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第5章 王都編
襲撃 1
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ナガアランを出て2刻半(5時間)が経過。
何も起こらない。
不穏な気配など全く感じられない。
昼休憩の間もまったく問題などなく。
午後の馬車移動へとうつる。
さらに1刻が経過。
「今のところ何も起きる様子はありませんね」
「ほんと、良かったです。このまま無事にグラスブルに到着できるかもしれません」
「そう願いたいですよ」
「もう少しですしね」
「ええ」
何も起こらず王都に到着。
現実味を帯びてきたかな。
「兄さんたち、まだ分からないぜ」
ジンク、起きてたのか。
「まっ、この馬車はオレが護ってやるから、心配無用だけどよ」
「……よろしくお願いします」
初日と同じような会話をしているような。
「おう、任せとけ!」
ところで、ウィルさんは旅の間中ずっと男装をしている。
馬車旅の間は、ずっと男装のままで過ごすようだ。
それは、王都についてからも同様とのこと。
旅では女装より男装の方が安全。
その考え以上に男装に慣れてしまったから、というのが大きな理由らしい。
もちろん、口調も男風。
俺もそれに合わせて会話をしているため、ジンクは俺たち2人を男だと思い込み、兄さんと呼んでいる。
明らかにジンクの方が年長なのだが、彼なりの親しみを込めているんだろう。
俺も親しみを込めて頭の中では敬称なしでジンクと呼んでいる。
ジンクさんて感じじゃないからさ。
なんてことを考えながらも、馬車での時間は過ぎ。
結局、この日も何も起こることはなく、無事にグラスブルに到着した。
4日目。
今日も問題がなければ、夕方までには王都に到着するらしい。
この3日間、天気はずっと良いし問題もまったく起こっていない。
本当に順調に旅は進んでいる。
今朝も雲ひとつない晴天。
良い1日になりそうだな。
なんて油断していると、問題は起きるもの。
グラスブルを出て2刻程経った頃。
前方に不穏な気配。
これは……。
まだ遠すぎて詳しくは分からない。
ただ、これは魔物じゃないぞ。
もう少し近づけば感知できるはず。
集中だ。
大きく意識を割いて馬車の前方へ。
……。
……。
……!?
人だ。
人がたくさんいる。
しかも、多くの気が乱れている。
明らかに正常は状態ではない。
「……」
これは、野盗の可能性が高いな。
昨日ではなく、今日だったか。
距離は……まだ5キロほど離れている。
ここからだと、はっきりと視認できない。
「コーキさん、どうかしましたか?」
「……」
「その、真剣な顔をしているので」
そうだろうな。
「大丈夫ですか?」
「……ええ」
さて、どうしたものか。
やはり、話さないといけないだろうな。
「ウィルさん……話があります」
「はい」
「落ち着いて聞いてくださいね」
こちらの普通ではない様子に、ウィルさんの顔色も変わっている。
「……はい」
ウィルさんだけに聞こえるように声を落として。
「まだ先ですが、おそらく野盗が何者かを襲っています」
「えっ!?」
「……」
「本当ですか?」
「はい」
「そんな! だったら……」
馬車を止めた方がいい。
それで、俺ひとりで様子を見に行くか、それとも。
「兄さん、それ本当かよ?」
ジンクにも、聞こえていた?
声を抑えていたのに。
「……間違いない、かと」
「そうか」
ジンクが真剣な眼差しで、すっくと立ち上がり。
馬車の中を御者のいる前方に向かって歩いて行く。
俺の話を、こんなに簡単に信じて……。
「コーキさん?」
「ひとまず、ジンクさんに任せましょうか」
「はい」
すると、間もなく馬車が停車。
御者が盗賊の話を信じてくれたようだ。
「皆さん、騒がずに聞いてください」
ジンクと共に現れたのは、御者でもあるこの馬車の責任者。
「この先に盗賊が現れたかもしれません」
何も起こらない。
不穏な気配など全く感じられない。
昼休憩の間もまったく問題などなく。
午後の馬車移動へとうつる。
さらに1刻が経過。
「今のところ何も起きる様子はありませんね」
「ほんと、良かったです。このまま無事にグラスブルに到着できるかもしれません」
「そう願いたいですよ」
「もう少しですしね」
「ええ」
何も起こらず王都に到着。
現実味を帯びてきたかな。
「兄さんたち、まだ分からないぜ」
ジンク、起きてたのか。
「まっ、この馬車はオレが護ってやるから、心配無用だけどよ」
「……よろしくお願いします」
初日と同じような会話をしているような。
「おう、任せとけ!」
ところで、ウィルさんは旅の間中ずっと男装をしている。
馬車旅の間は、ずっと男装のままで過ごすようだ。
それは、王都についてからも同様とのこと。
旅では女装より男装の方が安全。
その考え以上に男装に慣れてしまったから、というのが大きな理由らしい。
もちろん、口調も男風。
俺もそれに合わせて会話をしているため、ジンクは俺たち2人を男だと思い込み、兄さんと呼んでいる。
明らかにジンクの方が年長なのだが、彼なりの親しみを込めているんだろう。
俺も親しみを込めて頭の中では敬称なしでジンクと呼んでいる。
ジンクさんて感じじゃないからさ。
なんてことを考えながらも、馬車での時間は過ぎ。
結局、この日も何も起こることはなく、無事にグラスブルに到着した。
4日目。
今日も問題がなければ、夕方までには王都に到着するらしい。
この3日間、天気はずっと良いし問題もまったく起こっていない。
本当に順調に旅は進んでいる。
今朝も雲ひとつない晴天。
良い1日になりそうだな。
なんて油断していると、問題は起きるもの。
グラスブルを出て2刻程経った頃。
前方に不穏な気配。
これは……。
まだ遠すぎて詳しくは分からない。
ただ、これは魔物じゃないぞ。
もう少し近づけば感知できるはず。
集中だ。
大きく意識を割いて馬車の前方へ。
……。
……。
……!?
人だ。
人がたくさんいる。
しかも、多くの気が乱れている。
明らかに正常は状態ではない。
「……」
これは、野盗の可能性が高いな。
昨日ではなく、今日だったか。
距離は……まだ5キロほど離れている。
ここからだと、はっきりと視認できない。
「コーキさん、どうかしましたか?」
「……」
「その、真剣な顔をしているので」
そうだろうな。
「大丈夫ですか?」
「……ええ」
さて、どうしたものか。
やはり、話さないといけないだろうな。
「ウィルさん……話があります」
「はい」
「落ち着いて聞いてくださいね」
こちらの普通ではない様子に、ウィルさんの顔色も変わっている。
「……はい」
ウィルさんだけに聞こえるように声を落として。
「まだ先ですが、おそらく野盗が何者かを襲っています」
「えっ!?」
「……」
「本当ですか?」
「はい」
「そんな! だったら……」
馬車を止めた方がいい。
それで、俺ひとりで様子を見に行くか、それとも。
「兄さん、それ本当かよ?」
ジンクにも、聞こえていた?
声を抑えていたのに。
「……間違いない、かと」
「そうか」
ジンクが真剣な眼差しで、すっくと立ち上がり。
馬車の中を御者のいる前方に向かって歩いて行く。
俺の話を、こんなに簡単に信じて……。
「コーキさん?」
「ひとまず、ジンクさんに任せましょうか」
「はい」
すると、間もなく馬車が停車。
御者が盗賊の話を信じてくれたようだ。
「皆さん、騒がずに聞いてください」
ジンクと共に現れたのは、御者でもあるこの馬車の責任者。
「この先に盗賊が現れたかもしれません」
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