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第9章 推理編
3回戦
しおりを挟む<古野白楓季視点>
「動きを止める異能……すげえじゃねえか」
「あっ、でも、まだ不完全なんです。使えない時もあるし、あの人ももう動き出しているし」
「それでも大したもんだぜ。だよなぁ、古野白」
「……ええ」
「よーし、これでいけるぞ!」
武志君が自信満々といった表情で立ち上がっている。
「古野白の炎、武志の結界、オレの拳、そこに動きを止める力が加わったんだ。次こそは吾妻に勝てるぜ」
「……」
可能性は高まったと思う。
でも、今の武上君も私も満身創痍なのよ。
この体で倒し切る自信までは……。
それに、吾妻は傷を負い距離を取っているとはいえ余裕が感じられる。
害意を見せていない壬生伊織も動くかもしれない。
まだまだ楽観できる状況じゃない。
それは武上君も理解しているはず。
理解していても。
「はは、腕が鳴るぜ」
あなたはそういう人よね。
「武上君、まだ駄目ですよ」
「いーや、大丈夫だ」
「幸奈さんの言うように、もう少し回復させなさい」
「こんだけ動けりゃ、何も問題ねえなぁ」
「いいから、休むのよ」
「……」
すっかり忘れているんでしょうね。
時間がとっても重要だってことを。
時間が私たちに味方してくれるかもしれないということを。
そう。
彼が和見家に来るはずなのよ。
もちろん、和見の屋敷にやって来たとしても、この異空間に入ることは簡単ではないと思う。
ただ、常識の通用しない彼なら。
有馬君なら……。
ドゴン!
ドガン!
数分ばかり休んだところで、結界表面に打撃音が?
「おっ、仕掛けてきたぞ」
ガン!
ドガン!
「あの人、頑丈すぎません?」
「……そうね」
「もうこんなに動けるなんて、信じられない」
私も信じられない、というか認めたくない。
恐ろしい異能を持っている上に、このタフさなんて。
でも、これが現実。
受け入れるしかない。
「なら、3回戦といこうぜ! 準備はいいか?」
「「……はい」」
「古野白も?」
本音を言うと、もっと時間が欲しいけど……。
ガン!
ドッガン!
結界から響く音が激しさを増してきた。
ドッゴン!
ドッガーーン!!
長くは保たない。
そう感じてしまう。
だから。
「分かってるわ、武上君」
「おう、そうか」
「武志君、合図と同時に結界解除おねがい」
「了解!」
「それと同時に、幸奈さんは異能を」
「頑張ります!」
「武上君は、そのあとよ」
「了解だぜ」
結界を破壊される前に動く。
あらかじめ考えておいた作戦だ。
「いくわよ。10、9……」
「「「……」」」
「3、2……」
今にもカウントがゼロになる。
作戦が始まる。
まさに、その寸前。
キィーーーン!
「!?」
奇妙な高音に、思わずカウントが止まってしまう。
「こいつぁ!?」
空間に歪み?
「何?」
私たちのいる結界と壬生弟が立っている位置の中間。
吾妻の背後の空間が揺れている。
刹那。
いびつに揺れる空間に亀裂が走って……。
そして……。
「……」
「……」
「……」
「……」
舞い降りた!
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