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第6章 移ろう魂編
魔剣士 9
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<ヴァーンベック視点>
「ちっ!」
左腕は動かねえし、魔力も残り少なくなってきた。
それでも、まだ戦える。
シア。
俺が動けているうちに、早く逃げてくれよ。
もう少し耐えてやるから。
少しでも長く時間を稼いでやるから。
そう思いながら剣姫に対峙していると。
隊長?
隊長が動いて?
もう動けるのか?
俺と向き合ったままの剣姫の後ろに回り込み、そこから。
「やぁ!!」
剣を振り下ろした。
「無意味なことを」
剣姫は振り返りもしない。
背後からの剣撃に対しても最小の動きで躱し。
回転して、一撃。
「うぅ……」
隊長も倒されちまった。
これで、完全に俺ひとり。
剣姫と一対一。
はは、笑えてくるぜ。
笑えて覚悟も決まるってもの。
さあ、最後にひと勝負。
右腕だけでやってやる。
残された魔力を集めて……。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
これまでで最速の発動、最高の威力。
全力の2連撃だ。
シュン!
ファイヤーボールが斬られるのは想定済み。
それでも、この威力だ。
少しでも手間取ってくれ。
シュ、シュン!
よし、悪くない。
なら、ここから。
「だぁ!」
キン!
ギン!
剣が弾かれるのも分かっているさ。
けど、さっきの対応から僅かにずれが出てるぞ。
だから、これだぁ!
「ファイヤーボール!」
この至近距離。
剣姫の細剣は俺の剣を弾いた直後。
動きも若干遅れている。
胸ががら空きだ!
当たる!
当たった!!
ジュウウ。
と思ったのに……。
炎が消えた?
どうして?
何が起こったんだ?
なんて考えてる暇はねえ。
剣姫の剣が俺の目の前に!
まずい。
速度についていけない。
間に合わない。
腹に当たる!
耐えろぉ!
「くぅあっ!!」
とんでもねえ衝撃。
目が眩み、息が苦しい。
立ってられねえ。
「うぅ」
目眩とともに膝をついちまった。
「ぐっ!」
それでもだ。
まだ意識はある。
倒れてねえ。
ここに残ってるぞ。
なら、やれる!
「ほう、そんなこともできるのか」
何がだ?
「魔力ですか?」
「ああ、剣が当たる直前に纏ったな」
「たいしたものですねぇ」
魔力を纏った?
そんなことを俺が?
魔力の運用いついては、以前コーキに教えてもらったことはある。
けど、纏うなんて全くできなかった。
それが、ここで……。
「詠唱破棄で魔法を使い、未熟ながらも魔力を纏うこともできる。素晴らしい冒険者だ」
「ええ、かなり成長したようです」
「ん? 貴君、この者を知っているのか?」
「まあ、一応」
こいつ!
俺を知ってるだと?
「ちっ!」
左腕は動かねえし、魔力も残り少なくなってきた。
それでも、まだ戦える。
シア。
俺が動けているうちに、早く逃げてくれよ。
もう少し耐えてやるから。
少しでも長く時間を稼いでやるから。
そう思いながら剣姫に対峙していると。
隊長?
隊長が動いて?
もう動けるのか?
俺と向き合ったままの剣姫の後ろに回り込み、そこから。
「やぁ!!」
剣を振り下ろした。
「無意味なことを」
剣姫は振り返りもしない。
背後からの剣撃に対しても最小の動きで躱し。
回転して、一撃。
「うぅ……」
隊長も倒されちまった。
これで、完全に俺ひとり。
剣姫と一対一。
はは、笑えてくるぜ。
笑えて覚悟も決まるってもの。
さあ、最後にひと勝負。
右腕だけでやってやる。
残された魔力を集めて……。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
これまでで最速の発動、最高の威力。
全力の2連撃だ。
シュン!
ファイヤーボールが斬られるのは想定済み。
それでも、この威力だ。
少しでも手間取ってくれ。
シュ、シュン!
よし、悪くない。
なら、ここから。
「だぁ!」
キン!
ギン!
剣が弾かれるのも分かっているさ。
けど、さっきの対応から僅かにずれが出てるぞ。
だから、これだぁ!
「ファイヤーボール!」
この至近距離。
剣姫の細剣は俺の剣を弾いた直後。
動きも若干遅れている。
胸ががら空きだ!
当たる!
当たった!!
ジュウウ。
と思ったのに……。
炎が消えた?
どうして?
何が起こったんだ?
なんて考えてる暇はねえ。
剣姫の剣が俺の目の前に!
まずい。
速度についていけない。
間に合わない。
腹に当たる!
耐えろぉ!
「くぅあっ!!」
とんでもねえ衝撃。
目が眩み、息が苦しい。
立ってられねえ。
「うぅ」
目眩とともに膝をついちまった。
「ぐっ!」
それでもだ。
まだ意識はある。
倒れてねえ。
ここに残ってるぞ。
なら、やれる!
「ほう、そんなこともできるのか」
何がだ?
「魔力ですか?」
「ああ、剣が当たる直前に纏ったな」
「たいしたものですねぇ」
魔力を纏った?
そんなことを俺が?
魔力の運用いついては、以前コーキに教えてもらったことはある。
けど、纏うなんて全くできなかった。
それが、ここで……。
「詠唱破棄で魔法を使い、未熟ながらも魔力を纏うこともできる。素晴らしい冒険者だ」
「ええ、かなり成長したようです」
「ん? 貴君、この者を知っているのか?」
「まあ、一応」
こいつ!
俺を知ってるだと?
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