17 / 233
古民家は要注意物件
その五
しおりを挟む
屋根を見る。
本来鬼瓦が乗るべき所に鯉を象った瓦がある。
一見すると、城などの屋根にある鯱を思い起こさせるが、両者は似て異なる物だ。
鯉はその音の響きから招きの意味を持つし、やがて龍に変ずるの古事から貪欲に力を望む怪異に通じる。
概念が現象と直結するというこの世の理から見れば、その意味する所は明確だ。
一方で、門はこの古民家と共に移動して来た物では無く、新たに作られた物らしく、門柱は左右対象に、門扉も両方を合わせれば守護の型が完成するように、きちんと造られていた。
「ここは問題無いな」
だが、俺はその門の守護印に何か引っ掛かりを覚えた。
洋式なのは最近の流行なのでまあいい。
古民家の門扉としてはどうかとは思うが、そこは好き好きだしな。
ただ、聖光印という、少し独特な物を使っているんだよな。
この印を使うのはとある宗教関係者が多い。
別に因縁があるとかじゃないが、あちらからは一方的に嫌悪されている身なんで、もし連中が絡んでるならやりにくいな。
うー、嫌な予感しかしねえ。
「木村さん?」
おっと、考え込んでいたら伊藤さんが不安そうに声を掛けて来た。
やばい。
「いや、大丈夫。立派な門だなと思ってただけだよ」
「そうですか」
声が暗い。
そりゃあ自分家が怪異捕獲器と同じとか言われたらショックだよな。
ちょっと言葉を選ぶべきでした。すみません。
こういう気を回せない性格をいっつも弟には怒られてたんだが、正直油断してた。
何かフォロー入れたいけど、そんなことが出来るようなら最初からやらかしてないんだよ。
俺ってほんと、駄目だよな。
門を入って庭へと続く道には鹿威しもあって、ちゃんと稼動しているし、手入れもされているようだ。
だが、家の床下が素通しで、柱に付いている鼠返しに大きな切れ目があったり、ちょっと見ればおかしいと気付ける要素がそこらに転がってる。
取り扱った業者に知識があるのか無いのかよくわからない対処だ。
下手すると知識が偏っている、一番使えないタイプの専門家か?
「あっと、とりあえずお邪魔してもいいかな?」
困ったように俺を見ている伊藤さんに遅まきながらフォローっぽいごまかしを入れてみる。
「あ、はい、大丈夫です。どうぞ。……あ、ちょっと……お母さん! いる?」
言うが早いか、伊藤さんは俺を玄関に導いて、自分で引き戸をカラカラと開けると、母親を呼びながら広い玄関のたたきに靴を揃えて上がり、俺のためのスリッパを用意してくれた。
スリッパとか、他所の会社でしか履いたことないぞ。
玄関には花瓶がある。
しかし、残念ながら外国産の花が飾ってあり、位階の高い梅やら菊などは全く見当たらない。
せめて百合とか、いや白い花や紫の花があるだけでも違うんだがな。
玄関に飾られているのは何の力も持たない、優しいパステルカラーのただ可愛らしいだけの花だ。
まぁ花はそれだけで幸いを呼ぶ存在ではあるんだけど。
……ああいや、違う、そうじゃないんだ。
彼女は、彼女達家族は、周囲に配置する物一つ一つにも神経を尖らせて身を守らなければならないような環境に生きた経験などないに違いない。
だから、ただ単純に綺麗だから花を飾って楽しむ。
それが当たり前の環境で生きて来たのだろう。
「いいなあ、こういうのは」
「え?」
思わず口走った俺が見ていたのが花瓶の花だと気づいて、伊藤さんは照れたように笑った。
「あ、この花ですか? ちょっと雑誌を参考に飾ってみたんです。ずっとアパート暮らしでこんな広い家初めてで、やっぱりこういう家の玄関には何か飾らないとおかしいでしょう?」
な、何? この娘?
女の子ってあれだよな、可愛いけど打算的で、常にこっちの隙を窺っているような。
手の中に切り札を隠し持っていて、絶対にそれをオープンにはしないような、そんな生き物だよな?
これじゃあまるで、無邪気な子犬みたいだ。
自分でそう判断しておいてあれだけど、本当に本当で根っこが善性なんて人間がマジに実在していいものだろうか?
