30年待たされた異世界転移

明之 想

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第4章 異能編

学食 1

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 幸奈の手料理を満喫した翌日。

 寝る時間を削って仕上げたレポートを片手に大学へとやって来た俺は、提出前の確認をするため学食に立ち寄ったのだが……それが失敗だったようだ。

「おっ、久しぶりだな、有馬」

 こちらに近づいて来たのは。

「ああ、武上か」

「なんだぁ、残念そうな顔して。誰か他の人でも待ってたのかよ」

「俺が? 誰を?」

「……古野白とか?」

「あり得ないな」

 確かに、古野白さんとはそれなりに関わっているが、それはあくまで学外でのこと。
 大学内では、まともに会話したこともない。

「まっ、そうだよなぁ。有馬だもんな」

「……」

「待つ相手なんかいねえか」

 その通り。
 今の時点で俺が親しくしている友人は、この大学にはいない。

 前世では、4年間ほぼ誰とも親しく付き合うことはなかったんだ。
 会話する程度の知り合いも数人といったところ。
 その内の1人が、この武上だな。

「オレ以外は」

 いや、お前も待ってないぞ。

「で、何か用なのか?」

「いいや、特に用はねえな」

「そうか」

 そういうことなら。
 武上を放置して、レポートに視線を向けていると。

「何だ、何だ、相変わらずつれない奴だぜ」

「……で?」

「お前、話す気ないだろ」

「武上こそ、用事もないんだろ」

「用がなきゃ、話しかけちゃいけねえのかよ」

「見ての通り、今は忙しいんだ」

 タイミングが悪い。
 レポート提出後に来てくれ。

「ん、レポートか? って、終わってんじゃねえか」

「最終確認中だな」

「真面目か!」

「……」

「まあ、いいや。それで、あの夜はどうだった?」

 何がいいんだ。
 お前、話しかけてるだろ。

「どうだった?」

「……何が?」

古野白このしろをちゃんと送って行ったのかよ?」

 あの食事会の後のことか。
 もう随分と時間が経ったような気がするが……。

 そうでもないんだな。

「ああ、送って行ったぞ」

 途中、結界に閉じ込められて大変だったけど。
 無事に家まで送り届けた。

「……そうなのか」

「何か問題でも?」

「いや……。まあ、何も無いならいいんだわ」

「……」

 こいつ、何か知っている?
 まさか、古野白さんが喋った?

 いや、それはないな。
 あの古野白さんが部外者に話すわけがない。

 だとしたら、武上は古野白さんのことが……。

 うん?
 電子音?

「おっ、ちょっと待っててくれ」

 武上の携帯?
 携帯電話なんか持ってたんだな。

「えっ! うーん……今から? ……分かりましたよ、了解」

 少し離れたところで会話していた武上。
 すぐに話を終え、こっちに戻って来た。

「わりぃ、急用ができたわ」

「全く悪くない」

「天の邪鬼だなぁ、有馬は」

「……早く行け」

「ホント、つれない奴」

「……」

「まっ、ちょっと行って来らぁ。じゃ、またな」

 なんて軽い口調ながら、急ぎ足で出ていった。



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