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第11章
異変 2
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<ヴァルター視点>
成人男性の外泊など、特段騒ぎ立てることじゃない。
とはいえ、このきな臭い状況下では話が違ってくる。やはり、不測の事態が生じた可能性は高いだろう。
問題はその事態の質だ。
「昼までに戻らなければ、調べようかと思っております」
「ふむ。手は足りておるのか?」
「簡単に調べるだけでしたら」
「ならば、昼まで待つ必要もない。疾く調べよ」
「はっ!」
*****************************
<ヴァーンベック視点>
「ヴァーン、そんなに慌ててどうしたの?」
「……」
「何かあったのね」
「まあ……ちっと問題がな」
「わたしの眼のこと?」
もちろん、それもあるが。
「それなら、気にしないで。難しいのはよく分かっているから」
「……」
「こんな気持ち申し訳ないんだけど、ヴァーンが頑張ってくれているだけで、わたし嬉しいから」
違う。
俺は当然のことをしてるまでだ。
なのに、そんなこと言われると。
「だから、あまり無理しないで。ねっ、ヴァーン?」
シア……。
「それで、どういった問題なの? できれば、話してほしいな」
「……違うんだ」
「えっ?」
「治療についてじゃねえんだよ」
「そうなの? だったら?」
こんなこと、今のシアにする話じゃない。
が……。
「昨日、街で喧嘩騒ぎがあってな」
「うん」
「その場所が剣術道場、レイリュークの道場だったんだ」
「それって、前に話を聞いたあの剣士さんの道場よね?」
「ああ」
「オルドウにもよく来ていたレイリュークのな」
今日いつも通りに街を回っていた時に掴んだ、レイリュークと2人の男が争っていたという情報。これだけなら何てことはない。ただ……。
「問題なの? それが?」
「レイリュークは、ギリオンとちょっとした縁がある奴なんだわ」
「まさか、その喧嘩の相手が?」
「……分からねえ」
「そうよね。ギリオンさん、白都にいるかどうかも分からないんだし」
「いや、ちっと前に白都にいたのは確からしい」
「えっ」
「けどまあ、今の所在は不明だな」
残念ながら、情報は掴めていない。
「だからよ、正直よく分かんねえが、それでも、レイリュークの相手がギリオンである可能性も捨てきれねえだろ」
「……」
「それに、もうひとつ嫌な話を聞いちまってな」
成人男性の外泊など、特段騒ぎ立てることじゃない。
とはいえ、このきな臭い状況下では話が違ってくる。やはり、不測の事態が生じた可能性は高いだろう。
問題はその事態の質だ。
「昼までに戻らなければ、調べようかと思っております」
「ふむ。手は足りておるのか?」
「簡単に調べるだけでしたら」
「ならば、昼まで待つ必要もない。疾く調べよ」
「はっ!」
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<ヴァーンベック視点>
「ヴァーン、そんなに慌ててどうしたの?」
「……」
「何かあったのね」
「まあ……ちっと問題がな」
「わたしの眼のこと?」
もちろん、それもあるが。
「それなら、気にしないで。難しいのはよく分かっているから」
「……」
「こんな気持ち申し訳ないんだけど、ヴァーンが頑張ってくれているだけで、わたし嬉しいから」
違う。
俺は当然のことをしてるまでだ。
なのに、そんなこと言われると。
「だから、あまり無理しないで。ねっ、ヴァーン?」
シア……。
「それで、どういった問題なの? できれば、話してほしいな」
「……違うんだ」
「えっ?」
「治療についてじゃねえんだよ」
「そうなの? だったら?」
こんなこと、今のシアにする話じゃない。
が……。
「昨日、街で喧嘩騒ぎがあってな」
「うん」
「その場所が剣術道場、レイリュークの道場だったんだ」
「それって、前に話を聞いたあの剣士さんの道場よね?」
「ああ」
「オルドウにもよく来ていたレイリュークのな」
今日いつも通りに街を回っていた時に掴んだ、レイリュークと2人の男が争っていたという情報。これだけなら何てことはない。ただ……。
「問題なの? それが?」
「レイリュークは、ギリオンとちょっとした縁がある奴なんだわ」
「まさか、その喧嘩の相手が?」
「……分からねえ」
「そうよね。ギリオンさん、白都にいるかどうかも分からないんだし」
「いや、ちっと前に白都にいたのは確からしい」
「えっ」
「けどまあ、今の所在は不明だな」
残念ながら、情報は掴めていない。
「だからよ、正直よく分かんねえが、それでも、レイリュークの相手がギリオンである可能性も捨てきれねえだろ」
「……」
「それに、もうひとつ嫌な話を聞いちまってな」
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