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第11章 陰謀編
禁具
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「雷撃!」
「っ」
これまで無反応だったオルセーの体がビクンはね、僅かに息を漏らす。
ただし、崩れはしない。
何事もなかったかのように立っている。
相変わらず表情は消えたままだが……。
やはり、そう簡単じゃないか。
なら、もう一発見舞ってやろう。
「雷撃!」
「……」
再び近距離から直撃するも、今度は声すら漏らさない。
これじゃ駄目みたいだな。
だったら、次は威力を上げて。
「雷撃!」
「ぐっ!」
おっ、軽く痙攣している。
悪くない反応だ。
が、倒れない。
それどころか、上半身を捻りこちらに目線を送ってきた。
「……」
なのに、その真っ赤な両眼には何も映っていない?
まだ俺を認識できないのか?
と、そんなことより雷撃だ。
さらに威力を高めて……。
「アリマさん、人が集まってきました」
発動直前に上がった剣姫の声に、思わず雷撃を止めてしまう。
「んん、んんん!!」
「すぐ下にいます」
剣姫の言う通り、階段下には複数の人の気配が感じられる。
オルセーの叫び声を耳にして集まってきたのだろう。
厄介なことになったな。
「人が来る前に、アリマさん!」
分かってる。
こうなれば手加減はなしだ。
「雷撃!!」
「ぐっ!」
激しく痙攣するも倒れない。
ならば、これでどうだ。
懐に入って掌底を突き上げてやる。
ドゴッ!
避けようともしないオルセーの胸に直撃。
手のひらに伝わる鋼のような感触は、決して気持ちいいものじゃない。
が、それでも、手応えはあった。
もう耐えられないはず。
「……」
何?
これでも倒れないだと?
「あぁ、ああぁぁ」
大打撃を受けても仁王立ちの体勢を崩さないオルセー。
口から奇声が漏れ出してきた。
「んん!! んんん!!!」
その異様を見たバシモスが焦った表情で叫んでいる。
「イリサヴィ……サヴィアリーナ様?」
「バシモス殿が何か知っているようですね。聞いてみましょう」
なぜか階下の者たちは階段下で足を止めている。
となれば、若干の余裕があるのか。
「分かりました」
床に横たわるバシモスに駆け寄り、猿ぐつわを外してやると。
「縄も解け、今すぐだ!」
「まずはオルセー殿の状態を教えてください」
「……あいつ、禁具を使ったんだ」
きんぐ?
初めて聞く単語だぞ。
「なるほど、禁具でしたか」
「ああ。こうなったら手の打ちようがない。本格的な覚醒の前に殺すしか術はない」
「っ」
これまで無反応だったオルセーの体がビクンはね、僅かに息を漏らす。
ただし、崩れはしない。
何事もなかったかのように立っている。
相変わらず表情は消えたままだが……。
やはり、そう簡単じゃないか。
なら、もう一発見舞ってやろう。
「雷撃!」
「……」
再び近距離から直撃するも、今度は声すら漏らさない。
これじゃ駄目みたいだな。
だったら、次は威力を上げて。
「雷撃!」
「ぐっ!」
おっ、軽く痙攣している。
悪くない反応だ。
が、倒れない。
それどころか、上半身を捻りこちらに目線を送ってきた。
「……」
なのに、その真っ赤な両眼には何も映っていない?
まだ俺を認識できないのか?
と、そんなことより雷撃だ。
さらに威力を高めて……。
「アリマさん、人が集まってきました」
発動直前に上がった剣姫の声に、思わず雷撃を止めてしまう。
「んん、んんん!!」
「すぐ下にいます」
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オルセーの叫び声を耳にして集まってきたのだろう。
厄介なことになったな。
「人が来る前に、アリマさん!」
分かってる。
こうなれば手加減はなしだ。
「雷撃!!」
「ぐっ!」
激しく痙攣するも倒れない。
ならば、これでどうだ。
懐に入って掌底を突き上げてやる。
ドゴッ!
避けようともしないオルセーの胸に直撃。
手のひらに伝わる鋼のような感触は、決して気持ちいいものじゃない。
が、それでも、手応えはあった。
もう耐えられないはず。
「……」
何?
これでも倒れないだと?
「あぁ、ああぁぁ」
大打撃を受けても仁王立ちの体勢を崩さないオルセー。
口から奇声が漏れ出してきた。
「んん!! んんん!!!」
その異様を見たバシモスが焦った表情で叫んでいる。
「イリサヴィ……サヴィアリーナ様?」
「バシモス殿が何か知っているようですね。聞いてみましょう」
なぜか階下の者たちは階段下で足を止めている。
となれば、若干の余裕があるのか。
「分かりました」
床に横たわるバシモスに駆け寄り、猿ぐつわを外してやると。
「縄も解け、今すぐだ!」
「まずはオルセー殿の状態を教えてください」
「……あいつ、禁具を使ったんだ」
きんぐ?
初めて聞く単語だぞ。
「なるほど、禁具でしたか」
「ああ。こうなったら手の打ちようがない。本格的な覚醒の前に殺すしか術はない」
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