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第4章 異能編
廃墟ビル 9
しおりを挟む次は敵異能者の鑑定だな。
じっくり調べてみると……。
氷を操る異能者と念動力者の2人。
ともにレベル1の異能者という構成だった。
つまり、古野白さん側は火を操る者に、風使いと身体強化者の3人。
敵は氷系と念動系の2人。
古野白さん側が数的に有利な上に、ステータス的にも上回っている。
これなら、俺の出番はないかもしれない。
実際、今のところ古野白さん側が優勢のようだしな。
露見的には、ありがたいことだ。
ちなみに、この氷系は公園や古野白さんの自宅近くで遭遇した異能者と同一人物。
念動力者も自宅近くで遭遇した異能者の1人だろう。
「お前たち、もう諦めて降伏しろ。今なら悪いようにはしない」
上司と思われる鷹郷さんが1歩前に出て、敵2人に投降を呼びかけている。
「はっ、誰がお前らなんかに下るかよ」
「俺たちは政府の犬に従うつもりはない」
「後悔するぞ」
「誰がするか! そっちこそ考えた方がいいぞ」
「何をだ?」
「さっきも言っただろ。こっちには人質がいる。そいつが、どうなってもいいのか?」
「……古野白君」
「はい」
今度は古野白さん。
「あなたたちが人質に取ったという里村君だけど、既にこちらの手の者が彼を保護したわ。だから、人質はもういない」
「なっ? 嘘をつくな!」
「噓じゃないわ。実際、ここに人質はいないでしょ」
「そんなはずない。橘さんが……」
「人質はいないのよ」
「……」
「……」
「あなたたちの切り札は、もう存在しないようね」
「……」
「……」
「もう一度聞こう。投降する気はないか」
「くっ、うるさい!」
あいつら、投降する気はないようだな。
「これでも、くらえ!」
叫び声と同時に拳大の氷が空中に現出。
1歩前にいる鷹郷さんに向けて撃ち出された!
見事な早撃ち。
しかもその距離。
避けがたい速度の氷の攻撃、だと思ったが……。
鷹郷さんが素早い体捌きを見せ、横に跳んでこれを回避。
お見事!
と思ったところに。
後方に飛び去ったはずの氷の塊が急旋回、再び鷹郷さんの背中に襲いかかる。
鷹郷さんは片膝をついたまま。
これは避けられない!
「危ねえ!」
と、そこに武上が飛び込むようにして横合いから氷の塊を蹴り飛ばした。
バリーーン!
砕け散る氷塊。
再び対峙する5人。
「……」
凄いな異能バトル。
見惚れる程の攻防だぞ。
「凄い……」
傍らの里村も同様。
見入ってしまうよな。
おっ?
まだ続きそうだ。
「ちっ」
氷使いが、舌打ちをしながらも2発目の氷塊を発射。
これも早い。
鷹郷さんはまだ膝をついている。
避けられるのか?
その場から動くことなく、氷塊に向かって手をかざす鷹郷さん。
すると……。
鷹郷さんの手前で急に高度を落とした氷塊が、そのまま屋上を滑り。
バキッ!
それを武上が踏み砕いた。
「くそっ!」
悔しそうに一声発して後退する氷使い。
対する、鷹郷さんは既に立ち上がり体勢を整えている。
本当に素晴らしい攻防だ。
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