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好事魔多し
その二
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開発室との合同ミーティングが開催された。
新製品のおおまかなデザインコンセプトを決めるためである。
伊藤さんが各人にプリントを手渡す。
そこには前に作った魔法瓶の特許申請の図面と設計思想の概要が纏められていた。
相変わらず要点を抑えた仕事っぷりである。
「あと、共用BOXに魔法瓶回路の3Dホロが入っています。中央に投影しますけど、手元でも確認できますよ」
その彼女の言葉と同時に会議室のテーブルの上の投射型スクリーンに3Dの回路図が浮かび上がった。
魔法瓶本体の透過図付きである。
「ありがとう、いつも助かる」
課長が伊藤さんにねぎらいの言葉を掛けた。
もっと褒めてあげてください。
「いえ、このぐらいしか出来ませんし」
「いやいや、ほんと、伊藤さんは優秀だな。うちに来て欲しいぐらいだ」
流がにっこり笑ってそんなことを言い出した。
てめぇこないだから妙に伊藤さんに絡むな。
人の彼女が羨ましいタイプなのか? お前。
ぜってーやらんからな。
「一ノ宮室長、勘弁してください。彼女がいないと仕事が止まってしまいますよ」
ハハハと笑いながら、課長が冗談でもなさそうな焦った顔でそう言った。
おお、さすがだ課長、頼りにしてます。
「それは残念ですね。じゃあ、ミーティングを開始しましょうか?」
「はい、今回は開発室のほうが主体でお願いします」
「了解しました」
手元の資料の中に俺の提案内容が記されている。
内容的にはざっくりとしたものだ。
この魔法瓶の回路である組み合わせ型の術式陣を利用して、携帯式のランチジャーを開発しようという物だ。
それも保温するのではなく、自動的に供給される水にスープや飲み物、フリーズドライの料理などを入れて、その場で調理してしまおうという物なのだ。
これを考えたのは、実際に迷宮で探索を行っている時に、ちょっとした時間に温かい飲み物が飲めたらいいなぁという大木のぼやきを聞いていたからだ。
もしかするとそれを実現出来るのではないか? と思ったのである。
迷宮の中で気を抜くのは死に繋がりかねない。
そのためのんびり料理したりコーヒーを淹れたりなんかなかなか出来ないんだが、人というのはおかしな物で、手に入らないとなると途端に欲しくなるんだよな。
特に上の階を攻略している連中なんかは迷宮内で数日、時には一週間ぐらいキャンプ生活らしくて、アンケートでは食い物に関する不満が大きいようだった。
バギーぐらいまでなら入れられるが、トラックとか持ち込めないから、荷物に限りがあるというのもあるんだろうけど。
俺が提出した案では飲み物とスープ止まりだったが、どうやらレーションメーカーと提携して簡単な料理も出来るようにするらしかった。
冒険者も水やら火やらは精石を使って発生させるポットやマッチなんかのアイテムを持っているが、今の所火を使わずに温かい飲み物を作ったり、ましてや料理を作ったり出来る道具は開発されていない。
新しいシェアを開拓出来る可能性があるのだ。
「術式陣は魔法瓶の流用で良いとして、問題は熱を発生させるためのエネルギーだな。ランチジャーにバッテリーを仕込んだとしても調理が出来る程の熱量を得ようとするなら漬物石ぐらいのバッテリーが必要になるぞ」
流が問題点を指摘する。
「そこは例のポータブルチャージャーを利用してはどうですか?」
新人君が果敢に意見を述べる。
積極的でいい新人だな。
「いや、他所の商品を前提に商品開発を進める訳にはいかんだろ。そもそもあそこの端子は独自規格で他社製品に厳しいぞ」
「あ、でも早速変換アダプタがいろんな所から出てるみたいですよ」
開発室の中堅どころのメンバーである渡瀬さんが苦言を呈すると、案外と情報通な御池さんが情報を披露した。
大手メーカーが開発したポータブルチャージャーは、俺達にとっていわくつきのシロモノだ。
こっちも似たような物を開発してたおかげで企画がぽしゃったのである。
「温度調整の魔術ってあったよな?」
俺は少し考えてから口にした。
「あの壁とかに仕込んである記述術式か?」
佐藤が言いながら頷いた。
言葉は問いかけだが、こいつの頭は既に先に進んでいる。
「あれは確か人体に害がある温度には設定出来ない規約があったはずだ。100℃は無理だな」
「うん、だけど術式で出来るならこの組み合わせ式の魔法陣で熱関係もフォロー出来るんじゃないか?」
俺がそう言うと、流が眉を寄せた。
考えこむ時の癖である。
「魔法陣の設計は俺がやってもいいが、回路デザインをお前がやるならいいぞ」
うおおおお! 自分の提案のせいで面倒な仕事が!!
「わかりました」
ちょっと目が泳いだけどいいよな。
「魔法陣はそれでいいとして、魔法陣発動に電流が必要だよね。それと最低限の最初の熱源も」
「まぁバッテリーは必要だな」
佐藤と渡瀬さんのベテラン陣がサクサクと細かい所を詰めていく。
「デザインは普通のランチジャーでいいんでしょうか?」
新人君が確認して来た。
「うん、円筒形じゃないと魔法陣が作りにくいからね」
「じゃあこんな感じで」
新人君がささっとラフ画を仕上げて共有BOXに入れてきた。
いや、そこはデザイン部門がやるからね。
でもあそこに丸投げするととんでもないデザインに仕上げて来ることがあるから、一応のコンセプトデザインは回しておいたほうがいいか。
それにしても新人君は絵が上手いな。
配属先間違ってない?
ミーティングが終わると、全員にコーヒーとちょっとした菓子類が配られてお茶会のような物に雪崩れ込む。
うちのお決まりの流れだった。
「食べやすいようにマドレーヌを焼いてきました」
伊藤さんがみんなにお菓子を配った。
手作りお菓子か、なにもみんなに配らなくてもいいのに。
ちょっと子どもじみた嫉妬だとわかっていながらも、ムッとしてしまう。
「はい、木村さんの分」
「あ、ああ、ありがとう」
やましいことを考えていた俺は、その焼き菓子を受け取る時にちょっと慌ててしまった。
嫉妬深い男でごめんなさい。
向こうでは御池さんと園田女史が別のお菓子を配っている。
ああ、なんだ、女の子全員で何かそれぞれ作って持って来たのか。
俺って心狭いよな。
「特別な紙を使っているんでちゃんと見てくださいね」
こそっと伊藤さんが耳打ちして離れた。
え? なに?
見るとその焼き菓子には底面に紙が付いている。
これのことかな?
慌てて食べる。うん、ふんわりとした優しい味だ。
「あ、美味い」
「ありがとうございます」
伊藤さんがすかさずお礼を言う。
いや、そんなに嬉しそうにしないでください。
俺、自分の心の狭さに打ちのめされてしまうんで。
しかし、美味しいな。
昔お菓子のお兄さんだった頃の酒匂さんが時々持って来てくれたカステラにちょっと似てる。
あれも美味かったな。
そう言えばもうずいぶんと食べてないや。
三口で食べ終えて、ちょっと物足りない思いをしながらくだんの底に敷いてあった紙を見てみると、そこには几帳面な文字があった。
『小さい頃お世話になった人達が週末一同に集まるんです。ホームパーティを開くから来てくださいね』
見ると、伊藤さんがおちゃめに小さく手を振っている。
俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
「とうとう来たか」
これはあれだ。
伊藤父による招集に昔の冒険者仲間が応えたんだろう。
うん、おそらく、俺の公開処刑かな?
新製品のおおまかなデザインコンセプトを決めるためである。
伊藤さんが各人にプリントを手渡す。
そこには前に作った魔法瓶の特許申請の図面と設計思想の概要が纏められていた。
相変わらず要点を抑えた仕事っぷりである。
「あと、共用BOXに魔法瓶回路の3Dホロが入っています。中央に投影しますけど、手元でも確認できますよ」
その彼女の言葉と同時に会議室のテーブルの上の投射型スクリーンに3Dの回路図が浮かび上がった。
魔法瓶本体の透過図付きである。
「ありがとう、いつも助かる」
課長が伊藤さんにねぎらいの言葉を掛けた。
もっと褒めてあげてください。
「いえ、このぐらいしか出来ませんし」
「いやいや、ほんと、伊藤さんは優秀だな。うちに来て欲しいぐらいだ」
流がにっこり笑ってそんなことを言い出した。
てめぇこないだから妙に伊藤さんに絡むな。
人の彼女が羨ましいタイプなのか? お前。
ぜってーやらんからな。
「一ノ宮室長、勘弁してください。彼女がいないと仕事が止まってしまいますよ」
ハハハと笑いながら、課長が冗談でもなさそうな焦った顔でそう言った。
おお、さすがだ課長、頼りにしてます。
「それは残念ですね。じゃあ、ミーティングを開始しましょうか?」
「はい、今回は開発室のほうが主体でお願いします」
「了解しました」
手元の資料の中に俺の提案内容が記されている。
内容的にはざっくりとしたものだ。
この魔法瓶の回路である組み合わせ型の術式陣を利用して、携帯式のランチジャーを開発しようという物だ。
それも保温するのではなく、自動的に供給される水にスープや飲み物、フリーズドライの料理などを入れて、その場で調理してしまおうという物なのだ。
これを考えたのは、実際に迷宮で探索を行っている時に、ちょっとした時間に温かい飲み物が飲めたらいいなぁという大木のぼやきを聞いていたからだ。
もしかするとそれを実現出来るのではないか? と思ったのである。
迷宮の中で気を抜くのは死に繋がりかねない。
そのためのんびり料理したりコーヒーを淹れたりなんかなかなか出来ないんだが、人というのはおかしな物で、手に入らないとなると途端に欲しくなるんだよな。
特に上の階を攻略している連中なんかは迷宮内で数日、時には一週間ぐらいキャンプ生活らしくて、アンケートでは食い物に関する不満が大きいようだった。
バギーぐらいまでなら入れられるが、トラックとか持ち込めないから、荷物に限りがあるというのもあるんだろうけど。
俺が提出した案では飲み物とスープ止まりだったが、どうやらレーションメーカーと提携して簡単な料理も出来るようにするらしかった。
冒険者も水やら火やらは精石を使って発生させるポットやマッチなんかのアイテムを持っているが、今の所火を使わずに温かい飲み物を作ったり、ましてや料理を作ったり出来る道具は開発されていない。
新しいシェアを開拓出来る可能性があるのだ。
「術式陣は魔法瓶の流用で良いとして、問題は熱を発生させるためのエネルギーだな。ランチジャーにバッテリーを仕込んだとしても調理が出来る程の熱量を得ようとするなら漬物石ぐらいのバッテリーが必要になるぞ」
流が問題点を指摘する。
「そこは例のポータブルチャージャーを利用してはどうですか?」
新人君が果敢に意見を述べる。
積極的でいい新人だな。
「いや、他所の商品を前提に商品開発を進める訳にはいかんだろ。そもそもあそこの端子は独自規格で他社製品に厳しいぞ」
「あ、でも早速変換アダプタがいろんな所から出てるみたいですよ」
開発室の中堅どころのメンバーである渡瀬さんが苦言を呈すると、案外と情報通な御池さんが情報を披露した。
大手メーカーが開発したポータブルチャージャーは、俺達にとっていわくつきのシロモノだ。
こっちも似たような物を開発してたおかげで企画がぽしゃったのである。
「温度調整の魔術ってあったよな?」
俺は少し考えてから口にした。
「あの壁とかに仕込んである記述術式か?」
佐藤が言いながら頷いた。
言葉は問いかけだが、こいつの頭は既に先に進んでいる。
「あれは確か人体に害がある温度には設定出来ない規約があったはずだ。100℃は無理だな」
「うん、だけど術式で出来るならこの組み合わせ式の魔法陣で熱関係もフォロー出来るんじゃないか?」
俺がそう言うと、流が眉を寄せた。
考えこむ時の癖である。
「魔法陣の設計は俺がやってもいいが、回路デザインをお前がやるならいいぞ」
うおおおお! 自分の提案のせいで面倒な仕事が!!
「わかりました」
ちょっと目が泳いだけどいいよな。
「魔法陣はそれでいいとして、魔法陣発動に電流が必要だよね。それと最低限の最初の熱源も」
「まぁバッテリーは必要だな」
佐藤と渡瀬さんのベテラン陣がサクサクと細かい所を詰めていく。
「デザインは普通のランチジャーでいいんでしょうか?」
新人君が確認して来た。
「うん、円筒形じゃないと魔法陣が作りにくいからね」
「じゃあこんな感じで」
新人君がささっとラフ画を仕上げて共有BOXに入れてきた。
いや、そこはデザイン部門がやるからね。
でもあそこに丸投げするととんでもないデザインに仕上げて来ることがあるから、一応のコンセプトデザインは回しておいたほうがいいか。
それにしても新人君は絵が上手いな。
配属先間違ってない?
ミーティングが終わると、全員にコーヒーとちょっとした菓子類が配られてお茶会のような物に雪崩れ込む。
うちのお決まりの流れだった。
「食べやすいようにマドレーヌを焼いてきました」
伊藤さんがみんなにお菓子を配った。
手作りお菓子か、なにもみんなに配らなくてもいいのに。
ちょっと子どもじみた嫉妬だとわかっていながらも、ムッとしてしまう。
「はい、木村さんの分」
「あ、ああ、ありがとう」
やましいことを考えていた俺は、その焼き菓子を受け取る時にちょっと慌ててしまった。
嫉妬深い男でごめんなさい。
向こうでは御池さんと園田女史が別のお菓子を配っている。
ああ、なんだ、女の子全員で何かそれぞれ作って持って来たのか。
俺って心狭いよな。
「特別な紙を使っているんでちゃんと見てくださいね」
こそっと伊藤さんが耳打ちして離れた。
え? なに?
見るとその焼き菓子には底面に紙が付いている。
これのことかな?
慌てて食べる。うん、ふんわりとした優しい味だ。
「あ、美味い」
「ありがとうございます」
伊藤さんがすかさずお礼を言う。
いや、そんなに嬉しそうにしないでください。
俺、自分の心の狭さに打ちのめされてしまうんで。
しかし、美味しいな。
昔お菓子のお兄さんだった頃の酒匂さんが時々持って来てくれたカステラにちょっと似てる。
あれも美味かったな。
そう言えばもうずいぶんと食べてないや。
三口で食べ終えて、ちょっと物足りない思いをしながらくだんの底に敷いてあった紙を見てみると、そこには几帳面な文字があった。
『小さい頃お世話になった人達が週末一同に集まるんです。ホームパーティを開くから来てくださいね』
見ると、伊藤さんがおちゃめに小さく手を振っている。
俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
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