43 / 233
おばけビルを探せ!
その一
しおりを挟む
自宅で電算機を起動して怪異関係の噂を拾う。
広域網の情報はゴミとお宝が混在している穴掘りのようだと言ったのは、ハンター時代に懇意にしていた情報屋の一人だが、今やネットの利点はもう一つ、他に類を見ない即時性がある。
最近はネットにリンク出来る携帯電話の普及で、リアルタイムに様々な情報が貼り付けられるようになって来たのだ。
おかげで更に情報の信頼性は混沌として来ていて、内容の真偽は著しく怪しくなってはいる。しかしそれだけに世間に害があると思われる情報をバッサバッサと狩りまくる当局の検閲に引っ掛かる前に、とんでもないネタが紛れ込むことすらあったりもするんだよな。
「中央都市、異変、っと」
電算機のツールの一つである検索箱に、目的に関連すると思われる単語を放り込むと、その単語に関連する項目一覧が時系列の最新から表示される。
その表示された膨大な項目から更にふるいに掛けるために検索箱のサブ機能の種類選択をチェックして判別を待つ。その間に、頭上で戯れている蝶々さん達の気配に気づいて、ちょっと追加した新機能を試してみることにした。
パン、パン、パンと、拍子を取って手を鳴らすと、スタンドライトから登録した音楽が鳴り始め、蝶々さんは、その音楽に合わせてクルクルと舞い始める。
ふっ、案の定由美子の式の蝶が戸惑っているぞ。
式の行動能力は、主に術者の労力次第だが、短時間で適当に仕上げたこいつに上等な自己判断が出来るとも思えない。
こいつが放たれてからこっち、せっかくの一人暮らしなのに妹に監視されてる俺の鬱憤を考えれば、この程度じゃあ大した気晴しにもならんが、蝶々さんのダンスは想像したよりかわいらしかったので、一応良しとしよう。
てか、式のほうも混乱から立ち直って、蝶々さんに追随するという基本命令に従って行動様式を変えることにしたらしい。
思ったより能力が高い。
由美子よ、こいつ、どの程度の性能なんだ? お兄ちゃんはなんか怖いです。
しかも悔しいことに、この二匹、互いにクルクル回ってなんだか楽しそうに踊ってやがる。
いや、べ、別に羨ましくないぞ!
いいさ、もういい加減本題に戻るし。別に虚しさから逃げてる訳じゃないんだからな!
誰に言い訳してるんだよ、俺。
振り分けられて出て来た情報の、民間の場所で収集された『一般』のほうを読んでみる。
民間だとやっぱり自由交流広場の痕跡が多い。
「なになに、影踏み鬼に知らない子供が混ざってる、か。これは昔からある噂の類だよな。そもそもこの遊び自体が呪い事だしな。子供たちの遊びに巧みに厄払いの呪いを紛れ込ませて危険を避けさせるのは、いつから始まったかわからない程古い習慣だし。まぁ今は関係ないか。……全く、あのやろうが早々に表に出るのを止めたもんだから手掛かりが少ないっての。ったく、姿が見えないとなると探りにくくて困るし、出て来れば周りの人間を惑わして迷惑だし、本当に始末に負えないやろうだよな」
終天のことを考えると本能的な憎悪に支配されるのでただでさえイライラする上に、更にちまちました探索でイライラさせられるとか、どうにもやってられない気分だ。
と言っても、由美子のほうはずっと探索虫を複数放っているんだから、俺がこの程度で音を上げる訳にはいかないよなあ。
やっぱお兄ちゃんとしては頑張らないとな。
「ん? これはなんだ? おばけビル?」
それはグループチャットのタイトルらしかった。
幸いなことに内部痕跡公開の形式になっていたので、一般訪問で潜ってみる。
==============
(俺俺):俺も見た! やっべ、センタービジネスビルとトーゴーの間に別のビルがある! って叫んだら、ツレはしらっとしててさ、嘘ならもっと上手くつきなよって言う訳よ、写真撮ってもうつんねえし、マジやべえって
(昼の蛍):またまたそうやって噂に便乗して都市伝説を作ろうとして、俺俺さんはふかすから信用ならない
(俺俺):ふかしてねえし、俺は確かにお調子者かもしんねーけどよ、人をだまそうとして嘘をついたりしねーよ! バーカ
(愛マイ):まあまあ、今度表でまた探索会を開催しませんか? 目撃報告もそれなりにありますし、この件は実にうちらしいテーマですからね。
―告知―
謎々探検隊では来たる十月十八日に「表で裏を探そうぜ!第十二回集会」を行います。一般参加OK!
