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第7章 南部編
光の束
しおりを挟む「待たせたな、アリマ。もう大丈夫だ」
「イリサヴィア様……無理はしないでくださいよ」
「ふっ、そういう状況でもなかろう」
「いえ、今の相手はあいつだけですし」
手強いことは確か。
厄介なことも間違いない。
とはいえ今この時点では、慎重に、警戒して対処すれば。
あいつに敵わないということはないだろ。
まだ、こっちの動きの方が上。
空は飛べなくても、速度は上なんだからな。
「イリサヴィア様は、もう少し休んでいてください」
「……」
「色々と調べておきますので」
今回は想定外のことが多かった。
次回のためにも、手を打つ必要がある。
「もちろん、私の手に余る場合は……お願いします」
「……承知した」
「っと、来ましたね」
滞空をやめ、降下を始めるエビルズマリス。
5メートル上空で止まった?
「グゥロォォ!!」
ここで咆哮?
「ロオォォォォ!!」
咆哮を上げた口は開いたまま。
閉じていない。
その口の中に光るもの!?
ブレス?
まさか、ブレス?
そんなスキル表示されてなかったぞ!
「オオォォォ!!」
光が爆ぜている。
凝縮されていく。
やはり、ブレスだ!
「アリマ!?」
「ええ、撃ってきます! 退避してください」
「君は?」
「ギリギリまで引きつけます」
「……」
「イリサヴィア様、早く!」
「……無事でいてくれよ」
「ええ、任せてください」
上空に漂うエビルズピークの悪意。
凝縮された光が、大きく開かれた口から溢れ出ている。
その光が一度だけ僅かに明滅。
飛び出した!
炎のブレスじゃない。
光の束だ!
周りの赤を消し去るような煌々たる光線束。
直径1メートル近い光の塊が向かって来る!
明らかに恐ろしい威力。
ただ、速度はそれほどじゃない。
これなら、この近距離でも……。
「っ!」
右に跳躍。
光はすぐそこ。
回避成功だ。
ドゴン!!
光の塊はそのまま鉄錆の土を直撃。
濛々と立ちこめる砂埃の中、大きく削り取られた大地が目に入ってくる。
「……」
「……」
凄まじいな。
こいつを喰らったら……。
ただじゃ済まない。
「アリマ、あいつはブレスも使えたのか?」
「分かりません。最初から使えたのか、使えるようになったのか……」
が、おそらくは。
ブレスを使えるように進化したんだろうな。
「……」
エビルズマリスの身のこなし、分身の増加、それにブレス。
この短期間で驚くべき進化を遂げている。
このまま進化が続いたら、恐ろしいことになってしまう。
今ですら倒すことができないのに……。
「イリサヴィア様……無理はしないでくださいよ」
「ふっ、そういう状況でもなかろう」
「いえ、今の相手はあいつだけですし」
手強いことは確か。
厄介なことも間違いない。
とはいえ今この時点では、慎重に、警戒して対処すれば。
あいつに敵わないということはないだろ。
まだ、こっちの動きの方が上。
空は飛べなくても、速度は上なんだからな。
「イリサヴィア様は、もう少し休んでいてください」
「……」
「色々と調べておきますので」
今回は想定外のことが多かった。
次回のためにも、手を打つ必要がある。
「もちろん、私の手に余る場合は……お願いします」
「……承知した」
「っと、来ましたね」
滞空をやめ、降下を始めるエビルズマリス。
5メートル上空で止まった?
「グゥロォォ!!」
ここで咆哮?
「ロオォォォォ!!」
咆哮を上げた口は開いたまま。
閉じていない。
その口の中に光るもの!?
ブレス?
まさか、ブレス?
そんなスキル表示されてなかったぞ!
「オオォォォ!!」
光が爆ぜている。
凝縮されていく。
やはり、ブレスだ!
「アリマ!?」
「ええ、撃ってきます! 退避してください」
「君は?」
「ギリギリまで引きつけます」
「……」
「イリサヴィア様、早く!」
「……無事でいてくれよ」
「ええ、任せてください」
上空に漂うエビルズピークの悪意。
凝縮された光が、大きく開かれた口から溢れ出ている。
その光が一度だけ僅かに明滅。
飛び出した!
炎のブレスじゃない。
光の束だ!
周りの赤を消し去るような煌々たる光線束。
直径1メートル近い光の塊が向かって来る!
明らかに恐ろしい威力。
ただ、速度はそれほどじゃない。
これなら、この近距離でも……。
「っ!」
右に跳躍。
光はすぐそこ。
回避成功だ。
ドゴン!!
光の塊はそのまま鉄錆の土を直撃。
濛々と立ちこめる砂埃の中、大きく削り取られた大地が目に入ってくる。
「……」
「……」
凄まじいな。
こいつを喰らったら……。
ただじゃ済まない。
「アリマ、あいつはブレスも使えたのか?」
「分かりません。最初から使えたのか、使えるようになったのか……」
が、おそらくは。
ブレスを使えるように進化したんだろうな。
「……」
エビルズマリスの身のこなし、分身の増加、それにブレス。
この短期間で驚くべき進化を遂げている。
このまま進化が続いたら、恐ろしいことになってしまう。
今ですら倒すことができないのに……。
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