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小学校3年

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施設から引き取られ家族としての生活に自分なりにはどうにか慣れてきた頃、お母さんが妊娠をする。
私は弟か妹かが出来る事を喜んだし、両親もとても大きな喜びだった。

産まれたのは妹…しかし7ヶ月の早産で体重は800g程しか無く、このまま無事に育っても障害が残るだろうと言われた。
それでも妹は懸命に生き、半年程の保育器生活を経て退院し我が家へ来る。
今の私になら分かるが育児は大変だ。普通に五体満足・元気な子の育児でさえ大変だ。
それが身体が弱い妹の育児となるともっと大変だったろう。
が、当時小学校3年位の私にはそこまでは分からなかった。
それでも自分の事はなるべく自分でしていたと思うし、それ程手のかかる子では無かったと思う。
朝は置いてある食パンを1枚食べて勝手に学校へ行き夜は自分でカップ麺を作った。
お母さんはほとんど妹に付きっきりだったが、それで良かったのだろうと思う。
父は運送業で働いたが毎晩帰ってきてはナイターを観ながら晩酌をしていた記憶しかない。
ただ、父の晩酌のツマミは毎日美味しそうだったのは覚えている。
ナイターを観ながら晩酌している父のツマミを見ながらカップ麺を静かにすする日常が当たり前になってきた。

小学校3年の終わり頃…学校で授業中に校長先生が教室へ来て呼び出された。

妹が死んだ。
ミルクを飲んだ後ゲップが出せず、お母さんは1度寝かせて目を離したほんの数分の間に吐いてしまい、吐いた吐瀉物が気管を塞ぎ呼吸出来なくなってしまったらしい。
徒歩5分の道程を猛ダッシュで帰ったら、号泣しているお母さんの傍で父が寄り添っていた。

5日後妹は小さな骨壷の中に収まった…
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