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本編1
チ●コに自信がない平凡な俺だけど、ローターセックスのお陰で自信が持てました!【前編】
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二十五年生きてきて、それなりにいい人生を歩んでいると思っている。
大学も就職も平均よりは良い所に行けたし、顔と身長は平均だけど、服や髪型で誤魔化せばまぁまぁの見た目。
趣味のマラソンも年々タイムが上がって楽しい。
それなりに気の合う友達もいて、親兄弟との関係も良好。
自分に不満はない……ただ一つを除いて。
◆
ゲイのハッテン場として有名なサウナの脱衣所で服を脱ぎ、腰にタオルを巻く前に備え付けの大きな鏡を見る。
「……」
何度見たって、どこの鏡で見たって、俺の外見が変わるわけはない。
人気の韓流アイドルを意識したソフトなツーブロックに印象が薄いけど人畜無害そうなややタヌキ顔、一七二センチ中肉中背……の俺の股間には、体と同じ平均サイズ……よりも一回り小さいチンコがぶら下がっている。
ついでに仮性包茎だ。
……ここだけ。
ここだけが自分の中でどうしても好きになれない。
「……せめて俺がタチじゃなかったらな」
俺はゲイの中で性趣向がタチ。つまりチンコをよく使う方だ。
大きすぎるチンコはそれはそれで敬遠されてしまうが、小さい方は……更に避けられてしまう気がする。
ナンパした相手よりも俺の方が小さかったりすると、申し訳なくなる。
俺のこんなコンプレックスを「気にし過ぎだって!」と励ましてくれるタチ仲間もいるが、そう言ってくれる奴らのチンコは確実に俺よりも大きくて剥けている。
このサウナでだって、最初は積極的にナンパしてセックスになだれ込んでいたが、なかなか二度目に繋がらないし、そもそもナンパの成功率も低い。
次第に、俺よりもチンコの大きなタチがいれば「俺よりあっちの方が良いだろうし」と遠慮してしまう様になり、最近はもう、エッチで美人な高嶺の花である人気のネコさんが他の巨根タチに抱かれているところを覗かせてもらうことの方が多かった。
そして今日は……
「……この時間なら空いてるし」
人の多くない時間を狙えば、俺以外にタチがいなくてナンパが成功するかもしれないなんていう卑屈な思いで夕方六時という微妙な時間にサウナに入った。
かわいい感じのネコの人が一人でいますように……と。
いた。
サウナのドアを開けて、熱気を浴びながら中を見渡すと……このハッテン場ではネコの印である水色のリストバンドをつけた男の人が一人だけ座っていた。
俺にとっては最高のシチュエーションだ。
しかもその男性はめちゃくちゃ魅力的だった。
妖艶でエロい垂れ目の美人で、俺より高身長のモデル体型だけど胸や尻に薄くついた肉が色っぽい。
少し癖のある真ん中で分けた黒髪を掻き上げる仕草は腰に来る。
めちゃくちゃエロい。歩くわいせつ物。
俺の好みど真ん中。
今すぐにでもお相手願いたい!
願いたい、が……。
「……」
声はかけられない。
彼は、このハッテン場では皆のアイドル的存在の高値の花の人気のネコである、ユキさんだ。
ユキさんはいつも巨根で大柄のタチを選んでセックスをしている。個室の時もあるけど、覗きOKの長椅子や雑魚寝部屋ですることも多くて、そんな時は大きくて強そうなチンコにガンガン掘られて色っぽく喘ぐ姿をおかずにさせてもらっている。
……そう、ユキさんの相手はいつも巨根。少なくとも平均以上。
俺なんか絶対に相手にされない。
「……座らないの?」
「!?」
声をかける勇気すらないのに近くにいるのも気まずいし、このまま立ち去ろうかと思っていると、ユキさんから声をかけてくれた。
「一人だと暇だから。おしゃべりしようよ」
にこっと美形のわりに人懐っこい笑顔を向けてくる。
かわいい……俺より二~三歳年上のはずだけど、エッチだけど、かわいいんだよなこの人。
「あ、はい……」
気が付けば花に誘われる蝶のようにふらふらとユキさんの隣に腰掛けていた。
でも、エッチができるなんて期待はしない。
ユキさんも言ったじゃないか。暇つぶしのおしゃべり要員だろう。
過度な期待はしない。
絶対にしない。
「君さ、いつも覗いてくれてる子だよね? 確か……ソウタくん?」
いきなり直球……!
しかも俺の名前まで、覚えていてくれた!?
「あ、は、はい!」
「やっぱり。いつもすごくエッチな顔で見てくれるから、俺、興奮しちゃうんだよね。ありがとう」
ユキさんのセックスを覗く人は俺だけじゃない。
多い時は一〇人くらいに囲まれているし、毎回俺が居合わせるわけでもない。
それなのに、認識されていたなんて……!
「君も、俺で興奮してくれてるんだよね……?」
ユキさんが俺の太ももを撫でる。
う、うわっ。すっげぇエロい!
あ、あ、あ、あ、やばい。覗き込む顔が近い。エロい!
これ、お誘い? 俺みたいなガタイも良くない奴を?
嬉しい!
でも……俺のチンコのサイズじゃだめだよな……。
「お、俺……その……」
ユキさんとしたい。
でも、まだタオルが巻かれているユキさんの股間には、平均の中でもやや大きめで、もちろん俺よりも大きいチンコが隠れているのを知っている。
「俺……」
「ごめん、困らせちゃった?」
ユキさんがちょっと悲しそうな顔をする。
違う。
そうじゃない。
悪いのは俺で……。
「あ、あの、俺……ユキさんとすげぇしたいんです!」
「え? うん……?」
急に大声を出した俺に、ユキさんが驚きながら首を傾げる。
「でも、俺……その……満足、してもらえるか不安で」
「満足?」
「はい。あの……俺、チンコがあんまり……っえ!?」
俺が言い終わらないうちに、ユキさんが俺の股間のタオルを捲った。
「……」
「……」
じっと、無言でそこを見られる。
気まずい。きっと小さくて、仮性で、呆れられた。
「……ちょっとごめんね」
あぁ、ほら、だめなんだ……っうお!?
セックスのお断りのごめんではなく、触る許可のごめんだったようで、俺のまだ萎えている粗チンにユキさんの指が触れて、太さや長さを確かめているようだった。
……ユキさんに触ってもらえるのは嬉しいけど、そんな……コンプレックスの場所をしっかり触られるのはみじめで仕方がない。
もう断るならさっさと断って欲しいのに。
「ちょうどいいかも」
「え?」
一通り触れた後、ユキさんが俺の股間から手を離して呟いた。
は?
俺のがちょうどいいことなんてあるのか?
あ、もしかして、アナルを使いすぎて疲れているからとか?
それなら俺にもワンチャン……?
「ね……ホテルいかない?」
ユキさんがあきらかに俺に媚びる仕草で誘ってくれた。
すごく色っぽいしかわいいし、嬉しいけど……
「ホテル、ですか?」
このサウナの奥には個室もあるのに。
「うん。ここじゃできないプレイがしたくて……だめ? ホテル代俺が出すし」
「え!? いや、それはだめです! 割り勘、いや俺が出します!」
「行ってくれるんだ? やった」
「あ……」
上手い。
有無を言わさずホテルに行く流れになってしまった。
「じゃあ早く行こ♡」
ユキさんが俺の手を引いて更衣室に向かい、着替えた後はホテルまで腕を組んで歩いてくれた。
夢みたいだった。
この後ホテルでどんなヤバイプレイに誘われても、絶対に全部受け入れようと思った。
それくらい俺は、セックスできることに飢えていた。
◆
どこの高級ホテルに連れていかれるのかと思ったら、普通のラブホテルだった。
特殊性癖用でもない、本当に普通のこぎれいで高くも安くも無い、無難なラブホテル。
「部屋は……この階ならどれでもいいな」
ユキさんがスマホで何かを確認しながらプレートを指差す。
時間が早いからほとんど空き部屋で、俺はよく解らないままに一番グレードの高い部屋を選んだ。
……と言っても料金は平均的だ。
「ふふっ。楽しみだなぁ」
部屋に着くまでのエレベーターも、ユキさんは俺と手を繋いでくれて、ニコニコ楽しそうで、まるで恋人同士のデートみたいで……ちょっと嬉しくて涙が出そうだった。
だって、もう何十回もプレイを覗いておかずにさせてもらった憧れの人なんだ。
ノンケの男にもわかるように言うなら、お気に入りのAV女優が手を繋いでラブホの部屋に引っ張ってくれているようなものだ。
「あ、ここだ」
そんなことを考えているうちについた部屋は、シックなこげ茶とクリーム色を基調にした少し広めの部屋で、ソファとテーブル、奥に大きめのベッド。
アメニティのボックスと、飲み物やアダルトグッズの自販機……あ! 風呂場がガラス張りでスケスケだ!
もしかしたら、俺に覗かれて興奮とか言っていたしそういうことか?
俺が勝手に納得している間に、ユキさんは俺の手を離して部屋の中を進み……あれ?
「売り切れてないと良いんだけど……あった!」
ユキさんはアダルトグッズの自販機の前にしゃがみ込むと、ズボンのポケットからマネークリップに挟まれたお札を二枚ほど出した。
「うーん……こっちかな……」
そうか。俺のチンコが頼りないから極太バイブで責めてほしいとか?
「ね、ソウタくん。ピンクと青どっちがいい?」
「えっと……ピンク?」
よく解らないけど、ピンク色の方がエロそうなのでそう答えると、ユキさんは「じゃあピンク」と言いながら自販機にお金を入れて何かを取り出した。
「あのね……もしよかったらなんだけど……」
ユキさんが少し恥ずかしそうに買ったものを持って俺の側にやってくる。
恥ずかしそうな顔が妙にエロい。
何を買ったんだ?
どんなお願いをされるんだ?
少し緊張しながら待っていると、ユキさんは思ったより小さめの箱を俺に見せながら呟いた。
「俺、中にローター入れたところをソウタくんのペニスでガンガン掘ってもらいたくて……だめ?」
箱から出したピンク色の二連ローターを口元に……というかキスしながら上目遣いで……。
こんなお誘いをされて断れるゲイはいないだろ!
「よろこんで!」
二人とも全裸になってからベッドに上がると、軽くキスをしながら抱き合い、お互いの体を撫であった。
あぁ、あのユキさんが俺の腕の中にいる。
肌、めちゃくちゃスベスベ。
香水? いや、高級そうなシャンプー? いい匂いもする。
「ん……」
ちょっと漏れるだけの声が、もうかわいい!
幸せだ……だから、もっと……。
「あっ、ん! んん~……っ」
ユキさんの左の乳首を、なるべく優しく撫でると、ユキさんの声が一気に甘くなって体をよじる。
「はぁ、ユキさん……かわいい、声かわいい……もっと出して」
「あっ♡ んっ……あ!」
キスもまだしていたいけど、唇を耳元、首筋、鎖骨、そして脇へと降ろしていくとユキさんの声がどんどん甘くなる。
ここ、弱いはず。
俺、いつもユキさんのプレイを見ているから、ユキさんの弱いところは熟知してる。
「あ、あん♡ ソウタ、くん……上手だね? 俺、期待しちゃうよ?」
ユキさんがローターを引き寄せて俺の手に握らせる。
「使って♡」
「はい」
大学も就職も平均よりは良い所に行けたし、顔と身長は平均だけど、服や髪型で誤魔化せばまぁまぁの見た目。
趣味のマラソンも年々タイムが上がって楽しい。
それなりに気の合う友達もいて、親兄弟との関係も良好。
自分に不満はない……ただ一つを除いて。
◆
ゲイのハッテン場として有名なサウナの脱衣所で服を脱ぎ、腰にタオルを巻く前に備え付けの大きな鏡を見る。
「……」
何度見たって、どこの鏡で見たって、俺の外見が変わるわけはない。
人気の韓流アイドルを意識したソフトなツーブロックに印象が薄いけど人畜無害そうなややタヌキ顔、一七二センチ中肉中背……の俺の股間には、体と同じ平均サイズ……よりも一回り小さいチンコがぶら下がっている。
ついでに仮性包茎だ。
……ここだけ。
ここだけが自分の中でどうしても好きになれない。
「……せめて俺がタチじゃなかったらな」
俺はゲイの中で性趣向がタチ。つまりチンコをよく使う方だ。
大きすぎるチンコはそれはそれで敬遠されてしまうが、小さい方は……更に避けられてしまう気がする。
ナンパした相手よりも俺の方が小さかったりすると、申し訳なくなる。
俺のこんなコンプレックスを「気にし過ぎだって!」と励ましてくれるタチ仲間もいるが、そう言ってくれる奴らのチンコは確実に俺よりも大きくて剥けている。
このサウナでだって、最初は積極的にナンパしてセックスになだれ込んでいたが、なかなか二度目に繋がらないし、そもそもナンパの成功率も低い。
次第に、俺よりもチンコの大きなタチがいれば「俺よりあっちの方が良いだろうし」と遠慮してしまう様になり、最近はもう、エッチで美人な高嶺の花である人気のネコさんが他の巨根タチに抱かれているところを覗かせてもらうことの方が多かった。
そして今日は……
「……この時間なら空いてるし」
人の多くない時間を狙えば、俺以外にタチがいなくてナンパが成功するかもしれないなんていう卑屈な思いで夕方六時という微妙な時間にサウナに入った。
かわいい感じのネコの人が一人でいますように……と。
いた。
サウナのドアを開けて、熱気を浴びながら中を見渡すと……このハッテン場ではネコの印である水色のリストバンドをつけた男の人が一人だけ座っていた。
俺にとっては最高のシチュエーションだ。
しかもその男性はめちゃくちゃ魅力的だった。
妖艶でエロい垂れ目の美人で、俺より高身長のモデル体型だけど胸や尻に薄くついた肉が色っぽい。
少し癖のある真ん中で分けた黒髪を掻き上げる仕草は腰に来る。
めちゃくちゃエロい。歩くわいせつ物。
俺の好みど真ん中。
今すぐにでもお相手願いたい!
