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第8章 南部動乱編
テポレン山 2
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<アル視点>
フォルディさんの後ろを歩く騎士たち全員の眼が輝いている。
足取りも軽い。
なのに、セレス様だけは変わることなく暗い表情。
ずっと何かを考え込んでいる。
何かって、それはもちろん、あれだろうけど……。
分かっていても、おれにはかける言葉が見つからない。
姉さんやコーキさんが話しかけても上の空なんだ。
おれが何を言っても、今のセレス様に届くとは思えないから。
「……」
あの事件の直後。
セレス様はもちろん、おれたち全員が悲しみに深く沈みこんでいた。
ただただ黙って歩くばかり。
けれど、状況がそんな歩みを許してくれなかった。
俺たちを追走するレザンジュ王軍。
時に王軍をかわし、時に戦いに臨む。
そんな厳しい時間の中で、いつまでも悲しんでいるわけにはいかなかったから。
ただ、その後の戦いでは連戦連勝。
大軍相手に、信じがたいほどの戦果を挙げ続け。
気づけば、皆の顔から悲壮感は消えていた。
ただ、セレス様は……。
だから、おれたちは自然に振る舞うことに決めたんだ。
そうすれば、セレス様もいつかは元気を取り戻してくれるはず。
時間がセレス様を癒してくれる。
そう信じて。
ん?
セレス様が立ち止まって何かを見ている。
「……あの花?」
「あちらの薄紅の花弁ですか?」
「はい、何という花なのでしょう?」
セレス様が尋ねたのは、一本の大木の枝の先に薄く色づいた花。
「ベニワスレという広葉樹です。まだほとんど咲いてませんが、もうすぐ見頃になるはずですよ」
「ベニワスレ……」
僅かではあるけど、セレス様の表情に色が戻っている。
薄紅の花弁がセレス様を慰めて?
「この辺りもあと数日で満開になるでしょうから、その時にまたゆっくり楽しんでください」
「……はい」
********************
「「「「「おおぉぉ!!」」」」」
「「「「「何だ、ここは!?」」」」」
「「「「「凄い……」」」」」
ワディンの騎士たちが驚きの声を上げ固まっている。
放心状態と言っても過言じゃないな。
「地下にこんな空間が……」
「嘘だろ」
「テポレンの地下に住んでんのかよ」
「しかし、なんて眺めだ」
「綺麗……」
シアもアルもヴァーンも目を見開いている。
幸奈もだ。
まっ、当然か。
テポレン山中に地下都市があるなんて、皆の想像を超えているだろうからな。
「信じられない」
「ああ」
そんな彼らの反応は、概ね予想通り。
ただ、ここまで連れてきたことは。
「フォルディさん、本当に良かったんですか?」
「ええ、長老の許可を得ましたので」
「ですが……」
今はほぼ使われていないとはいえ、エンノアの居住地は地上にもある。
なのに、そこではなく地下都市に案内してくれた。
しかも地下への入り口程度ではなく、地中深くまで。
「コーキさんの仲間の方々ですし。それに、今の状況を聞いて放置はできませんよ」
しかし、この人数だぞ。
「大丈夫ですって」
「……」
「ボクたちには、コーキさんに対して返せないほどの借りがありますからね」
そうは言っても、レザンジュ王軍が押し寄せてくる可能性だってあるんだ。
場合によっては、エンノアに大きな損害を与えてしまうかもしれない。
フォルディさんの後ろを歩く騎士たち全員の眼が輝いている。
足取りも軽い。
なのに、セレス様だけは変わることなく暗い表情。
ずっと何かを考え込んでいる。
何かって、それはもちろん、あれだろうけど……。
分かっていても、おれにはかける言葉が見つからない。
姉さんやコーキさんが話しかけても上の空なんだ。
おれが何を言っても、今のセレス様に届くとは思えないから。
「……」
あの事件の直後。
セレス様はもちろん、おれたち全員が悲しみに深く沈みこんでいた。
ただただ黙って歩くばかり。
けれど、状況がそんな歩みを許してくれなかった。
俺たちを追走するレザンジュ王軍。
時に王軍をかわし、時に戦いに臨む。
そんな厳しい時間の中で、いつまでも悲しんでいるわけにはいかなかったから。
ただ、その後の戦いでは連戦連勝。
大軍相手に、信じがたいほどの戦果を挙げ続け。
気づけば、皆の顔から悲壮感は消えていた。
ただ、セレス様は……。
だから、おれたちは自然に振る舞うことに決めたんだ。
そうすれば、セレス様もいつかは元気を取り戻してくれるはず。
時間がセレス様を癒してくれる。
そう信じて。
ん?
セレス様が立ち止まって何かを見ている。
「……あの花?」
「あちらの薄紅の花弁ですか?」
「はい、何という花なのでしょう?」
セレス様が尋ねたのは、一本の大木の枝の先に薄く色づいた花。
「ベニワスレという広葉樹です。まだほとんど咲いてませんが、もうすぐ見頃になるはずですよ」
「ベニワスレ……」
僅かではあるけど、セレス様の表情に色が戻っている。
薄紅の花弁がセレス様を慰めて?
「この辺りもあと数日で満開になるでしょうから、その時にまたゆっくり楽しんでください」
「……はい」
********************
「「「「「おおぉぉ!!」」」」」
「「「「「何だ、ここは!?」」」」」
「「「「「凄い……」」」」」
ワディンの騎士たちが驚きの声を上げ固まっている。
放心状態と言っても過言じゃないな。
「地下にこんな空間が……」
「嘘だろ」
「テポレンの地下に住んでんのかよ」
「しかし、なんて眺めだ」
「綺麗……」
シアもアルもヴァーンも目を見開いている。
幸奈もだ。
まっ、当然か。
テポレン山中に地下都市があるなんて、皆の想像を超えているだろうからな。
「信じられない」
「ああ」
そんな彼らの反応は、概ね予想通り。
ただ、ここまで連れてきたことは。
「フォルディさん、本当に良かったんですか?」
「ええ、長老の許可を得ましたので」
「ですが……」
今はほぼ使われていないとはいえ、エンノアの居住地は地上にもある。
なのに、そこではなく地下都市に案内してくれた。
しかも地下への入り口程度ではなく、地中深くまで。
「コーキさんの仲間の方々ですし。それに、今の状況を聞いて放置はできませんよ」
しかし、この人数だぞ。
「大丈夫ですって」
「……」
「ボクたちには、コーキさんに対して返せないほどの借りがありますからね」
そうは言っても、レザンジュ王軍が押し寄せてくる可能性だってあるんだ。
場合によっては、エンノアに大きな損害を与えてしまうかもしれない。
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