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第9章 推理編
不協和音 2
しおりを挟む「アルの言う通りだぜ。ここまで襲撃者の姿なんて全く見えやしねえのに、そこまで過剰に警戒すんなら、きっちり説明してもらわねえとな」
「……」
「それにだ、ユーフィリアに対してもどうかと思うぜ」
「ヴァーン、アル……」
2人のこの反応も仕方のないこと、か。
セレス様襲撃の可能性があるので警戒してほしい。
そう頼んでから数日。
詳しい事情も聞かず警戒を続けてくれた彼らの目の前では何も起こっていない。
この時間軸では、そういうことになっているのだから。
「そもそもの話、襲撃者はほんとに潜んでんのか?」
「コーキさんには悪いけど、あやしい奴なんていないと思うぞ」
いや、襲撃者は存在する。
それは間違いない。
「だからよぉ、コーキ。これからも警戒を続けんなら、詳しく話してくんねえか?」
「……」
ニレキリの毒による事件が起こったのは前の時間の流れ。
それを知っているのは俺だけ。
宴の夜の事件もこの時間軸じゃない。
そんな状態でどう説明すればいい?
時間遡行の話をしろと?
証明もできない、今は使えもしないギフトなのに?
無理だ。
信じてもらえるとは、到底思えない。
「……」
はは。
笑えてくるな。
ただでさえ困難なこの状況で、ヴァーンたちにまで不信感を抱かれるなんて。
けど、これも自業自得か……。
今までセレス様やヴァーンたちに説明できる場面は何度もあった。
簡単に信じてはもらえなかっただろうが、そういう機会は間違いなく存在した。
そこで口を閉ざしたのは俺の選択。誰の責任でもない。
もちろん、簡単に話せることじゃないし秘密にする理由もあったのだけれど……。
結局、その夜の寝所番はシア、ディアナが担当し、俺とユーフィリアは隣室で控えることになってしまった。
この決定に完全に納得したわけではないが、それでも今は受け入れるしかない。
とはいえ、ここから寝室のセレス様のもとまでは1秒で駆けつけることができる。気配を探るのも容易。さらには、僅かばかりの疑いがかかるユーフィリアも俺の傍ら。ならば、まあ、何とかなるはずだ。
「……」
「……」
隣の寝室にいるセレス様の気配から、眠りに入ったのが分かる。
シアとディアナは、予定通り交互に休みを取るようだ。
俺の隣にいるユーフィリアは……。
「眠っていいぞ。俺が起きているから」
「あなたは休まないの?」
「夜が明けたら、少し休ませてもらう」
「それだと体が保たない。やはり順番に休むべき」
「大丈夫、ユーフィリアは気にしなくていい」
惨事を切り抜けたあの時刻からまだ半日。因果の収束が気掛かりで休む気にもなれない。起きて警戒を続けた方が気が休まるくらいだ。
「警戒してるの?」
「……」
「私を?」
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