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第6章 移ろう魂編
魔剣士 6
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<ヴァーンベック視点>
こいつ!
剣で魔法を斬りやがった!
「嘘だろ?」
「ファイヤーボールを!」
「炎を剣で?」
アイスアローはまだ分かる。
氷の矢だから、こいつなら斬ってもおかしくねえ。
けど、ファイヤーボールは炎なんだぜ。
炎なんて、どうやって斬るんだ?
わけが分からないぞ!
っと!
感心してる場合じゃねえ。
魔法を断ち切った女剣士が、そのまま剣を振るってきやがった!
キン!
ギン、キン!
キン、キン!
隊長たち5人が前に出て剣を交わす。
女剣士は流れるような体捌きで、攻防を続けている。
「「くっ!」」
「「ぐっ!」」
「うっ!」
攻防と言っても、こっちは受けるだけで精いっぱい。
あいつは、涼しい顔で立ち回っている。
この5人の剣はワディン騎士たちの中でも上位。
かなりの腕だというのに!
余裕じゃねえか。
「……」
あいつが持つ剣は、騎士たちが持つ剣よりかなり細い。
そんな細剣で騎士の持つ大剣と切り結んで、これだけのことを、こんなに簡単に!
恐ろしい。
とんでもない腕前だ。
その上、体の動きは……。
5人相手にしても、一切の乱れがない。
無駄な動きが全くない。
まるで剣舞を見ているような、優雅な剣閃……。
「ヴァーン!」
ああ、悪い。
次の魔法だな。
「ユーフィリア、撃てるか」
「撃てる」
キン、キン、ギン!
さっきと違い、今のあいつは剣を交えている最中。
これなら隙をつける。
今度こそ、当ててやるぜ。
「いくぞ! ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
こっちに背を向けた隙を狙っての発射。
ファイヤーボールの同時攻撃。
どうだ!
キン、キン、キン!
5人相手の剣戟の最中。
背中から襲い掛かるファイヤーボール2撃に対し、振り向きもせず。
ただ後ろに剣を一閃。
シュン!
シュン!
「!?」
「!?」
嘘だろ!
背後からのファイヤーボールをたった一振りで。
一閃で、いとも容易く消し去りやがった。
「……」
あり得ない。
ほんと、信じられねえ。
真正のバケモノだ。
けど……。
こっちはやり続けるしか術はねえ!
「ユーフィリア、次の用意だ」
「分かってる」
次弾の準備中。
あいつが5人と数合の剣を交わした後。
放った剣撃は!
明らかに勢いの異なる剣だ!
驚くべき剣速で騎士たちの剣をすり抜け、胸を打つ!
「うっ!」
「っ!」
「あっ!」
打たれた3人が膝をつき。
そのまま……倒れ伏してしまった。
「……」
「……」
「……」
「……」
残るは前衛の隊長とディアナ、後衛のユーフィリアと俺。
誰ひとり声も出ない。
呆然と立ち尽くすのみ……。
「うむ」
女剣士が、剣を構えなおし。
隊長とディアナの前に。
あいつの剣。
薄く光を帯びている。
魔力を纏って?
ああ、そうか。
色は違うけれど、コーキの剣もそうだった。
「残るは4人だが……」
俺たちの前には、朱色に輝く細剣。
風になびく濃紺の長髪。
とんでもない腕を持つ女性剣士。
「……」
こいつ!
剣で魔法を斬りやがった!
「嘘だろ?」
「ファイヤーボールを!」
「炎を剣で?」
アイスアローはまだ分かる。
氷の矢だから、こいつなら斬ってもおかしくねえ。
けど、ファイヤーボールは炎なんだぜ。
炎なんて、どうやって斬るんだ?
わけが分からないぞ!
っと!
感心してる場合じゃねえ。
魔法を断ち切った女剣士が、そのまま剣を振るってきやがった!
キン!
ギン、キン!
キン、キン!
隊長たち5人が前に出て剣を交わす。
女剣士は流れるような体捌きで、攻防を続けている。
「「くっ!」」
「「ぐっ!」」
「うっ!」
攻防と言っても、こっちは受けるだけで精いっぱい。
あいつは、涼しい顔で立ち回っている。
この5人の剣はワディン騎士たちの中でも上位。
かなりの腕だというのに!
余裕じゃねえか。
「……」
あいつが持つ剣は、騎士たちが持つ剣よりかなり細い。
そんな細剣で騎士の持つ大剣と切り結んで、これだけのことを、こんなに簡単に!
恐ろしい。
とんでもない腕前だ。
その上、体の動きは……。
5人相手にしても、一切の乱れがない。
無駄な動きが全くない。
まるで剣舞を見ているような、優雅な剣閃……。
「ヴァーン!」
ああ、悪い。
次の魔法だな。
「ユーフィリア、撃てるか」
「撃てる」
キン、キン、ギン!
さっきと違い、今のあいつは剣を交えている最中。
これなら隙をつける。
今度こそ、当ててやるぜ。
「いくぞ! ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
こっちに背を向けた隙を狙っての発射。
ファイヤーボールの同時攻撃。
どうだ!
キン、キン、キン!
5人相手の剣戟の最中。
背中から襲い掛かるファイヤーボール2撃に対し、振り向きもせず。
ただ後ろに剣を一閃。
シュン!
シュン!
「!?」
「!?」
嘘だろ!
背後からのファイヤーボールをたった一振りで。
一閃で、いとも容易く消し去りやがった。
「……」
あり得ない。
ほんと、信じられねえ。
真正のバケモノだ。
けど……。
こっちはやり続けるしか術はねえ!
「ユーフィリア、次の用意だ」
「分かってる」
次弾の準備中。
あいつが5人と数合の剣を交わした後。
放った剣撃は!
明らかに勢いの異なる剣だ!
驚くべき剣速で騎士たちの剣をすり抜け、胸を打つ!
「うっ!」
「っ!」
「あっ!」
打たれた3人が膝をつき。
そのまま……倒れ伏してしまった。
「……」
「……」
「……」
「……」
残るは前衛の隊長とディアナ、後衛のユーフィリアと俺。
誰ひとり声も出ない。
呆然と立ち尽くすのみ……。
「うむ」
女剣士が、剣を構えなおし。
隊長とディアナの前に。
あいつの剣。
薄く光を帯びている。
魔力を纏って?
ああ、そうか。
色は違うけれど、コーキの剣もそうだった。
「残るは4人だが……」
俺たちの前には、朱色に輝く細剣。
風になびく濃紺の長髪。
とんでもない腕を持つ女性剣士。
「……」
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