115 / 1,194
第2章 エンノア編
エンノア 12
しおりを挟む*****************************
※ 少し入り組んでいますので、時系列を整理したいと思います。
病で亡くなったアデリナさんを救うためリセット
↓
薬草採取のためテポレン山に入った初日に戻る
↓
エンノア到着前に、ユーリアさんの姿を見て記憶が戻る
↓
戻った記憶を時系列で簡単に並べると
1 フォルディさんとユーリアさんを助ける
2 2頭目のブラッドウルフにユーリアさんが殺される
3 フォルディさん救出を皆に感謝されるが、心は晴れない
4 地下通路を案内される
5 宴でも気分は晴れず、宴に欠席したフォルデイさんが気になってしまう
6 就寝前、ゼミアさん、スペリスさんの会話の中に記憶操作を疑うような発言
↓
記憶操作を疑い考え込んでいる目の前でフォルデイさん、ユーリアさんがブラッドウルフに襲われる
↓
助けに向かう…… 今はここです。
*****************************
くっ!
やってしまった。
今の状況は?
すぐに、立ち上がり前方を確認する。
「フォルディ兄さま、逃げて、早く逃げて!」
「ユーリア、何を言ってるんだ。ボクがなんとかしてやる」
そこか!
なら、間に合う。
大丈夫だ。
「だめ、ブラッドウルフになんか、もう」
「いいから、ボクが引きつけている間に、ユーリアは逃げるんだぞ」
魔力を身体に循環させながら駆ける。
ふたりのもとへ。
もう見知らぬふたりじゃない、彼らのもとへ。
「いや、兄さま、やめて!」
「このままだと、ふたり共危ないんだ。ユーリア、分かるだろ」
気配を消して静かに走る。
「いや、分からない」
引き抜いた剣に魔力をまとわせる。
「……今から走ってあいつを引きつける。その隙に地下に逃げ込むんだ」
「いやよ」
ブラッドウルフまでは20メートル。
よし!
充分間に合う。
「じゃあ、いくよ」
拳大の石が数個浮き上がる。
が、その必要はない。
「ふたりとも、そのまま動かないで!」
叫びながら跳ぶように駆ける俺に気付いたふたり。
必然、ブラッドウルフもこちらを振り返ろうとする。
が、もう遅い!
最後の一歩を跳躍!
ブラッドウルフとの距離がなくなる。
と同時にやつの首に剣を落とす。
強力な魔力をまとった一撃が、その毛並みに沈みこむ。
前回とは違う。
冷静で冷酷な一撃。
……。
驚愕に見開かれたブラッドウルフの眼。
その身体は完全に動きを止め……。
ドスン。
その眼を閉じることなく、凶悪な顔が地面に転がった。
「なっ!?」
「えっ!?」
振り抜いた剣を右に払い、血を飛ばす。
そして……。
ドオォォン!
その巨体がエンノアの地に沈んだ。
「何が? えっ?」
「どうして? だれ?」
「……」
まともに言葉も出ないふたり。
呆然と立ちつくしているが、その身体には傷ひとつない。
良かった……。
安堵に胸をなでおろす。
だが、まだ終わりじゃない。
もう一頭、ブラッドウルフがいる。
もうすぐここに現れるはずだ。
「あ、あの、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「……まだです。話は後で」
「え?」
「まだ?」
「そこに隠れていてください」
俺の後ろにある大きな岩。
そこに隠れていてほしい。
「まだ何か?」
「静かに!」
前回の状況を思い出す、というか、さっき見たばかりの記憶だ。
鮮明に覚えている。
あの時、ユーリアさんがいたのはあの辺り。
ということは、ブラッドウルフはあちらから現れるのか?
12
お気に入りに追加
540
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
魔法少女の魔法少女による魔法少女のためのご主人様幸せ化計画
円田時雨
ファンタジー
「あなたを幸せにするためにやってきた魔法少女みたいなもんですっ!」
異世界でもなんでもないのに突然やってきた自称魔法少女たち。
俺に隠された力があるとかなんとか言ってるが、頼むから俺の平凡な日常を奪い去らないでく……
「これからよろしくっ!マスターっ!」
こうして俺と3人の魔法少女たちのビミョーな非現実的日常生活が始まった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる