316 / 1,194
第4章 異能編
能力開発研究所 9
しおりを挟む
「君は……」
「またまたぁ、そんな怖い顔しないでほしいなぁ」
「……君はあの日から、ずっと監視していたのか?」
「まさか! ぼくもそこまで暇じゃないですよ。それに、有馬さんはとっても鋭いので、ぼくに気付いちゃうでしょ」
「……」
「でも、この前みたいに街で見かけたら、つい様子を見たくなるんですよねぇ」
「……随分と好かれたものだな」
「はは、そうですよ。ぼくは有馬さんにはとっても興味がありますから」
こんな気味の悪い少年に興味を持たれるとは……。
とてもじゃないが笑えない。
「それで、君は何者なんだ?」
「だから、13歳の少年ですって。有馬さんと仲良くなりたい少年です。あっ、壬生という名前なので憶えていてくださいね」
13歳の少年……。
確かに、ステータスには13歳と表示されている。
だが、この圧力、この雰囲気。
そして、この異能。
「……」
13歳じゃないな。
異能を調べ終えた今なら、理解できるぞ。
壬生 伊織(ミブ イオリ)
レベル 3
13歳 男 人間
HP 105
SP 291
STR 118
AGI 128
INT 457
<異能>
揺魂、魂移、念動力
日本では、これまで数人を鑑定してきたが初めて見るレベル3の異能者だ。
13歳でレベル3というだけでも驚きなのに。
ステータスの数値がそれ以上に凄まじい。
「……」
レベル3だから、ある程度高い数値なのは理解できる。
が、異能に関係するSP(異能力・異能力量)とINT(知能・知性)が異常に高い。
高すぎる。
信じがたいステータスだ。
今の俺のステータスと比べれば、その異常さがはっきり分かるというもの。
有馬 功己(アリマ コウキ)
レベル 5
20歳 男 人間
HP 165
MP 218
STR 262
AGI 182
INT 301
レベルが2つ上の俺よりも、SP(MP)とINTがはるかに高い数値になっている。
本当に信じがたい。
「……」
これだけでも充分目を見張る鑑定結果なんだ。
だというのに……。
異能が尋常じゃない。
<異能>
揺魂、魂移、念動力
通常、異能者に備わっている異能は1つ。
複数の異能は持てないはず。
その異能を、壬生という名の少年は3つも持っている。
異能を2つ持つ者なんて私は見たことがない。
古野白さんは以前そう言ってたんだぞ。
「……」
さらにだ。
異能の内容がまた……。
「有馬さん、難しい顔して、どうかしました?」
「……読めばいい」
「だから、読めませんって」
実際はどうだか分からない。
ただ、そういう異能は持っていないか?
「で、何を考えているんですか?」
「君が普通の少年じゃないと考えていただけだ」
「ぼくは、ただの13歳の中学生ですよ」
「……ただの少年は消えたりしない」
「ああ、そうかも」
どこまでも余裕を崩さない。
それどころか、人を食ったような、小馬鹿にしたような表情を見せてくる。
威圧感と不快感を同時に与えられているようだ。
「……ただの少年は異能など持っていない」
「うん、うん、なるほど」
「何より、複数の異能を持っているわけがない! そうだろ、壬生伊織君」
俺がその事実を口にした瞬間。
壬生少年の目から笑みが消え。
余裕が消え。
空気が変わる。
研究所内の空気が変わっていく。
「……」
重さを増した空気が体にのしかかり、皮膚にはひりつくようなプレッシャーが。
やはり普通じゃない。
想像以上……。
「……どうして?」
「何がかな?」
「どうして知っている?」
「さあ」
さらに増すプレッシャー。
凍りつく空気。
「……」
要らぬ一言だったな。
不要な刺激を与え、情報まで。
そう、自ら手の内を明かす必要はなかった。
「異能と名前を……」
「……」
未熟にも、壬生少年の言動に影響を受けてしまったか。
が、今さらだな。
口にしたものは仕方ない。
「読めるのか?」
「それは、君だろ」
「……」
「……」
瞳から光を消した壬生少年の威圧感は凄まじい。
もうオルセーどころじゃないぞ。
ダブルヘッド、いや、トリプルヘッドの放つ存在感にも負けていない。
「……」
「……」
沈黙の中、プレッシャーが増していく。
それが突然。
「!?」
消し飛んだ!