==============
語られている内容はわかるが、どうもお遊び感覚だよな。
噂を調べるって、休日に仕事でもないのにこういうことをするのって何が楽しいのだろうか?
う~ん、さっぱりわからん。
世の中には変な連中がいるもんだな。
それはともかく、この噂はなんとなく気になるな。
幻覚の類は怪異の十八番だ。
古くからある都市伝説の一つって訳でもなさそうだし、少し、探ってみるか。
「え~っと、確か噂は『おばけビル』だったな」
改めておばけビルという単語を入れて検索箱を起動する。
時系列トップは例のチャット広場なのでそこを無視して下へと進んだ。
そうやって追って行くと、最初にこの話題が出たのは九月の頭ぐらいと判明した。
時期的にぴったりだ。ますます怪しい。
こうなったら面倒だが目撃情報をリスト化してみるか。
う~ん、マジで面倒くさい。
ぼやいても始まらないな、頑張ろう。
―― ◇ ◇ ◇ ――
結局、あれから無事リストを作り上げるまでにだいぶ時間掛けちまったんで、翌日の日中の俺は精神的疲労がMAX状態となった。
なんかこのところずっと、ハンターの仕事が本業に支障をきたしてる気がする。
いかんな、もっとしゃんとしないと。
今日は机仕事じゃない分、眠気も抑えられる。
製品とその部品のサンプルをみんなで検分しながら、俺はこっそり欠伸を噛み殺した。
ポットの本体デザインは、主な消費ターゲットの女性を意識して丸っこくなっている。うちの女性陣が可愛いだの大き過ぎるだの感想を述べていた。
絵柄は定番の花柄で無難に纏めてあったが、なんとなく全体的に野暮ったい雰囲気があるんだよな。
皆の総意を纏めると、女性が使う日用品としては重量的にちょっと重いのではないか? という結論に達した。
重心の置き方によって重さの感じ方は変わるものだが、安定性を考えれば底部に重心を置くしかない。
底部をぼってりさせている原因の絶縁体カバーをもう少し薄くするのはどうだろう? 現実的かな?
後で改善をテーマに部門会議か。
いや、先に改善案の各自提出だよな。今から考えておかないとまとめるのが大変だ。
課長がまだ顔色を悪くしてないから日程にゆとりがあるとわかる。
追い立てられることはないだろう。
女性陣はいつの間にか製品見本のスイッチを入れて水を生成してみているようだ。
なんかあっちは楽しそうでいいな。女性陣はみんなバックアップの仕事だから開発責任は無いもんな。
「木村ちゃん、これってさ、姫ダルマに似てないか? いっそもっと大きくして底にバランサー入れて起き上がりこぼし的な売りにしたらどうよ?」
「あんまりぼってりしてると使う人はお湯を注ぎ辛くないですか?」
安定の佐藤案が炸裂する。いつも突拍子もない。
「そこだよ!」
どこだよ。
「持ち上げて注ぐものだと決め付けるから発想が不自由になるんだよ。このポットは基本動かさないんだから、置いたまま注ぐことを考えるべきなんだよ」
む? なるほど、言われてみれば一理あるかも?
しかしこれにポンプを組み込むとなると、外装デザインから全部考え直しだぞ?
俺はちらりと課長を見る。
「確かに大型の既製品にはよく見る仕組みですね」
「そおそお。木村ちゃんが行けそうと思うなら二人で詰めちゃう?」
「そう、……ですね」
うん、改善案を出すのは社員としての義務だし、別に案を出すだけなんだからいいよな?