願いたい、が……。
「……」
声はかけられない。
彼は、このハッテン場では皆のアイドル的存在の高値の花の人気のネコである、ユキさんだ。
ユキさんはいつも巨根で大柄のタチを選んでセックスをしている。個室の時もあるけど、覗きOKの長椅子や雑魚寝部屋ですることも多くて、そんな時は大きくて強そうなチンコにガンガン掘られて色っぽく喘ぐ姿をおかずにさせてもらっている。
……そう、ユキさんの相手はいつも巨根。少なくとも平均以上。
俺なんか絶対に相手にされない。
「……座らないの?」
「!?」
声をかける勇気すらないのに近くにいるのも気まずいし、このまま立ち去ろうかと思っていると、ユキさんから声をかけてくれた。
「一人だと暇だから。おしゃべりしようよ」
にこっと美形のわりに人懐っこい笑顔を向けてくる。
かわいい……俺より二~三歳年上のはずだけど、エッチだけど、かわいいんだよなこの人。
「あ、はい……」
気が付けば花に誘われる蝶のようにふらふらとユキさんの隣に腰掛けていた。
でも、エッチができるなんて期待はしない。
ユキさんも言ったじゃないか。暇つぶしのおしゃべり要員だろう。
過度な期待はしない。
絶対にしない。
「君さ、いつも覗いてくれてる子だよね? 確か……ソウタくん?」
いきなり直球……!
しかも俺の名前まで、覚えていてくれた!?
「あ、は、はい!」
「やっぱり。いつもすごくエッチな顔で見てくれるから、俺、興奮しちゃうんだよね。ありがとう」
ユキさんのセックスを覗く人は俺だけじゃない。
多い時は一〇人くらいに囲まれているし、毎回俺が居合わせるわけでもない。
それなのに、認識されていたなんて……!
「君も、俺で興奮してくれてるんだよね……?」
ユキさんが俺の太ももを撫でる。
う、うわっ。すっげぇエロい!
あ、あ、あ、あ、やばい。覗き込む顔が近い。エロい!
これ、お誘い? 俺みたいなガタイも良くない奴を?
嬉しい!
でも……俺のチンコのサイズじゃだめだよな……。
「お、俺……その……」
ユキさんとしたい。
でも、まだタオルが巻かれているユキさんの股間には、平均の中でもやや大きめで、もちろん俺よりも大きいチンコが隠れているのを知っている。
「俺……」
「ごめん、困らせちゃった?」
ユキさんがちょっと悲しそうな顔をする。
違う。
そうじゃない。
悪いのは俺で……。
「あ、あの、俺……ユキさんとすげぇしたいんです!」
「え? うん……?」
急に大声を出した俺に、ユキさんが驚きながら首を傾げる。
「でも、俺……その……満足、してもらえるか不安で」
「満足?」
「はい。あの……俺、チンコがあんまり……っえ!?」
俺が言い終わらないうちに、ユキさんが俺の股間のタオルを捲った。
「……」
「……」
じっと、無言でそこを見られる。
気まずい。きっと小さくて、仮性で、呆れられた。
「……ちょっとごめんね」
あぁ、ほら、だめなんだ……っうお!?
セックスのお断りのごめんではなく、触る許可のごめんだったようで、俺のまだ萎えている粗チンにユキさんの指が触れて、太さや長さを確かめているようだった。
……ユキさんに触ってもらえるのは嬉しいけど、そんな……コンプレックスの場所をしっかり触られるのはみじめで仕方がない。
もう断るならさっさと断って欲しいのに。
「ちょうどいいかも」
「え?」
一通り触れた後、ユキさんが俺の股間から手を離して呟いた。
は?
俺のがちょうどいいことなんてあるのか?
あ、もしかして、アナルを使いすぎて疲れているからとか?
それなら俺にもワンチャン……?