いや、いるのかもしれない。
偏見は駄目だ、世界を悪いほうへ傾ける愚行だ。
「か、可愛くていいんじゃないですか?」
あくまで花の話だぞ。
「そうですか、家族以外の人に褒められるのは嬉しいですね。たとえお世辞でも」
伊藤さんは自分でそう落としてアハハと笑うと、俺にぺこりと頭を下げて、改めて奥へと顔を向ける。
「お母さん、いないの?」
「はいはい、もうこの娘は忙しないったら。……あら、いらっしゃいませ?」
奥からゆっくり現れたのは、いかにもご近所のおばちゃんという感じの女性だった。
少しぽっちゃり気味だが太っているという程じゃない。
そのにこやかな丸顔が伊藤さんによく似ていた。
まあ家族なんだから当たり前だが。
「あら? ってお母さん。昨日言ってたじゃない、会社の人が古民家に興味があるから今日は見に来るよって」
うん、そういう打ち合わせなんだよな。
あんまり交流の無い会社の同僚が家に遊びに来る言い訳としては順当な所だろう。
興味があるんなら詳しくて当然だし、色々言いやすいってのもあるし。
それはそうとして、
「あら? そうだったかしら。最近どうも忘れっぽくってごめんなさいね」
「もう、しっかりしてよね」
「あの」
会話している親子の間に割り込むという多少の不作法ぶりを発揮して、俺は伊藤母に声を掛けた。
「お母さんはもしかして背中から肩に掛けて重いとか痛いという感じはありませんか?」
割り込んで来た上にいきなり変なことを聞いた俺に、二人は怪訝な顔を向けた。
まあそれは当然と言えば当然だ。
俺だって突然そんな事を言い出す奴がいたら怪しく思う。
「そ、そうね。そういえば最近背中が酷く痛むことがあるわ」
「そうでしょう。見た感じ少しズレがあるみたいですよ。よかったらちょっと診せて貰えませんか? これでも少々心得があるんです」
普通見ず知らずの相手からこんなことを言われたら断るのが当たり前だ。
しかしどうやら伊藤母は、娘の同僚ということで拒絶するのをためらっているようだった。
こういう場合は畳み掛けるに限る。
「凄く簡単なんですよ。痛くもないですし」
言いながらするりと背後に回ると、有無をいわさずに人差し指の第二関節と親指を両肩に押し当て、そこを起点に背骨の第四胸椎の両脇まで線を引くようにやや強めに押しながら移動させ、その両手を素早く外すと、形を手刀とした左手で軽く十二、肩甲骨の下を斬るように叩く。
「どうですか?」
俺の行動があまりに無遠慮に行われたため、反応が返せずにいた二人がようやく我に返る。
「あ、あの木村さん?」
「あら、ほんと。なんだかとてもすっきりしたわ。凄いのね」
我ながらちょっと言い訳のしづらい行動だったが、伊藤母に取り憑いていたもやのような怪異は、陽光の下の雪の一片のように解け消えた。
迷宮によくいる惑わしという怪異だが、通常空間では本来存在すら出来ない儚いモノだ。
逆に言えばこんな奴が人にとりつける程、この家の瘴気が濃いということだろう。
「少し囓った程度ですけど、お役に立てたのならよかったです。そうそう、今、伊藤さん……娘さんとも話してたのですけど、ちょっと気になることがありまして」
伊藤母は明らかに畳み掛けに弱い。
ここは一気に行くべきだと判断した俺は、伊藤さんに目配せをした。
なぜか戸惑ってワタワタしていた彼女だったが、この合図に、俺の意図を汲み取ってうなずきを返してくれる。
「気になることですか?」
「はい、このお宅のことなんですが、少しおかしい部分が見受けられるんです。出来れば詳しい話をお聞きしたいので、この家を建てた時の不動産屋さんを紹介していただきたいのですが」
「ほう、それは私も興味があるな。是非聞きたいものだ」
たたきを上がってすぐの所で話をしていた俺たち、いや俺を、じっと睨むように見ながら、玄関の引き戸を手早く開けて入って来たのは、やたら体格のいい男性だった。
うちの弟の戦闘仕様の作務衣も大概あれだったが、この男性の場違いぶりも凄い。
今時和服を着て過ごしているのも違和感があるといえばあるが、なにより薄い茶髪に青っぽい目、やたら白い肌に胸元から覗く胸毛が、恐ろしいぐらいのアンマッチ感を醸し出している。
