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第5章 王都編
迎撃 5
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「エリルエイル、ベアサマ」
マリスダリスの刻宝の呪文?
聞き覚えのあるマリスダリスの刻宝の文言がオルセーの口から!
「メニケアイニシャ」
あいつの刻宝は俺が奪ったんだぞ。
まさか、もうひとつ持っていると?
国宝級の宝具を2つも。
「リゼンタリネムソウ」
文言を唱え終わった瞬間。
俺の身体に、あの得体のしれない感覚が襲いかかってくる。
「くっ!」
分かっていても、きつい。
簡単じゃない。
「っ!」
せっかく魔落で訓練したのに、この体調じゃ。
くそっ!
精神の集中を保てない。
思わず地面に片膝をついてしまう。
「おお! 今回は倒れないんですか?」
そう。
前回と違い、地面に伏すことはない。
とはいえ……。
「その身体、どうなっているんです?」
何とか、なるのか?
今は辛うじて膝で支えているが。
「……」
ここで攻撃されるとまずい!
早く対処を。
少しでも集中を。
まずは、気の循環だ!
「まっ、どうでもいいですね」
「……」
「その状態ですし。もう戦えないでしょ」
早く循環を!
「あなたの負けです」
「……」
「そして、私の勝ちですね」
オルセーの饒舌が今はありがたい。
「フフ、フフフ」
よし、よし!
少しずつ気が整ってきたぞ。
なら、魔力も同時に……。
「しかし、今回のこのマリスダリスの刻宝。手に入れるのにどれだけ苦労したか」
「……」
「これは我が家門、いえ、この国に残された最後の刻宝なのですから」
そんな宝具を、どうして使うことができる?
おまえ、ウィルさんと同門の一族なんだろ。
「フフ、国宝とも言える宝具を二度も味わえるとは。ある意味、あなたは幸せですねぇ」
「……」
「さてと、今回は油断しませんよ」
喋りは終わりか。
「そろそろ、お別れかな」
剣を右手に持ち、こちらに歩み寄るオルセー。
俺は片膝をついて静止したまま。
「残念です。本当に残念です」
こいつ!
嬉しそうに言ってくれる!
「ですが、これはやむを得ないこと」
「……」
「フフフ、あなたが悪いんですよ」
嗤いを隠しもしないオルセー。
右手に持った剣を俺の頭上までゆっくりと持ち上げ。
「さよならです」
まっすぐ俺に振り下ろす、なんてさせない!
「っ!」
気と魔力を循環させた体、今のこの体にできる最高の力を振りしぼって。
片膝をついたまま、右手を左上方に振り上げてやる。
逆袈裟に剣を一閃だ。
「えっ!?」
ズンという確かな手応え!
と共に俺の剣が走りきった!
「……」
こちらは動けないと、高をくくっていたオルセー。
躱すことも防ぐこともできなかったようだ。
「なっ! えっ?」
意外だったか?
今の俺は少しなら動けるんだよ。
「ゴフッ!」
だから、この程度の剣なら振るうこともできる。
「どうして……」
おまえに一撃与えることもな。
「ゥゥ……」
声にならない音を発しながら地面に膝をつくオルセー。
「そんなバカな……」
「バカな……」
そのまま倒れ伏してしまった。
「……」
「今日はベリニュモナの護宝は持っていないのか?」
「……」
「無効化はできないのか?」
「……」
返事はない。
反応もない。
つまり。
そういうことだ。
「……悪く思うなよ」
その言葉はオルセーへの手向けか。
それとも免罪符か。
「……」
僅かに硬直する自分の腕を眺める。
生々しい感覚が残る右の手を。
マリスダリスの刻宝の呪文?
聞き覚えのあるマリスダリスの刻宝の文言がオルセーの口から!
「メニケアイニシャ」
あいつの刻宝は俺が奪ったんだぞ。
まさか、もうひとつ持っていると?
国宝級の宝具を2つも。
「リゼンタリネムソウ」
文言を唱え終わった瞬間。
俺の身体に、あの得体のしれない感覚が襲いかかってくる。
「くっ!」
分かっていても、きつい。
簡単じゃない。
「っ!」
せっかく魔落で訓練したのに、この体調じゃ。
くそっ!
精神の集中を保てない。
思わず地面に片膝をついてしまう。
「おお! 今回は倒れないんですか?」
そう。
前回と違い、地面に伏すことはない。
とはいえ……。
「その身体、どうなっているんです?」
何とか、なるのか?
今は辛うじて膝で支えているが。
「……」
ここで攻撃されるとまずい!
早く対処を。
少しでも集中を。
まずは、気の循環だ!
「まっ、どうでもいいですね」
「……」
「その状態ですし。もう戦えないでしょ」
早く循環を!
「あなたの負けです」
「……」
「そして、私の勝ちですね」
オルセーの饒舌が今はありがたい。
「フフ、フフフ」
よし、よし!
少しずつ気が整ってきたぞ。
なら、魔力も同時に……。
「しかし、今回のこのマリスダリスの刻宝。手に入れるのにどれだけ苦労したか」
「……」
「これは我が家門、いえ、この国に残された最後の刻宝なのですから」
そんな宝具を、どうして使うことができる?
おまえ、ウィルさんと同門の一族なんだろ。
「フフ、国宝とも言える宝具を二度も味わえるとは。ある意味、あなたは幸せですねぇ」
「……」
「さてと、今回は油断しませんよ」
喋りは終わりか。
「そろそろ、お別れかな」
剣を右手に持ち、こちらに歩み寄るオルセー。
俺は片膝をついて静止したまま。
「残念です。本当に残念です」
こいつ!
嬉しそうに言ってくれる!
「ですが、これはやむを得ないこと」
「……」
「フフフ、あなたが悪いんですよ」
嗤いを隠しもしないオルセー。
右手に持った剣を俺の頭上までゆっくりと持ち上げ。
「さよならです」
まっすぐ俺に振り下ろす、なんてさせない!
「っ!」
気と魔力を循環させた体、今のこの体にできる最高の力を振りしぼって。
片膝をついたまま、右手を左上方に振り上げてやる。
逆袈裟に剣を一閃だ。
「えっ!?」
ズンという確かな手応え!
と共に俺の剣が走りきった!
「……」
こちらは動けないと、高をくくっていたオルセー。
躱すことも防ぐこともできなかったようだ。
「なっ! えっ?」
意外だったか?
今の俺は少しなら動けるんだよ。
「ゴフッ!」
だから、この程度の剣なら振るうこともできる。
「どうして……」
おまえに一撃与えることもな。
「ゥゥ……」
声にならない音を発しながら地面に膝をつくオルセー。
「そんなバカな……」
「バカな……」
そのまま倒れ伏してしまった。
「……」
「今日はベリニュモナの護宝は持っていないのか?」
「……」
「無効化はできないのか?」
「……」
返事はない。
反応もない。
つまり。
そういうことだ。
「……悪く思うなよ」
その言葉はオルセーへの手向けか。
それとも免罪符か。
「……」
僅かに硬直する自分の腕を眺める。
生々しい感覚が残る右の手を。
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