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第4章 異能編
学食 1
しおりを挟む幸奈の手料理を満喫した翌日。
寝る時間を削って仕上げたレポートを片手に大学へとやって来た俺は、提出前の確認をするため学食に立ち寄ったのだが……それが失敗だったようだ。
「おっ、久しぶりだな、有馬」
こちらに近づいて来たのは。
「ああ、武上か」
「なんだぁ、残念そうな顔して。誰か他の人でも待ってたのかよ」
「俺が? 誰を?」
「……古野白とか?」
「あり得ないな」
確かに、古野白さんとはそれなりに関わっているが、それはあくまで学外でのこと。
大学内では、まともに会話したこともない。
「まっ、そうだよなぁ。有馬だもんな」
「……」
「待つ相手なんかいねえか」
その通り。
今の時点で俺が親しくしている友人は、この大学にはいない。
前世では、4年間ほぼ誰とも親しく付き合うことはなかったんだ。
会話する程度の知り合いも数人といったところ。
その内の1人が、この武上だな。
「オレ以外は」
いや、お前も待ってないぞ。
「で、何か用なのか?」
「いいや、特に用はねえな」
「そうか」
そういうことなら。
武上を放置して、レポートに視線を向けていると。
「何だ、何だ、相変わらずつれない奴だぜ」
「……で?」
「お前、話す気ないだろ」
「武上こそ、用事もないんだろ」
「用がなきゃ、話しかけちゃいけねえのかよ」
「見ての通り、今は忙しいんだ」
タイミングが悪い。
レポート提出後に来てくれ。
「ん、レポートか? って、終わってんじゃねえか」
「最終確認中だな」
「真面目か!」
「……」
「まあ、いいや。それで、あの夜はどうだった?」
何がいいんだ。
お前、話しかけてるだろ。
「どうだった?」
「……何が?」
「古野白をちゃんと送って行ったのかよ?」
あの食事会の後のことか。
もう随分と時間が経ったような気がするが……。
そうでもないんだな。
「ああ、送って行ったぞ」
途中、結界に閉じ込められて大変だったけど。
無事に家まで送り届けた。
「……そうなのか」
「何か問題でも?」
「いや……。まあ、何も無いならいいんだわ」
「……」
こいつ、何か知っている?
まさか、古野白さんが喋った?
いや、それはないな。
あの古野白さんが部外者に話すわけがない。
だとしたら、武上は古野白さんのことが……。
うん?
電子音?
「おっ、ちょっと待っててくれ」
武上の携帯?
携帯電話なんか持ってたんだな。
「えっ! うーん……今から? ……分かりましたよ、了解」
少し離れたところで会話していた武上。
すぐに話を終え、こっちに戻って来た。
「わりぃ、急用ができたわ」
「全く悪くない」
「天の邪鬼だなぁ、有馬は」
「……早く行け」
「ホント、つれない奴」
「……」
「まっ、ちょっと行って来らぁ。じゃ、またな」
なんて軽い口調ながら、急ぎ足で出ていった。
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