そう、その男性は、和服を着こなしたごっつい外国人だったのだ。
「お父さん!」
え? 伊藤さんハーフだったんだ。
その言葉でおれが最初に思ったのは、そんなのどうでもいいだろ! ってツッコみたくなるような、間抜けな感想だった。
本来鬼瓦が乗るべき所に鯉を象った瓦がある。
一見すると、城などの屋根にある鯱を思い起こさせるが、両者は似て異なる物だ。
鯉はその音の響きから招きの意味を持つし、やがて龍に変ずるの古事から貪欲に力を望む怪異に通じる。
概念が現象と直結するというこの世の理から見れば、その意味する所は明確だ。
一方で、門はこの古民家と共に移動して来た物では無く、新たに作られた物らしく、門柱は左右対象に、門扉も両方を合わせれば守護の型が完成するように、きちんと造られていた。
「ここは問題無いな」
だが、俺はその門の守護印に何か引っ掛かりを覚えた。
洋式なのは最近の流行なのでまあいい。
古民家の門扉としてはどうかとは思うが、そこは好き好きだしな。
ただ、聖光印という、少し独特な物を使っているんだよな。
この印を使うのはとある宗教関係者が多い。
別に因縁があるとかじゃないが、あちらからは一方的に嫌悪されている身なんで、もし連中が絡んでるならやりにくいな。
うー、嫌な予感しかしねえ。
「木村さん?」
おっと、考え込んでいたら伊藤さんが不安そうに声を掛けて来た。
やばい。
「いや、大丈夫。立派な門だなと思ってただけだよ」
「そうですか」
声が暗い。
そりゃあ自分家が怪異捕獲器と同じとか言われたらショックだよな。
ちょっと言葉を選ぶべきでした。すみません。
こういう気を回せない性格をいっつも弟には怒られてたんだが、正直油断してた。
何かフォロー入れたいけど、そんなことが出来るようなら最初からやらかしてないんだよ。
俺ってほんと、駄目だよな。
門を入って庭へと続く道には鹿威しもあって、ちゃんと稼動しているし、手入れもされているようだ。
だが、家の床下が素通しで、柱に付いている鼠返しに大きな切れ目があったり、ちょっと見ればおかしいと気付ける要素がそこらに転がってる。
取り扱った業者に知識があるのか無いのかよくわからない対処だ。
下手すると知識が偏っている、一番使えないタイプの専門家か?
「あっと、とりあえずお邪魔してもいいかな?」
困ったように俺を見ている伊藤さんに遅まきながらフォローっぽいごまかしを入れてみる。
「あ、はい、大丈夫です。どうぞ。……あ、ちょっと……お母さん! いる?」
言うが早いか、伊藤さんは俺を玄関に導いて、自分で引き戸をカラカラと開けると、母親を呼びながら広い玄関のたたきに靴を揃えて上がり、俺のためのスリッパを用意してくれた。
スリッパとか、他所の会社でしか履いたことないぞ。
玄関には花瓶がある。
しかし、残念ながら外国産の花が飾ってあり、位階の高い梅やら菊などは全く見当たらない。
せめて百合とか、いや白い花や紫の花があるだけでも違うんだがな。
玄関に飾られているのは何の力も持たない、優しいパステルカラーのただ可愛らしいだけの花だ。
まぁ花はそれだけで幸いを呼ぶ存在ではあるんだけど。
……ああいや、違う、そうじゃないんだ。
彼女は、彼女達家族は、周囲に配置する物一つ一つにも神経を尖らせて身を守らなければならないような環境に生きた経験などないに違いない。
だから、ただ単純に綺麗だから花を飾って楽しむ。
それが当たり前の環境で生きて来たのだろう。
「いいなあ、こういうのは」
「え?」
思わず口走った俺が見ていたのが花瓶の花だと気づいて、伊藤さんは照れたように笑った。
「あ、この花ですか? ちょっと雑誌を参考に飾ってみたんです。ずっとアパート暮らしでこんな広い家初めてで、やっぱりこういう家の玄関には何か飾らないとおかしいでしょう?」
な、何? この娘?
女の子ってあれだよな、可愛いけど打算的で、常にこっちの隙を窺っているような。
手の中に切り札を隠し持っていて、絶対にそれをオープンにはしないような、そんな生き物だよな?
これじゃあまるで、無邪気な子犬みたいだ。
自分でそう判断しておいてあれだけど、本当に本当で根っこが善性なんて人間がマジに実在していいものだろうか?
