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第4章 異能編

残された道

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 次の挑戦で、セレス様が崖下に落ちる前に助けることができればそれでよし。
 前回同様に崖下から開始されたら……。

 その時は2回目同様、セレス様を連れて麓へ向かう。
 それで救命に成功すればいいし、失敗しても時間を稼げれば。
 4回目にかけることだってできる。

 4回目に……。

「……」

 俺は3回目のセレス様を見殺しにするのか。
 4回目のために3回目を犠牲に。
 またセレス様を。

「……」

 だめだ。
 そんなことできない。

 セレス様の命は、そんな計算ずくで行動するようなものじゃないんだ。
 そんな計算で!

「……」

 けど……。

 他に手段がないのなら。
 それしか残された方法がないのなら。

 その時は……仕方がないのかもしれない。

「……」

 ただ今回は。
 今はそんなことをする前に、まだ試してみたいことがある。

 それは魔落。
 魔落に行くんだ。

 魔落での20日以上の日々では、セレス様は無事だった。
 損傷の進行は止まっていたんだ。

 だから、魔落に行けば時間がたっぷりある。
 色々な治療を試すことができる。
 他の手段を考える時間もある。

 それに……。

 トトメリウス様の知恵を借りることも可能かもしれない。

 ……。

 やはり、次は魔落だ。
 いや、待てよ。

「……」

 魔落経由でも時間短縮はできるよな。
 なら、迷う必要はない。

 よし、方針は決まった。

「……時間遡行!」







「コーキ様?」

 ここは……?

「コーキ様? どうしたのですか?」

 目の前にはセレス様。
 その姿に安堵してしまう。
 心が緩んでしまう。

 2度目の時間遡行だから、十分理解していたはずなのに……。

 それでも……。

「大丈夫ですか?」

 ああ、安心している場合じゃないよな。

「……すみません。大丈夫です。それで」

 今はどういう状況、どの時間だ?
 場所はあの崖下。
 セレス様は……。

 少し緊張も解けている様子。

 ということは……。

「どこまで話しましたか?」

「……お互いこれまでの状況を話して、今後どうするかという話ですが」

 あそこか。

 っ!
 時間短縮どころか、超過しているじゃないか。

「本当に大丈夫ですか?」

 怪訝そうに、こちらを見ている。

「……ええ、問題ありません。それで、これからですが。この崖下を探索してテポレン山を下る道を探そうかと思います」




************************

<セレスティーヌ視点>



 テポレン山の地下深く。
 薄明りに照らされた地下の空洞、見たこともないような植物に囲まれた空間。
 そんな場所で私は横になっています。

 コーキ様から休むようにと言われましたので、こうして横になっているのですが……。
 落ち着きません。

 今日起こったことに、まだ頭も身体も対応しきれていないようです。
 身体は強張っていますし、頭も変に冴えているような感じがします。

 どうしてって……。

 昨日の私に言っても信じられないような、そんなことばかりが起こったのですから。

「……」

 今日の出来事。
 どうしても頭から離れません。

 エラン、ジェミネルス、ディアナ……。

 レザンジュ王軍の追手から逃れテポレン山を登り始めたところまでは良かったのですが、護衛騎士たちが一人ひとりと欠けてしまい、最後に残ったエラン、ジェミネルス、ディアナの3人まで。

 私のために皆が……。

「ああぁ……」

 胸が痛いです。

 でも、だからこそ、皆のためにも何としても生きてテポレン山を越えなければと思っていましたのに、グレーウルフに襲われ崖下に落下してしまい……。


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