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第11章 陰謀編
証拠
しおりを挟む「すっこんでろ、レイリューク!」
レイリューク?
もうひとりはレイリュークさんだったのか?
「そうはいかん」
「庇うってんなら、ただじゃおかねえぞ」
「ほう、おまえが私に何をすると言うんだ」
「けっ! んなの、言うまでもねえ」
「ふふ……。相変わらず、威勢だけはいいな」
「威勢だけかどうか、試してみるかよ」
「ギリオン」
今はやめとけ。
そう目で合図を送ったが。
「どうだぁ、レイリューク?」
駄目だ。
頭に血が上ってる。
「……そうだな。うるさい害虫を退治るのも悪くない」
レイリュークさんもやる気か。
まずいぞ。
「害虫だと!」
「こんな時間に道場の周りを嗅ぎ回ってるのは、害虫しかいないだろ」
「てめえ!」
ギリオンはもちろん、レイリュークさんからも剣気が漏れ出ている。
まさに一触即発状態。
「ギリオン、手を出すんじゃない」
「ああ?」
「冷静になってくれ」
「オレは冷静だ」
そう言葉を投げ捨てたギリオン、今にも飛び出そうとしている。
レイリュークさんもだ。
これはもう、放置してる場合じゃない。
ギリオンを制するように前に出て、レイリュークさんの面前へ。
「コーキ、おい!」
「上手くいく確率を考えるんだろ」
「……」
「さっき自分で言った言葉を忘れたのか?」
「……ちっ」
苦々しく息を吐きながらも動きを止めるギリオン。
よし、これなら。
「レイリュークさん、少し話をさせてください」
「……君は?」
「ギリオンの友人です」
「ふむ。友人とはいえ、君が口を出すことではないと思うが?」
「いいえ。私も現場にいましたので」
「現場?」
「レイリュークさんは何があったかご存じないのですか?」
「ギリオンが我が門弟を傷つけ、尾行した。と聞いている」
「結果的にはそうなっていますが、原因はそちらの剣士、門弟にあります」
「……どういうことだ?」
「レイリュークさん、あなたの門弟がギリオンを背後から斬りつけたんですよ」
「……」
「剣士にあるまじき、後ろからの不意討ちです」
「それを信じろと?」
「ええ、事実ですから」
「……」
この反応。
レイリュークさんは知らなかったのか?
ということは、彼が指示したのではない?
いや、それとも……。
「コーキの言う通りだぜ。そいつが先に仕掛けたんだよ。しかも、後ろからなぁ」
「信じがたいな」
「ですが、それが事実です」
「ふむ。君たちはそう言うが、私としては門弟の言の方が重いのだよ。話が食い違っている以上、門弟を信じるしかあるまい」
「証拠があれば?」
「君の証言は証拠にならないぞ」
「違いますよ。現場には目撃者が沢山いましたからね」
「今から目撃者を探しに行くのか?」
「それもひとつの手ですが、ここにも目撃者はいますからね。彼が証言してくれるはずです」
「……」
「コーキ、ここには4人しかいねえぞ。どういうこった?」
確かに、姿が見えるのは4人だけ。
気配も同じ。
ただ、そいつが姿も気配も消しているとしたら。
さっきの現場からずっと様子を見ていたとしたら。
申し分ない証人だろ。
だからな。
悪いが、顔を出してもらうぞ。
「隠れてないで出て来てくれませんか、ジンクさん」
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