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第8章 南部動乱編
問題 1
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「クウーン」
「……」
「……」
ノワールの鳴き声に、場が微妙な空気に包まれてしまう。
それを破ったのが。
「エレナ、ランセル、これで安心しただろ」
メルビン。
「……そうですね」
「ええ」
「なら、この話は終わりだ。ということで、コーキさん。私たちは皆あなたに借りがあるんですよ。なので、感謝など必要ありません。そちらの方々に謝礼をいただくつもりもありませんから」
ああ、そうだった。
エンノアの謝礼の話だったな。
「と言われましても、我らとしては……」
エンノアとメルビン、お互いに譲らないまま話が平行線を辿るのも時間の無駄。
今はまだ余裕もなければ、そういう状況でもない。
やることは沢山ある。
もちろん、それは皆も理解していることなので、いったん保留して事後処理を行うことに……。
ということで、色々と後片づけをしている間。
剣姫やメルビンがなぜテポレン山にやって来たのかという話も聞くことになった。
いわく、メルビンたち冒険者はエビルズピークの騒動後の調査依頼を受け、テポレン山、エビルズピーク、ミルト山の調査を始めるところだったらしい。イリサヴィアさんは白都キュベルリアに戻る予定が一転、急用のためオルドウに向かうことになったとのこと。
お互いの事情を知ったふたりが、それならということでテポレン山から調査を始めることにし、イリサヴィアさんはテポレン山まで同行、そこからテポレン越えでオルドウに向かうことになったそうだ。
ワディン、エンノアと王軍の戦い、それに俺が関わっているということは、道中で知ったらしい。そのため急ぎテポレン山に上り様子を窺っていたところ、さっきの現場に遭遇したと。
まあ、そういうことらしい。
何とも都合の良い話とタイミングだとは思うが、それが事実だというのだからな。
俺としては、この幸運に感謝するだけだ。
あっ、そうそう。
彼らが顔を隠しているのは、レザンジュ王軍に敵対する姿を見られたくないから。冒険者が軍と争うことは禁忌ではないものの、今後の活動のためになるべくなら避けたいという思いからとのこと。
剣姫はそれに加え、レザンジュ王家との関係もあるらしい。
口をつぐむ彼女の横で、メルビンがそれとなく教えてくれた。
と、これで彼らが戦地に現れた理由も理解できた。
なら、次はこの先の問題……。
実は、今後についても話し合った。
事後処理をしながらでも、それなりに話すことはできるからな。
さて。
まずは何と言っても、王軍対策。
これが最重要であることに異論はないものの、今すぐ全てを決められることでもない。明日以降の王軍の動向を見て柔軟に対応していくしかないだろう。
といっても、しばらくはテポレン山に進軍してくることはないと思う……思いたいが。
「……」
「……」
ノワールの鳴き声に、場が微妙な空気に包まれてしまう。
それを破ったのが。
「エレナ、ランセル、これで安心しただろ」
メルビン。
「……そうですね」
「ええ」
「なら、この話は終わりだ。ということで、コーキさん。私たちは皆あなたに借りがあるんですよ。なので、感謝など必要ありません。そちらの方々に謝礼をいただくつもりもありませんから」
ああ、そうだった。
エンノアの謝礼の話だったな。
「と言われましても、我らとしては……」
エンノアとメルビン、お互いに譲らないまま話が平行線を辿るのも時間の無駄。
今はまだ余裕もなければ、そういう状況でもない。
やることは沢山ある。
もちろん、それは皆も理解していることなので、いったん保留して事後処理を行うことに……。
ということで、色々と後片づけをしている間。
剣姫やメルビンがなぜテポレン山にやって来たのかという話も聞くことになった。
いわく、メルビンたち冒険者はエビルズピークの騒動後の調査依頼を受け、テポレン山、エビルズピーク、ミルト山の調査を始めるところだったらしい。イリサヴィアさんは白都キュベルリアに戻る予定が一転、急用のためオルドウに向かうことになったとのこと。
お互いの事情を知ったふたりが、それならということでテポレン山から調査を始めることにし、イリサヴィアさんはテポレン山まで同行、そこからテポレン越えでオルドウに向かうことになったそうだ。
ワディン、エンノアと王軍の戦い、それに俺が関わっているということは、道中で知ったらしい。そのため急ぎテポレン山に上り様子を窺っていたところ、さっきの現場に遭遇したと。
まあ、そういうことらしい。
何とも都合の良い話とタイミングだとは思うが、それが事実だというのだからな。
俺としては、この幸運に感謝するだけだ。
あっ、そうそう。
彼らが顔を隠しているのは、レザンジュ王軍に敵対する姿を見られたくないから。冒険者が軍と争うことは禁忌ではないものの、今後の活動のためになるべくなら避けたいという思いからとのこと。
剣姫はそれに加え、レザンジュ王家との関係もあるらしい。
口をつぐむ彼女の横で、メルビンがそれとなく教えてくれた。
と、これで彼らが戦地に現れた理由も理解できた。
なら、次はこの先の問題……。
実は、今後についても話し合った。
事後処理をしながらでも、それなりに話すことはできるからな。
さて。
まずは何と言っても、王軍対策。
これが最重要であることに異論はないものの、今すぐ全てを決められることでもない。明日以降の王軍の動向を見て柔軟に対応していくしかないだろう。
といっても、しばらくはテポレン山に進軍してくることはないと思う……思いたいが。
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