30年待たされた異世界転移

明之 想

文字の大きさ
555 / 1,578
第7章 南部編

四半刻 7

しおりを挟む
 再登場に加え、その口には溢れる光。

「気をつけろ、ブレスを吐くぞ!」

「了解!」

 時間がないというのに、厄介な。

 けど、今回はさっきと違う。
 分かっていれば、問題はない。
 問題は時間だけだ。

 ゴオォッ!

 直後、吐き出されたブレス。
 小さな光の塊は速くもない。
 当然、俺も剣姫も回避に成功。

 ということで、どうする?
 あいつを片付けるか?

 分身の相手をする時間は惜しいが、かといって剣を持たない剣姫に任せるのも……。
 仕方ない。

「雷撃!」

 避けた?

「雷撃!」

 また避けた。
 分身とはいえ、これだけ距離があれば簡単に当てることはできないようだ。

「私が行こう」

「いえ、まだ手はありますので」

 雷撃が避けられるなら、回避困難な魔法を放てばいい。

「雷波!」

 大きな塊となって敵に襲い掛かる紫電。
 逃げようとする分身を一気に飲み込んだ。

「グゥゥゥ……」

 威力は劣るものの、動きを止めるには十分。
 で、この状態なら。

「雷撃!」

 命中だ。
 もう一発。

「雷撃!」

「ゥゥ……」

 これで、しばらくは動けないだろ。


「見事なものだ」

「いえ、魔法が上手くはまっただけですよ」

「それを見事と言わず何と言う」

「……」

 いや、まあ……。
 って、そんなことより。

「今は本体を仕留めましょう」

「……そうだな」

 エビルズマリスの動きは止まったまま。
 とはいえ、そろそろ動き出しそうか?

「うむ、念のため奴の動きを止めた方がいい」

「ええ」

 首に刺突を放つ前に、雷撃を撃っておこう。
 エビルズマリスに正対し、近距離から。

「オォォ」

 なっ!
 口を開いた!

 まずい!

「雷撃!!」

「グゥオオロオォォォォォ!!!」

 雷撃と咆哮。
 ほぼ同時の発動。

 すると。
 脳を直接揺らすようなあの感覚が再び!

「ぐっ!」

「うっ!」

 あきらかに、さっきより強烈だ。
 至近距離だからか?

 激しい目眩に吐き気、頭痛まで……。

「うぅ」

 きつい!

 けど、あいつはどうなった?
 雷撃は?

「……」

 動きを止めているエビルズマリス。
 完全に痺れている状態だ。

 なら、チャンスはある!
 まだ倒せる!

 ただ……。

 この身体では剣が振るえない。
 残された時間はわずかなのに……。

 剣姫は?
 彼女は動けるのか?

「うぅ……」

 駄目だ。
 剣姫もすぐに動ける状態じゃない。

 剣姫も俺も回復を待つしか?

 くっ!
 俺でも剣姫でもいい。
 早く回復してくれ!

「……」

 回復するか、半刻が経過するか。
 どっちが早いか、時間の勝負。

 が、その前に。
 さっきと同様、またブレスが来るかもしれない。
 分身の小さなブレスじゃなく、本体による光の奔流のようなブレス。

 この状況で、ブレスを受けるわけには!

「そばに来て、ください」

「……うむ」

 身体を揺らしながら剣姫が俺の傍ら、石壁の防御範囲内にやって来た。
 これならブレスから護ることも可能だろう。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

転生チートは家族のために ユニークスキル『複合』で、快適な異世界生活を送りたい!

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...