30年待たされた異世界転移

明之 想

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第7章 南部編

討伐完了

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 神を倒してしまった?

「……」

 いいのか?
 こんな状況だし、倒してもいいんだよな?

 クエストには成果が明示されている。
 神様も認めてくれている。
 だったら、問題はない。
 問題ないはず。

 そう思いたい。

「……」

 ところで。
 兇神がエビルズマリスということなら。

 あいつを屠ったことになる。
 倒したってことに。

「……」

 よし!
 あいつを倒した!
 倒したぞ!



「アリマ?」

「……」

「身体が痛むのか?」

「いえ、大丈夫です。それより、やりましたよ」

「そうか。ん、何をやったのだ?」

「あいつを倒したんです」

「……もちろん、その可能性はある。が、確信など持てないだろ?」

「まあ、そうなんですけど」

「うむ?」

「私にはそういう能力がありまして……。分かるんですよ」

「……」

「討伐成功です」

「……本当か?」

「はい」

「信じて良いのだな?」

 疑う気持ちはよく分かる。
 でも、事実なんだ。

「討伐は終わりました」

「……」

「間違いありません」

「……そうか」

 ひとつゆっくりと安堵の息を漏らす剣姫。
 電池が切れたように、その場に座り込んでしまった。

「ええ」

 俺も剣姫の隣に腰を下ろし。

「終わったんです」

 そして、背中から赤い土の上へ。

「終わったか……」

 ああ。
 ようやくだ。
 長い戦いが、今終わった。

「……」

 これまでの疲労を身体が思い出したように、急に力が抜けていく。
 思わず大の字になってしまう。

「ふふ……」

 本当に疲れたよ。
 でも、やっと終わったんだ。

「君のおかげだな」

「イリサヴィア様のおかげです」

「そんなことはない」

 いや、紛れもない事実だと断言できる。

「私ひとりでは無理だっただろう。倒すことはもちろんだが、ここで命を繋ぐことすら叶わなかったはず」

「……」

「君は、私の命の恩人」

「いえ、私だけではあいつを倒すことなんて不可能でしたから。イリサヴィア様こそ私の命の恩人ですよ」

「互いに命の恩人、か」

「……そうですね」

「ふふ、ふふふ。それも悪くない」

「……ですね」

 穏やかな笑顔を浮かべた剣姫が、俺の傍らで仰向けに。
 ともに鉄錆の大地を背に、赤銅色の空を見上げている。

 ここ数日間の緊張感ある仰臥とは意味が違う。
 心から安堵した、安らかな休息だ。

「……ところで、アリマ」

 うん?

「いい加減、それはやめてくれないかな」

「何をでしょう?」

「その慇懃な態度だよ」

 慇懃?
 口調のことか?

「……」

 剣姫は爵位持ちの冒険者。
 振る舞いに注意するのは当然だろ。
 そもそも、彼女に対しては最初からこの口調だしな。

「イリサヴィア様は1級の冒険者、冒険士ですし、準男爵の爵位も待たれているのです。ですので……」

「いや、私も君と同じ冒険者にすぎん。それに、こうして共闘したのだ。さすがに、それは他人行儀というものであろう」

「……」

 と言われてもなぁ。
 今さら……。

「やめてもらえるか?」

 そう言って、傍らから強い視線を向けてくる剣姫。



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