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第5章 王都編
乗合馬車
しおりを挟むマントと髪色もそうだけれど。
魔落での修養の日々で精神耐性をかなり強化することができた。
さらに、修養の空き時間に行った魔物との戦闘で、俺とノワールのレベルも上昇している。
準備が万端と言えば、そうなのかもしれないな。
ちなみに、現在のノワールと俺のステータスはこんな感じだ。
ノワール
レベル 3
5歳 牡 デフォームドダブルヘッド
トトメリウス神の眷属
有馬功己の従魔
HP 283
MP 145
STR 276
AGI 192
INT 161
<スキル>
黒炎 再生 変形 2点転移
有馬 功己(アリマ コウキ)
レベル 7
20歳 男 人間
HP 201
MP 256
STR 310
AGI 214
INT 337
<ギフト>
異世界間移動 基礎魔法 鑑定改 多言語理解 アイテム収納
時間遡行(1刻)1
<アイテム>
・ダブルヘッドの遺骸 3
・イビルリザードの背肉 32
・イビルリザードの腹肉 35
・イビルリザードの腿肉 28
・イビルエッグの腹肉 25
<所持金>
165,530メルク
<クエスト>
1、人助け 済
2、人助け 済
3、魔物討伐 済
4、少数民族救済 済
5、貴族令嬢救出 済
<露見>
地球 1/3 、7(点滅)/3
エストラル 0/3 、3(点滅)/3
時の神の加護、トトメリウス神の加護
テポレン地中でのレベルアップによって、ノワールはかなり強くなった。
レベル1の時でさえ、トトメリウス様の眷属となったことで充分な強さを誇っていたのに。
今やもう、オルドウの冒険者でこいつと対等に戦える者など殆どいないんじゃないかと思えるほど。
強力すぎて、逆に心配になってしまう。
今のノワールが人に害をなすことなどないとは思うけれど、それでもこれはなぁ。
まあ、俺だけじゃなくセレス様の指示にも従っているようだし……。
大丈夫か。
で、俺のレベルだが、こちらも魔落での戦闘を経て今は7になっている。
今回はレベルアップによる恩恵はなかったものの、ステータスの上昇は相当だ。
それでも、MPとINTは壬生少年に劣っているんだよ。
あいつのそれぞれの数値は290と450くらいだったからなぁ。
ホント、何者なんだ?
考えてもどうしようもないか。
それで……。
問題なのは露見。
地球 1/3 、7(点滅)/3
エストラル 0/3 、3(点滅)/3
という、穏やかじゃない状況。
この数になると、誰の影響で点滅しているのかなんて、まったく分からない。
ただ、確定1は壬生少年だとは思う。
「……」
今回は身体強化とマリスダリスの刻宝を見せたとはいえ、魔法を使ったわけじゃない。
壬生少年が異世界の存在について確信しているとは思えないのに確定か……。
厳しい。
厳しすぎる。
はぁぁ。
かなりまずい、と思わざるを得ない状況だよなぁ。
今後も日本で異能者と関係を続けると、どうなってしまうことやら。
最悪の場合、異世界に渡ることができなくなる。
その可能性も否定できない。
とはいえ、今の時点で異能関係全てを投げ出すなんて考えられないし……。
なるべく力を見せずに動いていくしかない、か?
ああ、そうするしかない。
「……」
せっかくの旅の前なのに、暗くなってしまうな。
それも嫌なので、気分を変えて良い情報をと。
良い話は何かというと……このすごい所持金!
ダブルヘッド討伐による報酬と素材売却代金を手に入れて、今はこんなことになっている。
正直、想像をはるかに超えた金額だよ。
ダブルヘッド1体だけで、この額なんだからさ。
ギルドに顔を出した甲斐があるってものだな。
その冒険者ギルド。
ダブルヘッド討伐後初ということで、大変なことになるだろうと覚悟していたのに……。
なんと、ギルド長が不在だったため、手続きを済ませただけで解放してもらえたんだ。
もちろん、ギルドの職員からはギルド長が戻るまで応接室で待っていてほしいと何度も頼まれたよ。
まっ、そこは長旅が控えている身。
丁寧に辞退させてもらった。
ということで、現在の俺の財産。
ギルドに150,000メルクを預金しているので、合計で300,000メルク越え。
日本円の価値にして、約3,000万円!!
「……」
現実感がない金額だ。
前回の人生、40歳時の俺はそれなりの資産を持ってはいたけど、それでもこんな大金を1日で稼いでしまうなんて。
この所持金に加え、収納の中には今回の修行中に手に入れたダブルヘッドの素材がまるまる残っている。
「……」
まあね、お金に余裕があるのは悪いことじゃない。
異世界でお金の工面のために、あくせく働きたくないからさ。
とはいえ……。
トトメリウス様といい、この所持金といい、本当に俺は運がいい。
ありがたいことだと、心からそう思う。
だからこそ、調子にのっちゃいけないな。
増長せず、気を引き締めて。
この旅も十分に用心していこう。
何といっても、この世界で初めての旅なのだから。
「ああ、来ました。あの乗合馬車です」
待つこと15分。
ほぼ定刻通りの到着だ。
「なかなか大きな馬車ですね」
「ええ、長距離移動用の馬車ですから。さあ、乗りましょ」
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