30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

眷属?

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 兇神の雫。
 兇神。

 実際に対峙したことがあるとはいえ、兇神についてはよく分かっていない。
 善なのか悪なのか、それを超越した存在なのか?
 あの兇神はなぜ俺たちを襲ったのか?
 人に干渉するものなのか?
 兇神という存在はエビルズマリスだけなのか?
 それとも複数存在しているのか?
 知らないことばかりだ。

 それでも、今目の前にいるオルセーが兇神に関係している事実だけは間違いない。
 エビルズマリスに繋がっているのか、他の兇神なのかは分からないが。

「……」

 ただ、この雫という表示。
 エビルズマリスの分身を鑑定した時もまったく同じ表示だった。
 その上、今も微かに残る黒い澱みの粘りつくような感覚は、エビルズマリスの創り出した異界に近いものがある。

 なら、オルセーはエビルズマリスの分身、眷属である可能性が高いと考えるべき?

 けど、仮にそうだとして、なぜ白都にエビルズマリスの分身がいるんだ?
 エビルズピークから遠く離れているんだぞ。
 いや、そもそもエビルズマリス本体は倒したはずなのに?

 いったい、何が起こってる?


「アリマさん?」

 っ!
 しまった。
 思わぬ鑑定結果に、つい考え込んでしまった。

 が、幸運なことにオルセーは動きを止めたまま。
 戦況は変わっていない。

「どうしたんです?」

「……少し気になることがありまして」

「この状況で何をですか?」

 剣姫が訝しげに尋ねてくる。

「今回の件、エビルズピークの兇神が関係しているかもしれません」

「えっ! あのドラゴンが?」

 当然、彼女はエビルズマリスもその分身も知っている。
 鑑定結果を話して、意見を聞くのもいいだろう。
 ただし、それは今じゃない。

「詳しいことは、あとで話します」

「……分かりました」

 訝しさを増した表情で剣姫が答えた、その瞬間。

「グオ#△*ォォ!!」

 オルセーから咆哮が!
 と同時に突進。
 通路の奥に猛進していく!
 向かう先はこちらとは反対、ギリオンたちがいる方向だ。

「まずいですよ!」

 走り出した俺の背に剣姫の声が届く。

「オオ&#〇ォォ!」

 通路の奥はここより澱みが濃く残っているため、はっきりとは視認できないが、感知と目を使えばそれなりに把握できる。

 ギリオンたちの状態は既に感知した通り、思わしくない。皆が満身創痍で十分には戦えないだろう。それでも、初撃でやられるようなやつらじゃないよな。

 あと数秒耐えてくれよ。




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