「ね……ホテルいかない?」
ユキさんがあきらかに俺に媚びる仕草で誘ってくれた。
すごく色っぽいしかわいいし、嬉しいけど……
「ホテル、ですか?」
このサウナの奥には個室もあるのに。
「うん。ここじゃできないプレイがしたくて……だめ? ホテル代俺が出すし」
「え!? いや、それはだめです! 割り勘、いや俺が出します!」
「行ってくれるんだ? やった」
「あ……」
上手い。
有無を言わさずホテルに行く流れになってしまった。
「じゃあ早く行こ♡」
ユキさんが俺の手を引いて更衣室に向かい、着替えた後はホテルまで腕を組んで歩いてくれた。
夢みたいだった。
この後ホテルでどんなヤバイプレイに誘われても、絶対に全部受け入れようと思った。
それくらい俺は、セックスできることに飢えていた。
◆
どこの高級ホテルに連れていかれるのかと思ったら、普通のラブホテルだった。
特殊性癖用でもない、本当に普通のこぎれいで高くも安くも無い、無難なラブホテル。
「部屋は……この階ならどれでもいいな」
ユキさんがスマホで何かを確認しながらプレートを指差す。
時間が早いからほとんど空き部屋で、俺はよく解らないままに一番グレードの高い部屋を選んだ。
……と言っても料金は平均的だ。
「ふふっ。楽しみだなぁ」
部屋に着くまでのエレベーターも、ユキさんは俺と手を繋いでくれて、ニコニコ楽しそうで、まるで恋人同士のデートみたいで……ちょっと嬉しくて涙が出そうだった。
だって、もう何十回もプレイを覗いておかずにさせてもらった憧れの人なんだ。
ノンケの男にもわかるように言うなら、お気に入りのAV女優が手を繋いでラブホの部屋に引っ張ってくれているようなものだ。
「あ、ここだ」
そんなことを考えているうちについた部屋は、シックなこげ茶とクリーム色を基調にした少し広めの部屋で、ソファとテーブル、奥に大きめのベッド。
アメニティのボックスと、飲み物やアダルトグッズの自販機……あ! 風呂場がガラス張りでスケスケだ!
もしかしたら、俺に覗かれて興奮とか言っていたしそういうことか?
俺が勝手に納得している間に、ユキさんは俺の手を離して部屋の中を進み……あれ?
「売り切れてないと良いんだけど……あった!」
ユキさんはアダルトグッズの自販機の前にしゃがみ込むと、ズボンのポケットからマネークリップに挟まれたお札を二枚ほど出した。
「うーん……こっちかな……」
そうか。俺のチンコが頼りないから極太バイブで責めてほしいとか?
「ね、ソウタくん。ピンクと青どっちがいい?」
「えっと……ピンク?」
よく解らないけど、ピンク色の方がエロそうなのでそう答えると、ユキさんは「じゃあピンク」と言いながら自販機にお金を入れて何かを取り出した。
「あのね……もしよかったらなんだけど……」
ユキさんが少し恥ずかしそうに買ったものを持って俺の側にやってくる。
恥ずかしそうな顔が妙にエロい。
何を買ったんだ?
どんなお願いをされるんだ?
少し緊張しながら待っていると、ユキさんは思ったより小さめの箱を俺に見せながら呟いた。
「俺、中にローター入れたところをソウタくんのペニスでガンガン掘ってもらいたくて……だめ?」
箱から出したピンク色の二連ローターを口元に……というかキスしながら上目遣いで……。
こんなお誘いをされて断れるゲイはいないだろ!
「よろこんで!」
二人とも全裸になってからベッドに上がると、軽くキスをしながら抱き合い、お互いの体を撫であった。
あぁ、あのユキさんが俺の腕の中にいる。
肌、めちゃくちゃスベスベ。
香水? いや、高級そうなシャンプー? いい匂いもする。
「ん……」
ちょっと漏れるだけの声が、もうかわいい!
幸せだ……だから、もっと……。
「あっ、ん! んん~……っ」
ユキさんの左の乳首を、なるべく優しく撫でると、ユキさんの声が一気に甘くなって体をよじる。
「はぁ、ユキさん……かわいい、声かわいい……もっと出して」
「あっ♡ んっ……あ!」
キスもまだしていたいけど、唇を耳元、首筋、鎖骨、そして脇へと降ろしていくとユキさんの声がどんどん甘くなる。
ここ、弱いはず。
俺、いつもユキさんのプレイを見ているから、ユキさんの弱いところは熟知してる。
「あ、あん♡ ソウタ、くん……上手だね? 俺、期待しちゃうよ?」
ユキさんがローターを引き寄せて俺の手に握らせる。
「使って♡」
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