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第10章 位相編
集団戦 4
しおりを挟むダン!
ダン!
「駄目だ。銃じゃ崩せない」
「だったら、どうする? 異能者に加勢するか? それとも?」
「退くか?」
「……ああ」
幸奈たちに背を向け駆け出す2人。
いや、いや、ここで逃がすわけないだろ。
「なっ、おまえ!」
退路に立ち塞がった俺に、2人が足を止め。
「う、撃て!」
有無を言わせず発砲。
ダン、ダン!
ダン、ダン!
さすがに、近距離からの四連銃撃は厳しいものがある。
とはいえ、今回は正面からの真正直なもの。
引き金にかかる指と銃口を強化した眼で注視していれば、避けるのも不可能じゃない。
「この!」
ダン!
ダン!
ガチッ!
ガチン!
カチッ、カチッ!
弾切れだな。
「くっ!」
「ちくしょう!」
あれだけ派手に銃撃を続けたんだから、弾切れもするってもんだ。
「……うわぁぁ!」
ん?
弾切れで降参かと思いきや、突っ込んできた。
自棄になっての捨て身の攻撃か?
「ああぁぁ!」
諦めないのは立派だが、もちろん通用するはずもない。
「ぐっ!」
殴りかかってきた相手を昏倒させ、後ろにいる自失状態の男も一撃で征圧。
これで、拳銃を所持していた6人全員が地に伏したと。
戦闘不能状態ってことだ。
ということで……。
残すは、鷹郷さんが対峙する2人だけ。
「ウインド!」
「っ! アイスアロー!」
「ウォーターボール!」
俺の目の前で繰り広げられているのは、さっきと同様の異能戦。
3人の異能が宙を飛び交っている。
しかし、これだけ異能を使ってもスタミナ切れしないとは。
ステータスというより、運用効率の問題かもしれないな。
やはり、魔法とは共通点が多い。
異能と魔法か……。
「有馬君、今の状況は?」
「鷹郷さんは?」
幸奈を護っていた2人がこちらに出て来たようだ。
「御覧の通りですよ」
異能者相手に鷹郷さんが戦闘を優位に進めているものの、まだ倒せてはいない。
「……加勢するぞ!」
「了解!」
状況確認後、即断で参戦を決定。
2人が颯爽と駆けていく。
頼もしい後ろ姿だな。
などと思いながら眺めている俺の背中に。
「功己さん?」
幸奈の声。
防壁から出ようとしている?
「まだ出ない方がいい」
「でも」
「俺がそっちに行くから待っててくれ」
「……分かりました」
心細そうに頷く幸奈に近づくと。
「拳銃は大丈夫だったんですか?」
潤んだ目で見上げてきた。
「……」
この世界に来てから、もう何度も見た光景だ。
もちろん、元の世界でも。
なのに?
「まさか、怪我を?」
「……いや」
「本当に?」
「……問題ない」
「はぁぁ、よかったぁ」
何だ?
「ほんとに良かったです」
胸の奥に湧きだすこの感情は?
「……」
「功己さん?」
「ああ……そっちはどうだった? 怪我はないか?」
「はい、わたしは壁の中にいましたから」
「そうか……」
この感情。
自分でもよく分からない。
分からない、が……少しばかり疲れているのかもしれないな。
「あの、鷹郷さんたちは? 大丈夫でしょうか?」
そうだ。
今は俺のことより異能戦だ。
戦闘の行方はどうなってる?
「ストーンバレット!」
「アイスボール!」
「ウインド!」
部下2人の異能を風で操る鷹郷さん。
相変わらず素晴らしい連係を展開している。
対する敵は防戦一方。
反撃もままならない。
「問題はなさそうだな」
まあ、3対2となった時点で勝敗は決まったようなものか。
実際、今にも……。
「あっ、やりました!」
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