いや、いるのかもしれない。
偏見は駄目だ、世界を悪いほうへ傾ける愚行だ。
「か、可愛くていいんじゃないですか?」
あくまで花の話だぞ。
「そうですか、家族以外の人に褒められるのは嬉しいですね。たとえお世辞でも」
伊藤さんは自分でそう落としてアハハと笑うと、俺にぺこりと頭を下げて、改めて奥へと顔を向ける。
「お母さん、いないの?」
「はいはい、もうこの娘は忙しないったら。……あら、いらっしゃいませ?」
奥からゆっくり現れたのは、いかにもご近所のおばちゃんという感じの女性だった。
少しぽっちゃり気味だが太っているという程じゃない。
そのにこやかな丸顔が伊藤さんによく似ていた。
まあ家族なんだから当たり前だが。
「あら? ってお母さん。昨日言ってたじゃない、会社の人が古民家に興味があるから今日は見に来るよって」
うん、そういう打ち合わせなんだよな。
あんまり交流の無い会社の同僚が家に遊びに来る言い訳としては順当な所だろう。
興味があるんなら詳しくて当然だし、色々言いやすいってのもあるし。
それはそうとして、
「あら? そうだったかしら。最近どうも忘れっぽくってごめんなさいね」
「もう、しっかりしてよね」
「あの」
会話している親子の間に割り込むという多少の不作法ぶりを発揮して、俺は伊藤母に声を掛けた。
「お母さんはもしかして背中から肩に掛けて重いとか痛いという感じはありませんか?」
割り込んで来た上にいきなり変なことを聞いた俺に、二人は怪訝な顔を向けた。
まあそれは当然と言えば当然だ。
俺だって突然そんな事を言い出す奴がいたら怪しく思う。
「そ、そうね。そういえば最近背中が酷く痛むことがあるわ」
「そうでしょう。見た感じ少しズレがあるみたいですよ。よかったらちょっと診せて貰えませんか? これでも少々心得があるんです」
普通見ず知らずの相手からこんなことを言われたら断るのが当たり前だ。
しかしどうやら伊藤母は、娘の同僚ということで拒絶するのをためらっているようだった。
こういう場合は畳み掛けるに限る。
「凄く簡単なんですよ。痛くもないですし」
言いながらするりと背後に回ると、有無をいわさずに人差し指の第二関節と親指を両肩に押し当て、そこを起点に背骨の第四胸椎の両脇まで線を引くようにやや強めに押しながら移動させ、その両手を素早く外すと、形を手刀とした左手で軽く十二、肩甲骨の下を斬るように叩く。
「どうですか?」
俺の行動があまりに無遠慮に行われたため、反応が返せずにいた二人がようやく我に返る。
「あ、あの木村さん?」
「あら、ほんと。なんだかとてもすっきりしたわ。凄いのね」
我ながらちょっと言い訳のしづらい行動だったが、伊藤母に取り憑いていたもやのような怪異は、陽光の下の雪の一片のように解け消えた。
迷宮によくいる惑わしという怪異だが、通常空間では本来存在すら出来ない儚いモノだ。
逆に言えばこんな奴が人にとりつける程、この家の瘴気が濃いということだろう。
「少し囓った程度ですけど、お役に立てたのならよかったです。そうそう、今、伊藤さん……娘さんとも話してたのですけど、ちょっと気になることがありまして」
伊藤母は明らかに畳み掛けに弱い。
ここは一気に行くべきだと判断した俺は、伊藤さんに目配せをした。
なぜか戸惑ってワタワタしていた彼女だったが、この合図に、俺の意図を汲み取ってうなずきを返してくれる。
「気になることですか?」
「はい、このお宅のことなんですが、少しおかしい部分が見受けられるんです。出来れば詳しい話をお聞きしたいので、この家を建てた時の不動産屋さんを紹介していただきたいのですが」
「ほう、それは私も興味があるな。是非聞きたいものだ」
たたきを上がってすぐの所で話をしていた俺たち、いや俺を、じっと睨むように見ながら、玄関の引き戸を手早く開けて入って来たのは、やたら体格のいい男性だった。
うちの弟の戦闘仕様の作務衣も大概あれだったが、この男性の場違いぶりも凄い。
今時和服を着て過ごしているのも違和感があるといえばあるが、なにより薄い茶髪に青っぽい目、やたら白い肌に胸元から覗く胸毛が、恐ろしいぐらいのアンマッチ感を醸し出している。
そう、その男性は、和服を着こなしたごっつい外国人だったのだ。
「お父さん!」
え? 伊藤さんハーフだったんだ。
その言葉でおれが最初に思ったのは、そんなのどうでもいいだろ! ってツッコみたくなるような、間抜けな感想だった。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
デリバリー・デイジー
SoftCareer
キャラ文芸
ワケ有りデリヘル嬢デイジーさんの奮闘記。
これを読むと君もデリヘルに行きたくなるかも。いや、行くんじゃなくて呼ぶんだったわ……あっ、本作品はR-15ですが、デリヘル嬢は18歳にならないと呼んじゃだめだからね。
※もちろん、内容は百%フィクションですよ!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる