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第10章 位相編
超感覚
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<古野白楓季視点>
「くっ! どうしてだ?」
「……」
「その状態で、どうしてそこまで動ける?」
動きを止めた吾妻。
繰り出した全ての攻撃を躱しきった有馬君に対し、困惑の表情を浮かべている。
「目も見えていないのに……まさか見えてる? 聞こえてるのか?」
さっきは私もそう思ったけれど。
やっぱり、違う。
「……」
吾妻の声は有馬君には届いていない。
だから、答えるなんて不可能。
「五感喪失に失敗したわけじゃない。だったら、なぜ?」
「……」
2人の攻防が終わり、今は全ての動きが止まったまま。
異様な静寂が場を覆っている。
「どうするよ?」
後退してきた武上君。
彼もかなり戸惑っているみたい。
「どうするって?」
「助けに入るかってこった」
「……」
「おそらく、今の有馬は超感覚で動いてるはずだ」
「超感覚?」
「おう、それしかねえだろ」
「……」
「その戦いにオレたちが入るのは、マズいんじゃねえかと思ってな」
「そう……かもしれないわね」
有馬君が、どうやって吾妻の攻撃を察知しているのか?
それが武上君の言うような超感覚なのか?
そんなこと私に分かるわけがない。
分かっているのは、五感が不十分でも戦えているってこと。
だったら、この状態の有馬君と連携はとれるの?
助けは必要なの?
とても、そうは思えない。
「少し様子を見ましょうか?」
「……だな」
武上君も私と同じ考えだと思う。
普段なら我先に戦闘を始める彼が、大人しく待機するというのだから。
「まっ、ピンチになったら参戦するけどよ」
「……ええ」
「古野白も炎弾の準備しとけよ」
「もう準備してるわ」
既に準備は終わっている。
いつでも放てる状態だ。
あとは、戦況を注視するだけ……。
「えっ?」
「The force is sense」
連続であの異能を使うの?
もう使えるの?
「武上君!」
「ああ、マズいな」
こっちは、まだ結界を再構築できない。
吾妻の異能を回避するには、有効範囲から離れるしかない。
ただ……。
ここで私たちが後退して、有馬君を放置するのは?
「有馬はどうなんだ?」
「……」
今は動けている彼でも、二度目の五感喪失を身に受けてどうなるかは分からない。
私たちのように全く動けなくなる可能性だって考えられる。
そうなってしまえば、もう……?
「The sennse creates beyond infinite time……」
そんな思考の間も詠唱は止まらない。
詠唱に気づいていないだろう有馬君はただ悠然と立っているだけ。
「武志に幸奈さん、もっと距離を取るんだ」
「……」
「……はい」
武上君の声に押されるように、ふたりが後退して行く。
私たちは……。
「No exception!」
「ちっ、仕方ねえ。オレたちもいったん効果範囲外まで退くぞ」
「有馬君は?」
「詠唱完了後、戻って助けてやる」
「……」
「古野白、優先順位を間違えんなよ」
もちろん、何が大切かは分かってる。
それでも……。
「くっ! どうしてだ?」
「……」
「その状態で、どうしてそこまで動ける?」
動きを止めた吾妻。
繰り出した全ての攻撃を躱しきった有馬君に対し、困惑の表情を浮かべている。
「目も見えていないのに……まさか見えてる? 聞こえてるのか?」
さっきは私もそう思ったけれど。
やっぱり、違う。
「……」
吾妻の声は有馬君には届いていない。
だから、答えるなんて不可能。
「五感喪失に失敗したわけじゃない。だったら、なぜ?」
「……」
2人の攻防が終わり、今は全ての動きが止まったまま。
異様な静寂が場を覆っている。
「どうするよ?」
後退してきた武上君。
彼もかなり戸惑っているみたい。
「どうするって?」
「助けに入るかってこった」
「……」
「おそらく、今の有馬は超感覚で動いてるはずだ」
「超感覚?」
「おう、それしかねえだろ」
「……」
「その戦いにオレたちが入るのは、マズいんじゃねえかと思ってな」
「そう……かもしれないわね」
有馬君が、どうやって吾妻の攻撃を察知しているのか?
それが武上君の言うような超感覚なのか?
そんなこと私に分かるわけがない。
分かっているのは、五感が不十分でも戦えているってこと。
だったら、この状態の有馬君と連携はとれるの?
助けは必要なの?
とても、そうは思えない。
「少し様子を見ましょうか?」
「……だな」
武上君も私と同じ考えだと思う。
普段なら我先に戦闘を始める彼が、大人しく待機するというのだから。
「まっ、ピンチになったら参戦するけどよ」
「……ええ」
「古野白も炎弾の準備しとけよ」
「もう準備してるわ」
既に準備は終わっている。
いつでも放てる状態だ。
あとは、戦況を注視するだけ……。
「えっ?」
「The force is sense」
連続であの異能を使うの?
もう使えるの?
「武上君!」
「ああ、マズいな」
こっちは、まだ結界を再構築できない。
吾妻の異能を回避するには、有効範囲から離れるしかない。
ただ……。
ここで私たちが後退して、有馬君を放置するのは?
「有馬はどうなんだ?」
「……」
今は動けている彼でも、二度目の五感喪失を身に受けてどうなるかは分からない。
私たちのように全く動けなくなる可能性だって考えられる。
そうなってしまえば、もう……?
「The sennse creates beyond infinite time……」
そんな思考の間も詠唱は止まらない。
詠唱に気づいていないだろう有馬君はただ悠然と立っているだけ。
「武志に幸奈さん、もっと距離を取るんだ」
「……」
「……はい」
武上君の声に押されるように、ふたりが後退して行く。
私たちは……。
「No exception!」
「ちっ、仕方ねえ。オレたちもいったん効果範囲外まで退くぞ」
「有馬君は?」
「詠唱完了後、戻って助けてやる」
「……」
「古野白、優先順位を間違えんなよ」
もちろん、何が大切かは分かってる。
それでも……。
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