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第9章 推理編
覚悟
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<古野白楓季視点>
「武志君、ありがと。よく理解できたわ」
「いえ……」
「けどよ、どうして吾妻は一度消えたんだ?」
「分かりません。ただ、こうして戻ってきた以上は」
「ああ」
「……」
「やるしかねえ!」
「体は平気なんですね?」
「まったく問題ねえな」
「……」
武上君も私ももう全快に近い状態まで回復済み。
特に異常もない。
これなら、普通に戦うこともできる。
ただし、五感を奪う吾妻の異能が問題だ。
ここで有効な作戦を考えないと。
そう思っていたところに。
ピシッ!
えっ?
ビシッ!
結界表面から不快な音が?
まさかもう、結界が崩れてしまうの?
「武志、まずいんじゃねえのか?」
「……」
この不快な音と武志君の沈黙に、どうしても反応してしまう。
恐怖が蘇ってくる。
身体が強張って……。
「っ!」
大丈夫。
私なら戦える。
戦えるはず!
「古野白、準備しとけよ」
「……ええ」
何とかそう返した瞬間。
バリーーン!!
結界が崩壊してしまった。
「……」
覚悟していたのに。
だめ、足が動かない。
そんな私と違い、武上君は。
「いっくぞ!」
既に駆け出している。
「……」
時間がない。
考えている時間も、怯えてる暇も。
今はもう戦うしかない。
だから、動くのよ!
「「古野白さん?」」
「……大丈夫」
恐怖ですくむ身体を叱咤し、足を前へ。
前へ、前へ!
「発動前に叩いてやらぁ!」
ようやく動き出した私のはるか前方。
武上君は、吾妻の目前に。
「ほう。動けるか」
「動けるだけじゃねえぞ! 喰らいやがれ!」
「……」
対峙する間もなく、戦闘が始まった。
「だぁぁ!!」
「……」
まずは武上君の先制攻撃。
それを回避する吾妻。
「うりゃあ!」
「たぁ!」
「だぁぁ!!」
武上君は止まることなく猛攻を続けている。
五感喪失の異能を使わせないつもりなんだわ。
けど、攻撃の全てが躱されている。
吾妻の体に触れることができない。
「ちっ! 逃げてばかりいねえで、攻撃してきやがれ!」
「……」
守りに徹している吾妻の防御を崩すのは簡単なことじゃない。
ただ、今回は私もいる。
武上君が何と言おうと、炎を使わせてもらうわよ。
「……」
武上君に私がついているように、吾妻にも味方はいる。
けど、空間異能者の目はふたりの攻防に釘付けされたまま。
動く気配もない。
もうひとり。
壬生弟は……こちらを見て笑みを浮かべている。
どういうこと?
笑顔で私を促しているの?
「……」
何を考えているのか分からない。
ほんと、気味が悪い。
それでも、私がやることは同じ。
「だあぁ!」
「おりゃ!」
吾妻に狙いを悟られないよう、さりげなく。
「……」
静かに歩を進め。
ゆっくりと吾妻の後ろに回り込み。
狙いを定めて……。
「炎弾!」
この距離で背後からの一撃よ。
いくらあなたでも避けられないでしょ。
炎の弾を、しかと味わいなさい。
「!?」
嘘?
直撃寸前、吾妻が上半身を逸らして、紙一重のところで躱しきった。
どうして?
こっちを見てもいなかったのに?
「っ!」
それなら、これでどう
「炎弾!」
「炎弾!」
「炎弾!」
三連弾からの。
「炎舞!」
「武志君、ありがと。よく理解できたわ」
「いえ……」
「けどよ、どうして吾妻は一度消えたんだ?」
「分かりません。ただ、こうして戻ってきた以上は」
「ああ」
「……」
「やるしかねえ!」
「体は平気なんですね?」
「まったく問題ねえな」
「……」
武上君も私ももう全快に近い状態まで回復済み。
特に異常もない。
これなら、普通に戦うこともできる。
ただし、五感を奪う吾妻の異能が問題だ。
ここで有効な作戦を考えないと。
そう思っていたところに。
ピシッ!
えっ?
ビシッ!
結界表面から不快な音が?
まさかもう、結界が崩れてしまうの?
「武志、まずいんじゃねえのか?」
「……」
この不快な音と武志君の沈黙に、どうしても反応してしまう。
恐怖が蘇ってくる。
身体が強張って……。
「っ!」
大丈夫。
私なら戦える。
戦えるはず!
「古野白、準備しとけよ」
「……ええ」
何とかそう返した瞬間。
バリーーン!!
結界が崩壊してしまった。
「……」
覚悟していたのに。
だめ、足が動かない。
そんな私と違い、武上君は。
「いっくぞ!」
既に駆け出している。
「……」
時間がない。
考えている時間も、怯えてる暇も。
今はもう戦うしかない。
だから、動くのよ!
「「古野白さん?」」
「……大丈夫」
恐怖ですくむ身体を叱咤し、足を前へ。
前へ、前へ!
「発動前に叩いてやらぁ!」
ようやく動き出した私のはるか前方。
武上君は、吾妻の目前に。
「ほう。動けるか」
「動けるだけじゃねえぞ! 喰らいやがれ!」
「……」
対峙する間もなく、戦闘が始まった。
「だぁぁ!!」
「……」
まずは武上君の先制攻撃。
それを回避する吾妻。
「うりゃあ!」
「たぁ!」
「だぁぁ!!」
武上君は止まることなく猛攻を続けている。
五感喪失の異能を使わせないつもりなんだわ。
けど、攻撃の全てが躱されている。
吾妻の体に触れることができない。
「ちっ! 逃げてばかりいねえで、攻撃してきやがれ!」
「……」
守りに徹している吾妻の防御を崩すのは簡単なことじゃない。
ただ、今回は私もいる。
武上君が何と言おうと、炎を使わせてもらうわよ。
「……」
武上君に私がついているように、吾妻にも味方はいる。
けど、空間異能者の目はふたりの攻防に釘付けされたまま。
動く気配もない。
もうひとり。
壬生弟は……こちらを見て笑みを浮かべている。
どういうこと?
笑顔で私を促しているの?
「……」
何を考えているのか分からない。
ほんと、気味が悪い。
それでも、私がやることは同じ。
「だあぁ!」
「おりゃ!」
吾妻に狙いを悟られないよう、さりげなく。
「……」
静かに歩を進め。
ゆっくりと吾妻の後ろに回り込み。
狙いを定めて……。
「炎弾!」
この距離で背後からの一撃よ。
いくらあなたでも避けられないでしょ。
炎の弾を、しかと味わいなさい。
「!?」
嘘?
直撃寸前、吾妻が上半身を逸らして、紙一重のところで躱しきった。
どうして?
こっちを見てもいなかったのに?
「っ!」
それなら、これでどう
「炎弾!」
「炎弾!」
「炎弾!」
三連弾からの。
「炎舞!」
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