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第8章 南部動乱編
野営
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<アル視点>
セレス様の顔に生気はなく、瞳には光も見えない。
ずっとこんな様子だ。
「……」
まあさ。
理解はできるよ。
おれだって、騎士のみんなだって、あの衝撃はまだ消えていないんだ。
実の父親を亡くしたセレス様の想いは、おれの想像を超えていると思うし。
気持ちの整理がつかないのも当然だと思う。
けど、いつまでもこれでいいわけないからさ。
だから。
セレス様に近づいて、気楽に気軽に。
「セレス様……」
「……」
「セレス様は、テポレン越えを経験してますよね」
「……」
「あの時は、どうでした?」
「……コーキさんが助けてくれましたから」
おっ、答えてくれたぞ。
「コーキさんのおかげで、無事に山を下りることができたんです」
「なら、今回も安心ですね」
「……はい」
まだ、上の空って感じだけど。
こうして話をしてくれるだけで、今は十分かな。
姉さんもみんなも、そんな顔をしてるよ。
なんて思いながら歩いているうちに。
「セレスティーヌ様、そろそろ野営の準備をしたいと思います」
野営地に到着したようだ。
「……はい」
「では、あの開けた辺りで」
ルボルグ隊長の指揮のもと、騎士のみんなが野営の準備を開始。
もちろん、ヴァーンさんやコーキさんも一緒に設営している。
んん?
コーキさん、どうした?
その微妙な感じは?
周囲を見渡して何か考えている?
「コーキ、気になることでもあんのか?」
「いや……」
「煮え切らねえ返事だなぁ」
「……」
やっぱり、おかしい。
この辺りに何か問題が?
でも、問題ある場所での野営ならコーキさんが止めるはずだし。
いったい……?
っと!
「あれは!?」
前方に見える大岩の後ろから、突然人影が?
それも、ワディン騎士じゃない。
正体不明の男が3人!
こんな所にどうして?
まさか、王軍の追手?
「コーキ!」
コーキさん、3人を凝視している。
気配を感じてたってことか。
「誰だ、あいつら?」
「……ヴァーン、アル、大丈夫だ」
「けど、あやしい3人が」
「心配はいらない」
そう言ってコーキさんが3人に近づいていく。
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
その様子を皆が固唾をのんで見守っている。
「コーキさん、お久しぶりです」
えっ?
知り合い?
「ご無沙汰しております、フォルディさん」
フォルディさん?
あっ!
そうだ、フォルディさんだ!
いつもと様子が違うから気付かなかった。
でも、フォルディさんがどうしてテポレン山なんかに?
「お元気そうで何よりですよ。で、これは、どうされたんです?」
「実は……」
セレス様の顔に生気はなく、瞳には光も見えない。
ずっとこんな様子だ。
「……」
まあさ。
理解はできるよ。
おれだって、騎士のみんなだって、あの衝撃はまだ消えていないんだ。
実の父親を亡くしたセレス様の想いは、おれの想像を超えていると思うし。
気持ちの整理がつかないのも当然だと思う。
けど、いつまでもこれでいいわけないからさ。
だから。
セレス様に近づいて、気楽に気軽に。
「セレス様……」
「……」
「セレス様は、テポレン越えを経験してますよね」
「……」
「あの時は、どうでした?」
「……コーキさんが助けてくれましたから」
おっ、答えてくれたぞ。
「コーキさんのおかげで、無事に山を下りることができたんです」
「なら、今回も安心ですね」
「……はい」
まだ、上の空って感じだけど。
こうして話をしてくれるだけで、今は十分かな。
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なんて思いながら歩いているうちに。
「セレスティーヌ様、そろそろ野営の準備をしたいと思います」
野営地に到着したようだ。
「……はい」
「では、あの開けた辺りで」
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もちろん、ヴァーンさんやコーキさんも一緒に設営している。
んん?
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「いや……」
「煮え切らねえ返事だなぁ」
「……」
やっぱり、おかしい。
この辺りに何か問題が?
でも、問題ある場所での野営ならコーキさんが止めるはずだし。
いったい……?
っと!
「あれは!?」
前方に見える大岩の後ろから、突然人影が?
それも、ワディン騎士じゃない。
正体不明の男が3人!
こんな所にどうして?
まさか、王軍の追手?
「コーキ!」
コーキさん、3人を凝視している。
気配を感じてたってことか。
「誰だ、あいつら?」
「……ヴァーン、アル、大丈夫だ」
「けど、あやしい3人が」
「心配はいらない」
そう言ってコーキさんが3人に近づいていく。
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
その様子を皆が固唾をのんで見守っている。
「コーキさん、お久しぶりです」
えっ?
知り合い?
「ご無沙汰しております、フォルディさん」
フォルディさん?
あっ!
そうだ、フォルディさんだ!
いつもと様子が違うから気付かなかった。
でも、フォルディさんがどうしてテポレン山なんかに?
「お元気そうで何よりですよ。で、これは、どうされたんです?」
「実は……」
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