……みんなから恨まれないといいな。
結局、嫌な予感はしたものの、方向性としては面白いと思ったので、俺は佐藤と案を詰めて詳細な改善案を提出したのだった。
提出したら、たちまち課長の顔色が悪くなったのは、見なかったことにするべきだろう。
文句は佐藤に言ってください。
広域網の情報はゴミとお宝が混在している穴掘りのようだと言ったのは、ハンター時代に懇意にしていた情報屋の一人だが、今やネットの利点はもう一つ、他に類を見ない即時性がある。
最近はネットにリンク出来る携帯電話の普及で、リアルタイムに様々な情報が貼り付けられるようになって来たのだ。
おかげで更に情報の信頼性は混沌として来ていて、内容の真偽は著しく怪しくなってはいる。しかしそれだけに世間に害があると思われる情報をバッサバッサと狩りまくる当局の検閲に引っ掛かる前に、とんでもないネタが紛れ込むことすらあったりもするんだよな。
「中央都市、異変、っと」
電算機のツールの一つである検索箱に、目的に関連すると思われる単語を放り込むと、その単語に関連する項目一覧が時系列の最新から表示される。
その表示された膨大な項目から更にふるいに掛けるために検索箱のサブ機能の種類選択をチェックして判別を待つ。その間に、頭上で戯れている蝶々さん達の気配に気づいて、ちょっと追加した新機能を試してみることにした。
パン、パン、パンと、拍子を取って手を鳴らすと、スタンドライトから登録した音楽が鳴り始め、蝶々さんは、その音楽に合わせてクルクルと舞い始める。
ふっ、案の定由美子の式の蝶が戸惑っているぞ。
式の行動能力は、主に術者の労力次第だが、短時間で適当に仕上げたこいつに上等な自己判断が出来るとも思えない。
こいつが放たれてからこっち、せっかくの一人暮らしなのに妹に監視されてる俺の鬱憤を考えれば、この程度じゃあ大した気晴しにもならんが、蝶々さんのダンスは想像したよりかわいらしかったので、一応良しとしよう。
てか、式のほうも混乱から立ち直って、蝶々さんに追随するという基本命令に従って行動様式を変えることにしたらしい。
思ったより能力が高い。
由美子よ、こいつ、どの程度の性能なんだ? お兄ちゃんはなんか怖いです。
しかも悔しいことに、この二匹、互いにクルクル回ってなんだか楽しそうに踊ってやがる。
いや、べ、別に羨ましくないぞ!
いいさ、もういい加減本題に戻るし。別に虚しさから逃げてる訳じゃないんだからな!
誰に言い訳してるんだよ、俺。
振り分けられて出て来た情報の、民間の場所で収集された『一般』のほうを読んでみる。
民間だとやっぱり自由交流広場の痕跡が多い。
「なになに、影踏み鬼に知らない子供が混ざってる、か。これは昔からある噂の類だよな。そもそもこの遊び自体が呪い事だしな。子供たちの遊びに巧みに厄払いの呪いを紛れ込ませて危険を避けさせるのは、いつから始まったかわからない程古い習慣だし。まぁ今は関係ないか。……全く、あのやろうが早々に表に出るのを止めたもんだから手掛かりが少ないっての。ったく、姿が見えないとなると探りにくくて困るし、出て来れば周りの人間を惑わして迷惑だし、本当に始末に負えないやろうだよな」
終天のことを考えると本能的な憎悪に支配されるのでただでさえイライラする上に、更にちまちました探索でイライラさせられるとか、どうにもやってられない気分だ。
と言っても、由美子のほうはずっと探索虫を複数放っているんだから、俺がこの程度で音を上げる訳にはいかないよなあ。
やっぱお兄ちゃんとしては頑張らないとな。
「ん? これはなんだ? おばけビル?」
それはグループチャットのタイトルらしかった。
幸いなことに内部痕跡公開の形式になっていたので、一般訪問で潜ってみる。
==============
(俺俺):俺も見た! やっべ、センタービジネスビルとトーゴーの間に別のビルがある! って叫んだら、ツレはしらっとしててさ、嘘ならもっと上手くつきなよって言う訳よ、写真撮ってもうつんねえし、マジやべえって
(昼の蛍):またまたそうやって噂に便乗して都市伝説を作ろうとして、俺俺さんはふかすから信用ならない
(俺俺):ふかしてねえし、俺は確かにお調子者かもしんねーけどよ、人をだまそうとして嘘をついたりしねーよ! バーカ
(愛マイ):まあまあ、今度表でまた探索会を開催しませんか? 目撃報告もそれなりにありますし、この件は実にうちらしいテーマですからね。
―告知―
謎々探検隊では来たる十月十八日に「表で裏を探そうぜ!第十二回集会」を行います。一般参加OK!
