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第8章 南部動乱編
好試合 2
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カン、カン!
この剣交。
どういうわけか、そこに一種の華やかさを感じてしまう。
激しい当たりばかりだというのに……。
カン、カン、カン!!
そんな2人の攻防は留まる所を知らず。
流麗な剣閃と華麗な足捌き。
打ち合って打ち払う。
前に後ろに、左に右に。
攻守が目まぐるしく入れ替わっていく。
人も剣も留まることを知らないように走り続けている。
「「「「「おおぉぉ」」」」」
観客席から漏れるのは、もはや歓声じゃない。
感心したような溜息だ。
広場に集まった観客が皆、ふたりの動きに魅せられていく。
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
そんな攻防が続くこと数分。
数度目の距離をとったふたり。
さすがに疲れたのか、両者ともに息が荒い。
肩が大きく揺れている。
「頑張れ、ディアナ!」
「もう一押しだぞ!」
「エレナ、負けんじゃねえ!」
「冒険者の意地を見せてやれ!」
最初は楽しんで観戦していたワディン騎士と冒険者たち。
今はかなりの熱量に達しているようだ。
「ディアナは若手の中でも屈指の腕前だからな。やれて当然だ」
「けど、あの女性冒険者も只者じゃないぞ」
「いや、冒険者なんかに負けてられねえ」
「ああ、誉れあるワディン騎士に敗戦はない」
「これまで山ほど修羅場を潜り抜けてきてんだ。エレナが絶対に勝つ!」
「間違いねえ」
「けど、かなり疲れてるぜ」
「大丈夫、こっからが勝負だろ」
「おう、騎士なんかにゃあ負けねえよ」
お互い対抗心を出し過ぎじゃないのかと少し心配になるが、この世界の騎士と冒険者の関係を考えると、これでも穏やかな方らしい。
「いいぞ!」
「すごい戦いだぁ」
「ふたりとも頑張れ!」
「もっと見せてくれ!」
「でも、怪我はしないでね」
エンノアは純粋に楽しんでいるようだ。
俺の傍にいる皆は……。
「ディアナは結構な家の出だよな?」
「ええ、ディアナさんはワディンでも有数の貴族家の出身よ」
「お嬢様なのにこの腕前とは、大したもんだ」
「どうしたの、ヴァーン? ディアナさんとはずっと一緒に戦ってきたんだから実力も知っているでしょ?」
「まあなぁ。けどよ、こうして観戦してっと気分も違ってくるってもんだろ」
「ヴァーンさん、その気持ちよーく分かるぞ」
「さすがアルだ。シアとは違うな」
「もう!」
「まっ、何にしても、決着がどうなるか楽しみだぜ」
「ほんと、ほんと。ですよね、セレス様」
「ふふ、そうね」
ワディン騎士、冒険者たちにエンノア。セレス様、シア、アル、ヴァーン、ユーフィリア。皆が良い時間を過ごしている。この時間を満喫している。
「……」
悪くないな。
どうやら開催は正解だったようだ。
ただし、こっちは楽しんでばかりはいられない。
いつ起こるかもしれない襲撃に備え警戒を。
目視での注視と同時に気配、魔力の感知をし続けるしかない。
そう考えながらも、ディアナとエレナさんの戦いにはつい目がいってしまう。
良い試合というのも、困ったもんだな。
「おっ、動くぞ」
「そろそろ決着か」
「ああ、スパッと決めてくれ」
息を整え終えたディアナが、一足飛びで間合いを詰める。
「覚悟!」
この剣交。
どういうわけか、そこに一種の華やかさを感じてしまう。
激しい当たりばかりだというのに……。
カン、カン、カン!!
そんな2人の攻防は留まる所を知らず。
流麗な剣閃と華麗な足捌き。
打ち合って打ち払う。
前に後ろに、左に右に。
攻守が目まぐるしく入れ替わっていく。
人も剣も留まることを知らないように走り続けている。
「「「「「おおぉぉ」」」」」
観客席から漏れるのは、もはや歓声じゃない。
感心したような溜息だ。
広場に集まった観客が皆、ふたりの動きに魅せられていく。
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
そんな攻防が続くこと数分。
数度目の距離をとったふたり。
さすがに疲れたのか、両者ともに息が荒い。
肩が大きく揺れている。
「頑張れ、ディアナ!」
「もう一押しだぞ!」
「エレナ、負けんじゃねえ!」
「冒険者の意地を見せてやれ!」
最初は楽しんで観戦していたワディン騎士と冒険者たち。
今はかなりの熱量に達しているようだ。
「ディアナは若手の中でも屈指の腕前だからな。やれて当然だ」
「けど、あの女性冒険者も只者じゃないぞ」
「いや、冒険者なんかに負けてられねえ」
「ああ、誉れあるワディン騎士に敗戦はない」
「これまで山ほど修羅場を潜り抜けてきてんだ。エレナが絶対に勝つ!」
「間違いねえ」
「けど、かなり疲れてるぜ」
「大丈夫、こっからが勝負だろ」
「おう、騎士なんかにゃあ負けねえよ」
お互い対抗心を出し過ぎじゃないのかと少し心配になるが、この世界の騎士と冒険者の関係を考えると、これでも穏やかな方らしい。
「いいぞ!」
「すごい戦いだぁ」
「ふたりとも頑張れ!」
「もっと見せてくれ!」
「でも、怪我はしないでね」
エンノアは純粋に楽しんでいるようだ。
俺の傍にいる皆は……。
「ディアナは結構な家の出だよな?」
「ええ、ディアナさんはワディンでも有数の貴族家の出身よ」
「お嬢様なのにこの腕前とは、大したもんだ」
「どうしたの、ヴァーン? ディアナさんとはずっと一緒に戦ってきたんだから実力も知っているでしょ?」
「まあなぁ。けどよ、こうして観戦してっと気分も違ってくるってもんだろ」
「ヴァーンさん、その気持ちよーく分かるぞ」
「さすがアルだ。シアとは違うな」
「もう!」
「まっ、何にしても、決着がどうなるか楽しみだぜ」
「ほんと、ほんと。ですよね、セレス様」
「ふふ、そうね」
ワディン騎士、冒険者たちにエンノア。セレス様、シア、アル、ヴァーン、ユーフィリア。皆が良い時間を過ごしている。この時間を満喫している。
「……」
悪くないな。
どうやら開催は正解だったようだ。
ただし、こっちは楽しんでばかりはいられない。
いつ起こるかもしれない襲撃に備え警戒を。
目視での注視と同時に気配、魔力の感知をし続けるしかない。
そう考えながらも、ディアナとエレナさんの戦いにはつい目がいってしまう。
良い試合というのも、困ったもんだな。
「おっ、動くぞ」
「そろそろ決着か」
「ああ、スパッと決めてくれ」
息を整え終えたディアナが、一足飛びで間合いを詰める。
「覚悟!」
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