばかりで、引き出しには何もなかった。
「……とりあえず写真に撮って……」
混乱しながらも三枚のメモをスマホで撮って、元の場所に戻した。
◆
タカさんの机でメモを見つけた日、組の系列のゲイ風俗店にやってきた。
確か、あのホテルの部屋をとるように言われたのは、この店を出た瞬間だったから。
「ミミちゃーん。あなたにお客さんよ」
「はーい。あれ? リョウさん?」
「おう。ちょっと聴きたいことがあるんだ。個室いいか?」
「店長、一番使うね!」
「えぇ」
この店で一番の古株であるミミは、一七二センチの俺よりも一〇センチくらい背が低くて顔も天使のように可愛いわりに、俺よりも七歳も年上で結構度胸がある奴で、飲み仲間でもある。
色々な意味で、こいつに聴くのが一番だと思ったんだ。
「二週間くらい前、うちの若頭がこの店に来ただろ? 月末の回収時期でもないのに」
「うん。リョウさんが車で送ってきたよね」
個室に入ってすぐ、立ったまま声を潜めて話し出すと、ミミも声のトーンを落として返事をした。
「あの時、ミミが相手しただろ?」
「さぁ。お客様のプレイベートなことは内緒だよ」
「でも、プレイしてないよな? 時間短かったし」
「さぁ。お客様のプレイベートなことは内緒だよ」
「それで、誰か紹介したんだよな? 次の週にホテルで会った奴」
「さぁ。お客様のプレイベートなことは内緒だよ」
こういう口が堅いところはこいつの良い所だと思ってる。
でもな……
「あの日から、タカさんの様子がおかしいんだよ……」
こいつの前でつくろっても意味が無い。
ヤクザとしてあまり他人に見せないようにしている弱った顔を見せると、ミミが一瞬笑顔をこわばらせた。
「さぁ……お客様のプライベートは秘密だよ」
「わかった。じゃあ、このメモについてどう思うか教えてくれ」
「メモ?」
スーツの内ポケットからスマートフォンを取り出し、さきほど撮ったメモの画像を見せる。
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ミミが顔を押さえて天を仰ぐ。
どうやら心当たりがあるらしい。
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