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第1章 オルドウ編
レベル 2
しおりを挟むまずは。
「雷撃!」
夕連亭で使った雷撃とは違い、必殺の魔力を込めている。
バリ、バリ、バリ!
直撃した紫電が向かって来た魔物を覆い尽くす。
「キュウゥゥ」
激しく痙攣するパピル。
ドスン。
身体から煙を発しながら、倒れ込んだ。
ピクリともしないが。
死んだのか?
調べるのは後、もう1頭への対処を先にしないとな。
「石弾」
こちらも先日の公園でのそれと違い、相当の魔力を込めてみた。
ドン!
逃げようとするパピルの頭に直撃。
「……」
頭を粉砕してしまった。
ドスン。
頭を吹き飛ばされたパピルが、ゆっくりと地に沈む。
さすがに、これは死んでいるな。
2頭に近寄り生死を確認。
うん、2頭とも死骸となっている。
雷電も石弾も問題なく通用するようだ。
オルドウの町で得た情報から推測して、俺の魔法は魔物にも充分通用すると思っていたが、これで一安心だ。
というか、このレベルの魔物相手には過剰だったかもしれない。
次は威力を抑えた状態で試してみないとな。
もちろん、他の魔法も。
しかし……。
こうして亡骸を見ていると、ペットを殺したような気分になってくる。
相手は魔物だと分かってはいるが。
「……」
ちなみに、雷撃も石弾も自分で命名したもので、この世界でこのような魔法が何と呼ばれているかは分かっていない。
それどころか、基礎魔法から我流で作り出した魔法なので、これと同じ魔法がこちらにあるのかどうかも不明である。
思えば、魔法を開発、改良するのには随分と時間がかかったよなぁ。
最初に神様から貰ったギフトでは、ライターのような火、コップ半分くらいの水、掌にのるくらいの砂、扇風機にも劣る程度の風、なんてものしか発動できなかった。
今の魔法の威力とは雲泥の差だわ。
……。
こうして、その成果を目の当たりにすると、30年の努力が報われた気がして嬉しくなってくる。
ホント、俺の魔法も成長したものだ。
さて、感慨に耽ってばかりもいられない。
先ずは確認。
ステータスを呼び出すと。
レベルは2のまま。
変わっていない。
2頭倒したくらいでは、変わらないか。
さっきレベルが上がったのは、必要経験値が少なかったためだろう。
よくある話だな。
では、まだまだ続けますかね。
結局、日が傾く頃まで魔物との戦闘を継続。
実戦を通して色々と実験、検証を行った。
おかげで、今の自分について多くを知ることができたかな。
そこは、今日の成果だ。
ただまあ、レベルの方は全く上がらなかった。
まだ低レベルにも拘わらず、あまりにもレベルが上がらないので、ステータスのレベル2表示を見て鑑定してみたのだが、これがなかなか良い仕事をしてくれた。
この世界におけるレベルは簡単に上がるものではない。
レベル上昇は魔物を倒すことだけに依存するものではない。
日々の鍛錬や経験でも上昇する。
レベルに関係なく各種ステータスは変動する。
このようなことが判明した。
これはあれか。
効率的なレベルアップのためには、魔物だけ倒していれば良いということでもないと。
単純なレベル世界ではないと。
そういうことか。
まっ、この異世界は現実の世界なんだから、納得できる話ではある。
今後もステータスを確認しながら、色々と検証していく必要がありそうだ。
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