==============
語られている内容はわかるが、どうもお遊び感覚だよな。
噂を調べるって、休日に仕事でもないのにこういうことをするのって何が楽しいのだろうか?
う~ん、さっぱりわからん。
世の中には変な連中がいるもんだな。
それはともかく、この噂はなんとなく気になるな。
幻覚の類は怪異の十八番だ。
古くからある都市伝説の一つって訳でもなさそうだし、少し、探ってみるか。
「え~っと、確か噂は『おばけビル』だったな」
改めておばけビルという単語を入れて検索箱を起動する。
時系列トップは例のチャット広場なのでそこを無視して下へと進んだ。
そうやって追って行くと、最初にこの話題が出たのは九月の頭ぐらいと判明した。
時期的にぴったりだ。ますます怪しい。
こうなったら面倒だが目撃情報をリスト化してみるか。
う~ん、マジで面倒くさい。
ぼやいても始まらないな、頑張ろう。
―― ◇ ◇ ◇ ――
結局、あれから無事リストを作り上げるまでにだいぶ時間掛けちまったんで、翌日の日中の俺は精神的疲労がMAX状態となった。
なんかこのところずっと、ハンターの仕事が本業に支障をきたしてる気がする。
いかんな、もっとしゃんとしないと。
今日は机仕事じゃない分、眠気も抑えられる。
製品とその部品のサンプルをみんなで検分しながら、俺はこっそり欠伸を噛み殺した。
ポットの本体デザインは、主な消費ターゲットの女性を意識して丸っこくなっている。うちの女性陣が可愛いだの大き過ぎるだの感想を述べていた。
絵柄は定番の花柄で無難に纏めてあったが、なんとなく全体的に野暮ったい雰囲気があるんだよな。
皆の総意を纏めると、女性が使う日用品としては重量的にちょっと重いのではないか? という結論に達した。
重心の置き方によって重さの感じ方は変わるものだが、安定性を考えれば底部に重心を置くしかない。
底部をぼってりさせている原因の絶縁体カバーをもう少し薄くするのはどうだろう? 現実的かな?
後で改善をテーマに部門会議か。
いや、先に改善案の各自提出だよな。今から考えておかないとまとめるのが大変だ。
課長がまだ顔色を悪くしてないから日程にゆとりがあるとわかる。
追い立てられることはないだろう。
女性陣はいつの間にか製品見本のスイッチを入れて水を生成してみているようだ。
なんかあっちは楽しそうでいいな。女性陣はみんなバックアップの仕事だから開発責任は無いもんな。
「木村ちゃん、これってさ、姫ダルマに似てないか? いっそもっと大きくして底にバランサー入れて起き上がりこぼし的な売りにしたらどうよ?」
「あんまりぼってりしてると使う人はお湯を注ぎ辛くないですか?」
安定の佐藤案が炸裂する。いつも突拍子もない。
「そこだよ!」
どこだよ。
「持ち上げて注ぐものだと決め付けるから発想が不自由になるんだよ。このポットは基本動かさないんだから、置いたまま注ぐことを考えるべきなんだよ」
む? なるほど、言われてみれば一理あるかも?
しかしこれにポンプを組み込むとなると、外装デザインから全部考え直しだぞ?
俺はちらりと課長を見る。
「確かに大型の既製品にはよく見る仕組みですね」
「そおそお。木村ちゃんが行けそうと思うなら二人で詰めちゃう?」
「そう、……ですね」
うん、改善案を出すのは社員としての義務だし、別に案を出すだけなんだからいいよな?
……みんなから恨まれないといいな。
結局、嫌な予感はしたものの、方向性としては面白いと思ったので、俺は佐藤と案を詰めて詳細な改善案を提出したのだった。
提出したら、たちまち課長の顔色が悪くなったのは、見なかったことにするべきだろう。
文句は佐藤に言ってください。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
デリバリー・デイジー
SoftCareer
キャラ文芸
ワケ有りデリヘル嬢デイジーさんの奮闘記。
これを読むと君もデリヘルに行きたくなるかも。いや、行くんじゃなくて呼ぶんだったわ……あっ、本作品はR-15ですが、デリヘル嬢は18歳にならないと呼んじゃだめだからね。
※もちろん、内容は百%フィクションですよ!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる