30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

集団

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「アリマ、先へ進むぞ」

「レザンジュとの国境に向かうのですか?」

「うむ」

 近場どころか、かなり先まで感知してもエリシティア様やギリオンの気配は感じられない。それでも向かうのか? もっと広範囲に探るべきではないのか?

「既に国境近くに到着しているやもしれぬ。場合によっては、レザンジュに入っている可能性もある」

「道を変えたということは?」

「ないとも言えぬが、殿下の性格を考慮すればその線は薄いはず」

「……」

「なので、今は国境まで進むのが最良だろう」

「……そうですか。了解しました」

「うむ。あとは無事であることを祈るばかりだ」

「ええ」





 平原を小走りで進むこと1刻半。
 ぎりぎり感知できる範囲内に集団の気配が入ってきた。

「イリサヴィア様、前方に多数の気配が感じられます」

「多数? 私には感じられぬが……人か?」

「だと思います」

「相当な距離があるというのに、さすがだな」

「いえ」

 感知は俺の方が慣れているだけ。
 他の多くについては、特に魔力運用に関しては剣姫に敵わないのだから。

「で、その気配、殿下たちだと思うか?」

「すみません、この距離では何とも」

「ふむ。ならば急ぐとしよう」

 ともに速度を上げ、さらに四半刻走り続けると、感知精度も当然上がってくる。
 それは剣姫も同じで。

「殿下たちではない、か」

「おそらくは」

 エリシティア様の気配については正確に覚えていないが、ギリオンは違う。白都のレンヌ屋敷で嫌というほど探ったばかりの俺が誤るわけがない。そのギリオンを感知できない上に剣姫もエリシティア様を感じられないというのなら、ほぼ間違いないだろう。

 しかし、そうすると。

「あの集団は略奪王の手の者?」

 先王を弑逆したと噂されるアイスタージウス王子。
 彼が国境を越えての出兵を指示したと?

「キュベリッツはレザンジュの派兵を許可しているのですか?」

「白都出発時にはそのような話はなかったが……その後のことは分からぬ」

 正式な出兵かどうかは不明。
 が、いずれにせよ目的は。

「エリシティア様を捕らえるためですよね?」

「あれがレザンジュの兵ならば、そうであろうな」

「……ご無事でしょうか?」

 予定通りの行軍でなくなっていることはもう間違いない。
 問題は何が起きたかだが。
 道中で不測の事態があったのか、あるいはアイスタージウス軍との衝突……。

「……」

 既に虜囚となって国境を越えている可能性も考えるべきかもしれない。

「どうしましょう?」

「前方の集団と接触するしかないな」

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