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第1章 オルドウ編

検証 7

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「その方々はレイリュークさんよりもかなり劣るのでしょうか?」

「あったりまえだ、比べもんになんねぇわ」

「ギリオンさんなら勝てます?」

「当然勝てるな」

「なるほど」

 やはり、この人に相手してもらった方が……。

「アンタが道場の相手にずっと勝ち続けりゃ、あいつも相手してくれるかもよ」

「それは、本当ですか?」

「アンタが強けりゃ、そりゃ、やる気になるってもんだろ」

 だったら、ありがたい。
 やはり、もう一度道場に行こう。

「レイリュークさんはいつまでこちらにいるんでしょう?」

「ん? 知らねえな。まっ、あと2、3日はいるだろーよ」

「2、3日いるなら、レイリュークさん目当ての剣士で溢れるのでは?」

「奴が来たってのは公にはされてないからな。ほとんどの剣士は知らねえだろ。門弟たちも口外しないだろうしな」

「では、ギリオンさんはどうしてご存知で?」

「うん? そりゃあ、オレが一流だからよ」

 臆面もないな。
 それでも、嫌味に感じないのはギリオンさんの人柄ゆえか。

「はあ……まあ、もう一度訪れてみます」

「ところで、アンタ、オレと仕合わねえか」

「いいですよ。その怪我が治った後ですけどね」

「こんなもの何ともねえわ。すぐやろうぜ」

「いやいや、立つのも辛そうだったでしょ」

「……」

「またその内やりましょう」

「アンタ、他所もんだろ? しばらくはオルドウにいるのか? で、どこに滞在してるんだ?」

「そうですね、しばらくはオルドウにいるつもりです。宿は夕連亭です。分かります?」

「ああ、知ってる。そうか、しばらくいるなら、治ったら仕合だな」

「ええ、分かりました」

 その後、しばらく話をして再度道場に向かうことになった。

 ギリオンさんとの会話は十分楽しかったから、道場やオルドウの情報を聞くだけじゃなく普通に会話も楽しんでしまった。もっと時間が欲しいくらいだったが、夕方には夕連亭に戻らなければいけないので、それほど時間に余裕があるわけじゃない。先約があるのだ仕方ない。

 ちなみに、ギリオンさんの年齢は20歳で俺と同じ年齢だった。
 が、全くそうは見えない。
 30歳くらいにしか見えないぞ。

 と、年齢はさておき、ギリオンさん、口の悪い仕合好き筋肉剣士だけど、悪い人じゃなさそうだ。

 正直、けっこう気に入ってしまった。
 俺の知り合いにも少し似ているしな。

 しかし、こっちの世界の人の年齢は分かんないなぁ。
 ヨマリさん、ウィルさんに続いてこれで3人目。
 エストラルの人たちの年齢は全く俺には分からない。
 もうこれからは外見で年齢を推測するのは止めよう。





「はじめ!」

 場所はジルクール流剣術オルドウ道場。
 眼の前には壮年の剣士。木剣を両手で構えこちらを睨んでいる。

 つい先ほど、ギリオンさんと別れたその足で道場に直行して、稽古を申し込んだところ、詳しく話すことすらなく、こうして立ち合うことになってしまった。話が早くて助かるのだが、ちょっと驚きだ。ギリオンさんの例もあるから、こういう申し込みはよくあることなのかもしれない。

 まあ、道場からしてみたら、さっさと相手をした方が効率的だと考えているのかもしれないな。

「やっ!」

 気合いを込めた突きを真正面から放ってくる。
 なかなかの速度だが、焦る程ではない。
 左に体をおくりながら、支給された木剣で軽く右にいなす。
 相手の剣士はバランスを崩すもすぐさま立て直し、こちらに身体を向ける。
 俺も剣先を壮年の剣士に向け対峙する。

 せっかくエストラルでも有名なジルクール流剣術を体験できるのだから、自分の実力を測るだけじゃなく、色々と技も見ておきたい。なので、こちらから積極的に勝負を決めるつもりはない。

 もちろん、負けるつもりもないが、どうしても勝ちたいという気もない。
 ジルクール流剣術を体感することが重要だ。

 まあ、レイリュークさんと対戦できる可能性もあるのだから、なるべく勝とうとは思っているけど。
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