「くく、くくく、ははは……」
「またまたぁ、そんな怖い顔しないでほしいなぁ」
「……君はあの日から、ずっと監視していたのか?」
「まさか! ぼくもそこまで暇じゃないですよ。それに、有馬さんはとっても鋭いので、ぼくに気付いちゃうでしょ」
「……」
「でも、この前みたいに街で見かけたら、つい様子を見たくなるんですよねぇ」
「……随分と好かれたものだな」
「はは、そうですよ。ぼくは有馬さんにはとっても興味がありますから」
こんな気味の悪い少年に興味を持たれるとは……。
とてもじゃないが笑えない。
「それで、君は何者なんだ?」
「だから、13歳の少年ですって。有馬さんと仲良くなりたい少年です。あっ、壬生という名前なので憶えていてくださいね」
13歳の少年……。
確かに、ステータスには13歳と表示されている。
だが、この圧力、この雰囲気。
そして、この異能。
「……」
13歳じゃないな。
異能を調べ終えた今なら、理解できるぞ。
壬生 伊織(ミブ イオリ)
レベル 3
13歳 男 人間
HP 105
SP 291
STR 118
AGI 128
INT 457
<異能>
揺魂、魂移、念動力
日本では、これまで数人を鑑定してきたが初めて見るレベル3の異能者だ。
13歳でレベル3というだけでも驚きなのに。
ステータスの数値がそれ以上に凄まじい。
「……」
レベル3だから、ある程度高い数値なのは理解できる。
が、異能に関係するSP(異能力・異能力量)とINT(知能・知性)が異常に高い。
高すぎる。
信じがたいステータスだ。
今の俺のステータスと比べれば、その異常さがはっきり分かるというもの。
有馬 功己(アリマ コウキ)
レベル 5
20歳 男 人間
HP 165
MP 218
STR 262
AGI 182
INT 301
レベルが2つ上の俺よりも、SP(MP)とINTがはるかに高い数値になっている。
本当に信じがたい。
「……」
これだけでも充分目を見張る鑑定結果なんだ。
だというのに……。
異能が尋常じゃない。
<異能>
揺魂、魂移、念動力
通常、異能者に備わっている異能は1つ。
複数の異能は持てないはず。
その異能を、壬生という名の少年は3つも持っている。
異能を2つ持つ者なんて私は見たことがない。
古野白さんは以前そう言ってたんだぞ。
「……」
さらにだ。
異能の内容がまた……。
「有馬さん、難しい顔して、どうかしました?」
「……読めばいい」
「だから、読めませんって」
実際はどうだか分からない。
ただ、そういう異能は持っていないか?
「で、何を考えているんですか?」
「君が普通の少年じゃないと考えていただけだ」
「ぼくは、ただの13歳の中学生ですよ」
「……ただの少年は消えたりしない」
「ああ、そうかも」
どこまでも余裕を崩さない。
それどころか、人を食ったような、小馬鹿にしたような表情を見せてくる。
威圧感と不快感を同時に与えられているようだ。
「……ただの少年は異能など持っていない」
「うん、うん、なるほど」
「何より、複数の異能を持っているわけがない! そうだろ、壬生伊織君」
俺がその事実を口にした瞬間。
壬生少年の目から笑みが消え。
余裕が消え。
空気が変わる。
研究所内の空気が変わっていく。
「……」
重さを増した空気が体にのしかかり、皮膚にはひりつくようなプレッシャーが。
やはり普通じゃない。
想像以上……。
「……どうして?」
「何がかな?」
「どうして知っている?」
「さあ」
さらに増すプレッシャー。
凍りつく空気。
「……」
要らぬ一言だったな。
不要な刺激を与え、情報まで。
そう、自ら手の内を明かす必要はなかった。
「異能と名前を……」
「……」
未熟にも、壬生少年の言動に影響を受けてしまったか。
が、今さらだな。
口にしたものは仕方ない。
「読めるのか?」
「それは、君だろ」
「……」
「……」
瞳から光を消した壬生少年の威圧感は凄まじい。
もうオルセーどころじゃないぞ。
ダブルヘッド、いや、トリプルヘッドの放つ存在感にも負けていない。
「……」
「……」
沈黙の中、プレッシャーが増していく。
それが突然。
「!?」
消し飛んだ!
「くく、くくく、ははは……」
11
お気に入りに追加
540
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる